マイケル・ジャクソン THIS IS IT

2015年12月18日 金曜日

ケニー・オルテガ監督、マイケル・ジャクソン監督・主演の2009年のドキュメンタリー映画「マイケル・ジャクソン THIS IS ITMichael Jackson’s This Is It)」。

2009年にイギリスでコンサート「THIS IS IT」を行なう事を発表したマイケル・ジャクソン。しかし、コンサート直前の6月25日にマイケル・ジャクソンは急死。その「THIS IS IT」のリハーサル映像を編集したドキュメンタリー。

何でか分からないけれど、わたしは近頃急にマイケル・ジャクソンのCDを引っ張り出してまた聞き始め、毎日の様に聴いていたらテレビでこの映画の放送があったので見たけれど、やっぱりマイケル・ジャクソンのエンターテイナーとしての凄さをビンビンに感じ、この映像の直ぐ後に亡くなり、毎日の様に聴いているのにもういない不思議な感覚を感じた。

まだまだ本域ではないリハーサルだけれど、もう気持ち良い場面の連続。マイケルが「ここはこうだよ。」と打ち合わせしながら一人で歌い、乗って来たのでそこに音を合わせ始め本格的にリハーサルが始まる所なんてしびれる。それにどの曲もちゃんと歌えて、本気ではないにしろマイケルのダンス見ながら興奮しまくりで一人コンサート状態。
マイケルもリハーサルで数十人の身内であるダンサーやスタッフも楽しませようとして、自分も楽しんでいる感じなんてこれが本当のエンターテイナー。「本気で歌わせないで」と言いながら、そこにいる人の為に歌ったり、見ているダンサー達も大興奮の笑顔とかたまらない。
常に新しい事をしようとしているマイケルも凄く、新たな「Smooth Criminal」のPVや、当時流行の3D映像の「Thriller」とかも作ったりして、これ見たかったと思わせるばかり。この中で出て来たハンフリー・ボガート版の「Smooth Criminal」って、映像が完成してそうだから全編見てみたいけれど、ソフト化されてないんだろうか?調べてみたら、Blu-rayに収録されているのか。

ドキュメンタリー映画としておもしろいのは、他のコンサートのソフトでもそうだけれど、ここまでしっかりとリハーサルを見せる事ってないので、マイケルの指示でその場で音や曲の長さの調整をしたり、位置の確認や踊りの流れ等、非常に細かい所まで作り上げて行っているのがコンサートの裏側を覗く感じで非常に興味深い。
それにこのコンサートの為に選ばれたダンサーやギタリスト等のインタビューもあり、喜んだり泣いたりの反応も裏側を覗く感じ。ただそれも、マイケルの周囲の人の取材は出て来るけれど、皆「マイケルは凄い」という部分ばかりで、若いダンサーやギタリストがマイケル・ジャクソンという世界最高のベテランエンターテイナーと一緒に公演を行うにあたり、興奮と共にある不安や恐怖とかが一切無く、あくまでリハーサルの記録映像の付け足しだけになっているのはドキュメンタリーとしては弱い部分。もっとそこら辺が欲しいなぁ…と思ったら、ソフト版の特典映像として三時間近い色々な映像が付いているみたい。
始めにダンサーのオーディションが出て来るけれど、その選出の場面は少ししか流れないのでメインに選ばれた人とそうでない人の違いはさっぱり分からず、あれだけいる中からどうやって選んでいるかが不思議。上手い人を選んでいるのだろうけれど、当たり前だけれど若手のダンサーとマイケルの動きって全然違うのも不思議。ダンスはよく分からないけれど、見ていてもマイケルはリハーサルだからか本域ではないだろう踊りでも、後ろの真剣に一生懸命に踊っているダンサーよりも良い。何が違うのか分からないのに、魅了するのはマイケル。そりゃあ、小さい時から40年近く音楽産業で踊って歌って、世界中で大公演を何度も行って来たスターと比べるべくもないけれど、マイケルの魅力が滲み出してひきつける様な感じは何なのだろう。

この映画、他の映画と違い特殊なのは、リハーサル映像を繋いだドキュメンタリーという事以上にこんなワクワクするコンサートのリハーサルから誰もが本番を行なう気でいたのに、結局その本人がいなくなってしまい実現しなかったという出来事を思い出させ、これを見たり音楽を聞けばそこにマイケル・ジャクソンはいるのに、本当はもういないという不思議な意識の隔たりに切なくなってしまう事。何度も見たいけれど、何度も見るとより喪失感が大きくなってしまう。最後の「The Michael Jackson Company, LLC」のマイケルの足の動きを見ると、あのまま何処かに行ってしまったと思うと最後に一気に切なくなる。

☆☆☆☆★

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