猿の惑星・征服

2015年08月11日 火曜日

J・リー・トンプソン監督、ロディ・マクドウォール主演の1972年の映画「猿の惑星・征服(Conquest of the Planet of the Apes)」。
映画「新・猿の惑星」の直接の続編で、猿の惑星シリーズの四作目。

「新・猿の惑星」から18年後。犬・猫は死滅し、人間は猿をペットとして飼い始め、すでに調教して身の回りの仕事を任せていた。
「新・猿の惑星」でコーネリアスとジーラの間に生まれた息子マイロはその存在を隠されサーカスで飼われていたが、都市に来て猿達の酷い扱いを知り、飼い主のアルマンドの死を切っ掛けに猿達を組織し人間に対して反乱を起こした。

一作目の「猿の惑星」が良く出来た映画だったので次々と続編が作られたけれど、二作目から転げ落ちる様に見事に駄作化して行き、この「猿の惑星・征服」も前作「新・猿の惑星」以下の酷い出来。無理矢理続編を作り、これまでの映画に繋げる為にこねくり回してしまったので設定もツッコミしかない酷いモノだし、話の展開も緩慢で退屈。

始まって直ぐにほぼ人間と同じ体格体型の猿人が出て来ているので、「マイロの子孫が大分繁栄したんだなぁ」と思っていたら、マイロは大人になって出て来ており、その猿人達はマイロの子孫ではなく動物の猿らしいと分かる。犬と猫が死滅したのが八年前なのに、猿のペット化から人間の言葉を理解し文字まで理解している様なまでに使役出来るというぶっ飛んだ設定で早くも付いて行けず。
まだ猿達に単純な作業を憶えさせるなら分かるけれど、複雑な人間の言語や文字まで理解し、更には人間の論理的な事まで分かるのは飛び過ぎだし、何で猿達が人間に従順なのかも分からない。野生の猿だって、何かちょっとちょっかい出したら「キー!」と唸って攻撃するのに、人間が棒でぶったり叩いたりしても反撃しない猿って何?まだ、遺伝子操作や交配で新種を作り出したのなら分かるけれど、この世界では数年で体格が良くなって調教したからほぼ人間的な猿になっているらしい。外国から輸入された猿が出て来るのだけれど、既に人間とほぼ同じ体格なので、この世界の自然界の猿は初めからほぼ人間と同じ体格で、ちょっと教えるだけで人間の言葉を理解出来るだけの知能を持った現実の猿とは完全な別種だと無理矢理納得させるしかない。それでもチンパンジーの大人はほぼ人間と変わらないのに子供は完全チンパンジーだし、チンパンジーもオランウータンもゴリラもほぼ同じ体型だったりするのは分からないけれど。
それに、それだけ初めから知能があるならマイロからシーザーになった指導者の猿人がいなくても反乱は起きただろうと思ってしまうので、わざわざ一作使ってこの映画をする意味があんまりない。
そもそも、宇宙飛行士が犬猫を死滅させる疫病を持ち込んだらしいけれど、何処かの惑星で船外活動しての原因なのかもはっきりせず、まあ1972年に時空を超える衝撃に耐えるだけの技術があるらしいので幾らでも他の星に行けるんだろうと無理矢理納得させたりしていた。

そこら辺の都合だけしかない設定をグッと歯を食いしばって我慢をしていても話がつまらないし酷いので脱力しかしない。
前半はこの社会の紹介をまったりと緊張感も無く、如何に人間が酷いかを分かりやす過ぎる程の演出で見せ、アルマンドが死にシーザーが怒ったと思ったら次の場面ではシーザーは既に猿達を指導し反乱への準備をしているという省き様。どうやって、知能も足りず、猿間での情報伝達もまだまだな大勢の猿達を一切問題も無く人間達に見付からずに組織出来たのかが描かないので、シーザーはほとんど魔法使い。
それに、喋る猿に理解を示し、まるで自分の息子の様に育てた人間の元にいたシーザーは人間の良い面を見て人間に理解があるはずなのに、それ程接して来ていない意志疎通もままならない他の猿達に極端に共感し、「人間は悪だ!この状況を変えるには暴力しかない!」と思い至ったのかが一切描かれないので、単にシーザーは動物的本能の凶暴さを発揮しただけにしか思えず、シーザーの人物設定が薄過ぎる。
その後反乱が起きても、それまで何されても非常に従順だった猿達が急に攻撃的になる理由も描かれないし、一地方都市だけで突発的に起きた猿達の小規模な反乱を描いただけで猿達が地球を征服したという事になるのも無理あり過ぎ。遠く離れた場所との他の猿達との組織的な情報伝達は無い様なので、この映画の設定だったら各地をシーザーが指導して回らないと反乱は起きないし、この最初の反乱で人間側は相当な物量で猿達を捕獲したり、軍が大量の武器を持って制圧にかかるだろうから地球全体には広がらんだろうと思うけれど、何でか地球規模で反乱が成功したみたいで都合良過ぎる緩さ。
それに、この反乱場面は大勢が入り乱れるだけで盛り上がりが極端に欠けていて、それまでのつまらなさもあって一番盛り上がる所なはずなのにつまらなく、わたしは何度も寝落ちしてしまった。

この映画、今までのシリーズの中でも設定も話も非常に無理矢理で、これまでの展開に合わせるだけ為の都合の良さばかりで、まあ酷い出来。前作「新・猿の惑星」も設定は強引で無茶だったけれど、まだコーネリアスとジーラの存在で今までの人間と猿の立場の逆転や逃亡劇でまだ見れたのに対し、こちらは説明も省いてしまい急なのに盛り上がりに欠ける展開ばかりで終始つまらない。
本当二作目以降、毎回「もう続編はいらんだろう…」と思うに更に続編が作られてしまったのが不思議。

★★★★★
 
 
関連:続・猿の惑星
    新・猿の惑星
    最後の猿の惑星

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