ラッシュアワー3
2015年12月20日 日曜日ブレット・ラトナー監督、ジャッキー・チェンとクリス・タッカー共演の2007年の映画「ラッシュアワー3(Rush Hour 3)」。
リーは中国大使の演説の警護でアメリカに来ていたが、大使が狙撃され重傷を負う。狙撃犯はかつてリーが孤児院で一緒に暮らしていたケンジだった。大使は巨大中国犯罪組織を潰す為にボスの存在を明らかにしようとしており、犯罪組織は大使の娘の命まで狙っていた。襲撃犯を捉えたがフランス語しか喋らず、「ジャンビエーブ」という言葉を吐かせ、二人はフランスへと行く。
ブレット・ラトナーと言えば、どの映画も見事に及第点すれすれの下を行く様な映画ばかりの印象しかなく、一作目「ラッシュアワー」はそれ程でも無く、二作目「ラッシュアワー2」は一作目よりもおもしろくはなっていたけれど、いまいちな構成や結局の所何だか分からない話と、まあジャッキー・チェンとクリス・タッカーの魅力で引っ張っていた映画だったけれど、この三作目もそれ。
ジャッキー・チェンとクリス・タッカーは慣れたコンビで活き活きとじゃれ合っているし、二作目よりも各人のアクション場面も用意されていたし、二作目では少なかった人種・国籍ネタをフランス人も入れてやり合い、次から次へと転んで行く所ではおもしろかった。
その調子の良い流れで誤魔化されて一気に見れはするけれど、ただやっぱり話は後から思い返すと何だかよく分からない。
大使の娘のロッカーから盗み出された書類はどうしたの?だし、その道場での一連のやり取りは一切必要無かったし、中国の巨大犯罪組織って言っているのに、二人が追い駆けられるボス級の敵は真田広之と工藤夕貴の日本人の二人だけで違和感があるし、彼等の関係性もよく分からないし、彼等の活動場所が何でフランスなのかも分からないし、フランスの議長は何をしようとしていたのかも?だし。
とにかくパリで撮影すると決めてから脚本を書いた様な、色んな事をぶっこんでまぜくちゃにしたので見終わると「ん?」となる脚本。
脚本家のジェフ・ナサンソンは前作「ラッシュアワー2」でも脚本を書いていたし、何よりあのあれな「スピード2」を書いていたのに、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」で英国アカデミー賞脚色賞にノミネートされているんだから訳が分かんないよなぁ。
もっと分かんないのは、このジェフ・ナサンソンは「スピード2」「ラッシュアワー2」という、まあ、あれ過ぎる体たらくなのに、その次は「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「ターミナル」と言うスティーヴン・スピルバーグ監督作で脚本書いて、この「ラッシュアワー3」のやっぱりあれな脚本を書いたのに、次は「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」で原案に入っているんだから訳が分からない。ハリウッド映画界って、ラッシュアワーシリーズがヒットしているから実力主義ではあるんだろうけれど、別に能力主義でもないのかしらん。
主役の二人は三度目なので慣れたモノで、ジャッキー・チェンは何時も通りの必死のアクションや椅子を使ったアクション等、多彩で見ていて楽しい。
クリス・タッカーのお喋りも毎度なんだけれど、この映画のクリス・タッカーって太っていて今までのクリス・タッカーとは別人かの様。
真田広之も何でか涙目演技というよく見る演技で笑ってしまったけれど、刀でのジャッキー・チェンとの戦いは見事。侍を沢山演じて来ただけの事はあって、ジャッキー・チェンよりも良いかも。ただ、ジャッキー・チェンに喉元に刀の切っ先をグイッと押し付けられても全然血も出やしないって、どんだけ鈍ら刀なんだ。
この工藤夕貴は何だか不細工。アクション場面では一瞬の顔が物凄い不細工になっているし。菊池凛子も似た様な顔の系統に思えるけれど、こんな感じの顔がハリウッド好みなんだろうか?
そう言えば、このシリーズで毎回必ずやっていた「ザ・ビーチ・ボーイズ最高!」というネタは今回無かったな。何でだろ?これ結構好きだったのに。
この映画、地上波で放送する時の様にギッタギタに編集されていても別に問題も出て来ないであろう出来。石丸博也と山寺宏一による吹き替え版も安心だしね。
ブレット・ラトナーの映画って、やっぱり見ている時は調子良く一気に見ていたはずなのに、見終わってよく思い返すと「あれ?何だ、こりゃ?」ってなる映画ばかり。