ムーンウォーカー
2015年12月19日 土曜日ジェリー・クレイマー製作・監督、コリン・シルバース監督、マイケル・ジャクソンMoonwalker)」。
1987年に行われたBad World Tourのライブ映像や、マイケル・ジャクソンのこれまでの歴史と、謎のドラマと歌と踊り部門が挟み込まれる非常に不思議な映画。
この映画、多分マイケル・ジャクソンが考え付いた事をそのまま作ってしまったからか、何じゃこりゃ?な程ぶっ飛び過ぎていて、付いて行けない構成だし内容。
わたしは単に「マイケル・ジャクソンの映画」という事しか知らずに見たのだけれど、始まりは「Man In The Mirror」に乗せてのライブ映像で、その後にジャクソン5時代の映像も出て来たので、「ああ、ドキュメンタリーとライブ映像の映画なのか…」と思っていたら、突然子供達による「Bad」のパロディが始まって「何じゃこりゃ?」。
その子供が「MJ」と呼ばれて、スタジオから出るとマイケル・ジャクソン本人になり?急にストップ・モーション・アニメーションの人間達がマイケルを追い駆け回す?そのアニメーション人形も、所々でマスクを被った胴体人間そのままだったりと、意味不明。
そこから「Speed Demon」のプロモーション・ビデオ的なモノになるのだから、早くも付いて行けない。
その次は「Leave Me Alone」のPVを丸々一本挟んで、物語へと入って行く。
それは始まりで三人の子供が登場し、「あれ、この三人って、『Smooth Criminal』のPVの子達じゃあ…?」と思っていたら、正にそう。「ヒストリー・オン・フィルム VOLUME II」で見られる「Smooth Criminal」のPVの完全版とも言えるのがこの映画の後半。
PVを見ていて疑問に思った「あの三人の子供って、何?」とか、「終盤で周囲を取り囲む銃を持った一団は何?」、「第二次世界大戦以前っぽい雰囲気なのに、銃を持っている一団が妙に現代的なのは?」とかはこれで分かった。
ただ、この全体の話はこれまたぶっ飛んでいて、意味不明。
マイケルが突然自動車に変形したり、マイケル・ジャクソンロボになって敵を倒したり、バリヤー張ったり、宇宙船になって彗星と衝突して爆発したのに速攻で帰って来てライブを始めるとか、無茶苦茶過ぎて何のこっちゃ分かりゃあしない。ただただ、マイケルが好きな事しただけなんだなぁ…と。
あと、「Smooth Criminal」は個別のPVの方の終わり方の方が、バシッと綺麗に切って終わるので最高に気持ち良い。
この映画で泣きそうになったのは、最後の「Smooth Criminal」の裏舞台の映像と共に男性陣が歌う「The Moon Is Walking」。
当時は絶頂とも言えるマイケル・ジャクソンへの称賛とも言える歌だけれど、マイケル・ジャクソン亡き今見ると、「こうやって本当に月が歩いていたんだよなぁ…」と、輝いているけれど寂しい思いを抱き、最早別の意味しか出て来なくなって意識がフワ~っとしてしまった。
この映画、当時のイケイケのマイケルが思った通りに作ってしまった映画なので、ハチャメチャ過ぎて理解して楽しむ様な映画ではなく、ただマイケルを楽しむ映画になってしまっている。なので、マイケル・ジャクソンを知らない人にとっては意味不明過ぎる映画で頭がどうにかなってしまうんじゃないのかしらん。
ただ、マイケル・ジャクソン好きだと、気持ち良さでは単独の「Smooth Criminal」のPVの方だけれど、「Smooth Criminal」完全版?や、何より最後の「The Moon Is Walking」の部分こそが見るべき所で、楽しさと今見ると不思議な寂しさを感じる。
でも、一本の映画としては駄作。
☆☆★★★