前期のドラマは「ニキータ 3」

2015年07月18日 土曜日

2015年4月から6月間で見たテレビドラマは、

CSI:マイアミ 8
バーン・ノーティス 5
X-ファイル 345
ホームランド 3
NIKITA / ニキータ 3

そして丁度編成の合間で見るドラマが少なかった時に、丁度「メンタリスト」がシーズン1から始まったので新規開拓という事で見てみたのだけれど、主人公のパトリック・ジェーンが観察と経験則から相手の行動や考えを見抜くのは全て正しいけれど、その根拠がいまいち曖昧だったり、「ライ・トゥ・ミー」を先に見ていたので題材として今更感もあるし、主人公と相棒の丁々発止だけれど陽気さもあるやり取りのコメディ的なバディモノの中で毎回結構陰惨な事件が起こり、シーズンを引っ張るのは暗くて重い連続殺人犯の捜査なので全体の雰囲気が行ったり来たりでどちらも中途半端に感じてしまって、結局10話も行かずに見るのを止めてしまった。
パトリック・ジェーンが凄いというのが言いたい為に、ジャンケンしても相手の目を見て心理状態を見抜いて必ず勝つとか、短時間で簡単に浜辺で大きな城を作るとか、笑かし所ではあるんだろうけれど、それがやり過ぎてて一気に心が離されてしまった。
 
 
以下、各感想。
 
 
CSI:マイアミ 8

前期に引き続きの「CSI:マイアミ」シーズン8だけれど、このシーズンは役の扱いが雑多と言うか、適当と言うか、手抜きと言うか、何か変。
ジェシー・カルドーザウォルター・シモンズが新たにレギュラーとなったけれど、ジェシー・カルドーザは彼の過去を何か怪しい感じで引っ張っていた割にあっさり解決し、夜番だったウォルター・シモンズは特に昼番との摩擦も無くすんなり古顔の様になっているし、わざわざ新登場人物としてレギュラーにした意味も無い様なお座なりな扱いでしかなかった。
今までレギュラーだったエリック・デルコは前シーズン終盤で理由も何だか分からないまま突然CSIを辞めてしまったけれど、シーズン8でも結構頻繁にCSIに顔出して五話に一度位の頻度で出て来るし、最終話でこれまたよく分からない理由でCSI復帰してしまうし、何のレギュラー降板だったのかさっぱり分からない。
それにナタリア・ボア・ヴィスタは存在が薄く、19話の「スプリングブレイク」では三つの事件が起こってCSIメンバーが二人づつ捜査して行くのに、その中には全くナタリアが登場しないまま。台詞でも誰もナタリアの事には言及する事もないまま。彼女の難聴の話も彼女の過去を出して来るのかと思いきや、特に何もないままでシーズン終わってしまい、終盤ではこの難聴さえも全く扱う事も無いし。
ジェシー・カルドーザはシーズン9の一話目で見せ場も無いまま退場してしまい、今までのレギュラーの中でも扱いが酷くないか?「CSI:マイアミ」って、短期間で辞めてしまう役者に厳しい様に思えて、前シーズンの検死官タラ・プライスは犯罪者で逮捕されて終わったし、今回のジェシー・カルドーザの扱いもそうだし。

それにレギュラー以外の扱いの悪さも何なのだろう?シーズン2から出ていて、CSIにちょっかいを出す内部調査局のリック・ステットラーは、今まで単に嫌な奴だけれどあくまで内部調査の為に現場捜査官と揉めていたのが、結局本当に犯罪者にして追い出してしまう。
時々出ていてホレイショとも付き合っていた事がある地方検事のレベッカ・ネヴィンズは爆死。
前シーズンの1シーズンだけで逮捕されて追い出されたタラ・プライスの替わりに新たに検死官となったトム・ローマンも、始めは出番も多く、結構軽いノリの良い感じの役だったのに、中盤以降あんまり目立たなくなってしまい、レギュラーであるフランク・トリップよりも役に立っているのにレギュラーじゃないし。

何時頃からか「CSI:マイアミ」の科学捜査の部分が微妙になっていて、あんまりおもしろくなくなっているけれど、20話目の「もう一人のカリー・デュケーン」はその点でもこれまでの「CSI:マイアミ」の中でも最低エピソードかもしれない。
火事で取り残された人を助けようとしたカリー・デュケーンが煙を吸い込んで意識不明の重体に。しかし、幽体離脱?夢?で火事で死亡した少年の幽体?と会話しながら捜査するという、CSIの科学捜査を否定する様な事をしてしまった。ただでさえ「CSI:マイアミ」は科学捜査が結構微妙な所あるのに、オカルト出して来て何処を目指しているんだろうか?夢なのか幽体なのかのカリー・デュケーンが壁の付着物を指でこそぎ取ったり、歩いて距離を測ったりしているのって、受け狙い過ぎでコメディだし。
それにこんな特殊なカリー・デュケーンを出しておきながら中盤はカリー・デュケーンが一切出て来ず、他のメンバーが捜査しているので、こんな特殊な設定にした必要が無い、設定を活かしていない展開にしてしまっているし。そもそも、何で火事現場に消防隊よりもCSIが真っ先に到着してるのかも訳が分からないし。もう、脚本家がやりたい事やりっ放しで、この回だけでなく、数シーズン前から「CSI:マイアミ」って色々粗過ぎ。
 
 
バーン・ノーティス 5

前期に続けての「バーン・ノーティス」で、後半はマイケル・ウェスティンが壊滅させた組織の生き残りアンソン・フラートンとの対決になって行った。
これだけアンソンに追い詰められているのに、このドラマの基本だとは言え、マイケル達は何時もの人助けを続けているってのは違和感。この対決だけでもよかったのに。
このアンソンの話の中で、今までマイケルとママさんの会話ではよく出て来た父親に関する詳細が出て来たのはおもしろかった所。もうすでに死んでしまっていたから話には出て来るけれど、一切姿を現わさなかったのね。でも、アメリカのドラマだと、実は死んでいなかったとか、特にマイケルはスパイだからその関係で死を偽装していたとかで父親が登場してきそうな感じもある様な気がする。

シーズン最終話でも結局アンソンとの対決の結末もお決まりのクリフハンガーで次シーズンに持越し。毎回「前シーズンってどんな感じで終わったっけ…?」と忘れてしまうので、もうこのドラマ自体は終了しているので続けて放送して欲しい。

最終話になって、急にCIAの戦闘員レベッカ・アンダーソン役として、映画「ターミネーター3」のT-Xよりも、わたしとしてはテレビドラマ「特殊能力捜査官 ペインキラー・ジェーン」のジェーン・バスコ役でお馴染みクリスタナ・ローケンが登場。どうやら次のシーズン6でも数回は登場するみたい。
 
 
X-ファイル 3

前シーズンからのクリフハンガーで始まり、シンジケートと呼ばれるおじいさん達が集まって陰謀を巡らしているサロンが登場し、新たにそのシンジケート内の権力争いや対立でフォックス・モルダーダナ・スカリーに情報提供をして来るウェル・マニキュアドマンが登場し、逃亡するアレックス・クライチェック等、どんどんと話が広がって主軸である宇宙人と謎の組織の陰謀論は非常におもしろくなって来た。
ただ、それ以外のFBIとしての事件の捜査は、シーズン2では超常現象をもっと科学的に論理的に解明して行った推理モノ的な展開に比べて、神や悪魔、超能力、魔法、呪いといった、二人が事件に巻き込まれるだけで特に科学的に解明する感じでもないまま、何が何だったのかはっきりしないまま、ただ物事が起こっただけで終わって行く話が多くて全然おもしろくない。主軸以外の話がいまいち過ぎた。
19話の「賭博」なんて超常現象とは関係無い、中華街での臓器売買と詐欺の話だし。

でもしかし、20話の「執筆」は非常におもしろかった。
とある作家がスカリーに取材に来て彼女が事件を話すという構成で、その事件は男女二人のティーンが宇宙人に誘拐されたらしいが事情を何度も聴いて行く内に、実はそれは空軍が二人を誘拐し、催眠術によって偽の記憶を植え付けたらしいという話になって行く。しかしそれも、その情報を持っていた空軍パイロットとモルダーは二人で会話していたはずなのに、その時間にいた目撃者の証言ではモルダーは一人きりだったとか、多くの登場人物達の事実と偽の記憶が混在し、全てがあやふやなままで事実さえはっきりしないという話。
これ、非常に上手い。始めは宇宙人による誘拐、それもアメリカではよくあった典型的な誘拐体験でスカリーも怪しむし、視聴者も嘘っぽさを感じさせる所から、このX-ファイルの世界では宇宙人が存在しているのでそちらの話になるのかと思いきや、催眠術によって失われた記憶を引き出すという現実でも誘導的な催眠によって自分が宇宙人に誘拐されたと思ってしまう事件があるのを使って宇宙人による誘拐を否定的に見せながら、それがもう一回催眠術をかけると今度は空軍による何らかの理由による誘拐の証拠隠滅の為の偽造の宇宙人による誘拐という陰謀説と一転し、その陰謀説さえも追っていたモルダーやスカリーが起こった事の事実の証言さえ食い違っていて、どちらが正しいのか、そもそも本当に空軍の誘拐があったのかも分からないという常に見る側へ仕掛けを撒きながら、それがドンドン流転して惑わしに惑わすというガンガンに引き込む展開。色々な事実は出て来るものの、登場する人によって証言が違うし、意図的に自分の信じたいモノを信じて余計な部分は喋らなかったりねつ造したり、あるいは商売にする為に意図的に隠したりと、まさに現実の宇宙人関係の人々を描いていて、非常にドキュメンタリー的な内容。これだけの要素を45分で上手くまとめあげていて素晴らしい。
一話目、二話目とナバホ族が出て来て、何でか知らないけれど宇宙人関係の話になるとニューエイジ関連の物事が関わって来るのは何だろう?UFOなんて、むしろ観測や分析、謎の飛行物体が単なる未確認の確認物体なのか、どこぞの秘密飛行機なのかとか科学の話なのに、急に精神世界の話と交わるのが不思議と思っていたけれどこの回を見て、信じたい人にとっては事実は自分だったり、今の自分から抜け出す為に宇宙人が必要だからアメリカでは宇宙人関係が新興宗教や自己啓発に繋がって行き、ニューエイジ関連とも親和性があるというのが分かり、成程と納得。

あとおもしろかったのは、宗教、特にキリスト教の奇跡の話が出て来た11話「黙示」では、何時も怪しい話なら簡単に信じてしまうモルダーなのにキリスト教の軌跡や聖書の事柄に対しては非常に否定的、作り話とばっさりと切り捨ててしまうのに、何時もは科学的、論理的な答えを導き出すスカリーが結構本当かどうか分からない奇跡や聖者を信じているという何時もとは逆の対比。
モルダーとしては今までの経験からキリスト教を信じれないのは分かるけれど、スカリーのキリスト教に対する微妙な感じ方って一般的なアメリカ人の立ち位置なんだろうかな?と思えた。
でも、急にスカリーを信心深くさせたり、後の22話「ビッグ・ブルー」でスカリーが犬を飼っていたとか、急な人物像の変化や付け足しには違和感を感じたと言うか、その回でやりたい事を描く為に後出しジャンケン的に付けられた設定の様な気しかしない。

当時の技術的には問題無かったのだろうけれど、今見ると違和感を感じてしまうのは、人体に埋め込まれた金属片。スカリーの背中に何かしらの金属片が埋まっていたのが宇宙人の物だとしたら、人間の金属探知機を通ったら反応するって、宇宙人のアホさ加減と技術力の無さには流石に笑ってしまった。

ジャック・ブラックが第三話「D.P.O.」に出ていたけれど、ゲームセンターの店員とやっぱりナード役。

19話「賭博」でジェームズ・ホンが出ていたけれど、スーツに長いコート着ていて、顔も似ていて、一瞬スモーキング・マンかと思ってしまった。最後は煙草を吸いながら話していたし。
 
 
X-ファイル 4

シーズン3が終わってからすぐにシーズン4がDlifeで始まったので続けて見た。

シーズン4はシーズン3よりも一話一話がおもしろかった。カルト宗教での集団自殺、連続殺人犯、不法移民問題、近親婚、宗教差別や人種差別、ベトナム戦争での政府の隠ぺい等、現実問題を題材にしながら当然そこにオカルト要素を入れ込んでおり、主題がオカルトに成り過ぎていない、話の脇役としてのオカルト要素で、何でもモルダーの言う通りの展開でもないのでおもしろく見れた。

その一方で、前後編で描かれる様な主軸となる宇宙人関連の陰謀論の話が余りおもしろくなかった。
シーズン3は謎の組織が出て来て、そこのおじいさん達の思惑や対立も絡めての何かしらの実験等を徐々に明かしながらも上手く話を進めていたのに、シーズン4になるとその肺がん男等のおじいさん達の登場がほとんどなくなり、話もモルダーは初めから大筋が分かっていて、その証拠を集めようとすると邪魔が入って証拠は無くなり有耶無耶で終わるという、結局同じ所をグルグル待っているだけの様な展開が繰り返されるので飽き飽きし始めた。もう少し先に進んでも良いのに。

それにモルダーは初めから事件の詳細を何となく分かっていて、それをスカリーに話すとトンデモ論なのでスカリーが呆れるけれど、結局はモルダーの言っていた事がどうやら正しいらいしという毎回の展開も飽き始めた。度々「もう四年も一緒にやって来て…」と強調する様にスカリーが言うのに、そのスカリーが未だにモルダーの事を信じていないという設定も変。モルダーが言う事が大抵当たっているのに、何故かスカリーはモルダーの推論の路線で捜査しないので、いい加減スカリーがアホに見えて来た。もしくはスカリーって実はモルダーの事が本当は嫌いで信用していないのかとも思えてしまう。

7話「紫煙」でスモーキング・マンの過去が描かるのだけれど、これが非常に安っぽい。ジョン・F・ケネディやキング牧師の暗殺の計画と実行犯は実はスモーキング・マンだったとか、彼が率いる会議でアカデミー賞の受賞作品を決めたり、スーパーボウルの優勝チームを決めたり、オリンピックのアメリカチームとソ連戦の勝敗もスモーキング・マンが裏で暗躍していたとか、最早ジョークみたいな話になってしまっていた。
この話ではスモーキング・マンの煙草を吸うのは、元々一切煙草を吸わなかったり、禁煙パッチを張って禁煙しようとしていたりもするけれど、自分のせいで人が死んだりとかの極度のストレスがある時に吸ってしまうという事が分かったり、本当は国の闇の仕事はしたい訳でもなく、本人は小説を書き続けながら出版社に送っているけれど全然採用されず、採用されたら今の仕事を辞めようとしているとかの謎の男の実はな本性が描かれておもしろいのに、全ての陰謀が彼に集まっているやり過ぎ感で台無しな感じがある。このスモーキング・マンの本性も、裏で糸を引く謎の悪役を延々と描いて築いて来たのに、急にここで小市民的なおじいちゃんにしてしまったのも何だか台無しにしてしまった感じがある。

11話「カビ」で、いよいよ「チュパカブラ」という言葉が登場するのだけれど、この「チュパカブラ」を使うメキシコからの不法移民は謎の菌に感染している男を指して「チュパカブラ」と言っていて、あくまで「化け物」「妖怪」といった様な意味で使っていて、謎の怪物「チュパカブラ」という安っぽいモンスターを出さずに「チュパカブラ」になってしまい愛する人を殺してしまい、関係無い人まで殺してしまった男の哀しみや苦悩を描く回で、中々上手い使い方だし、展開。何でも宇宙人に繋げてしまうモルダーが「チュパカブラ」まで繋げて考えるけれど、そこは関係無くてスカされてしまうという展開もおもしろいし。

12話「腫瘍」の主人公だったレナード・ベッツを演じていたのが、「ER」のロケット・ロマノことロバート・ロマノ役でお馴染みのポール・マクレーン。この役は体の一部や頭が切り離されても再生してしまう男だったけれど、「ER」のロケット・ロマノも左腕を切られて引っ付けて再生しているし、人を寄せ付けない、友達がいない、レナード・ベッツは相手の体の悪い部分がすぐさま分かる救命士でロマノは優秀な外科医等々、この12話「腫瘍」の放送日が1997年1月なので、まだ「ER」にロマノが登場前だけれど、何か被る部分が多い様な役柄でおもしろい。
それにシーズン3のシーズン・プレミアや最終話でも1900~2100万人の視聴者数で、平均でも2000万人を切る位なのに、この「腫瘍」だけが2915万人と吐出して視聴者数が多いのは何なのだろうか?

シーズン3から何度か出て来たFBIの分析官?のペンドレル。スカリーに気がある風だったり、主人公二人が分からない科学的・画像的な分析を担当していて中々良い脇役になっていたのに、このシーズンで死んでしまった。何でこのドラマってFBIの脇役を育てなかったんだろう?「X-ファイル」のFBIって、主人公二人とウォルター・スキナー副長官位しか目立たないので物凄く小さな組織にしか見えて来ない。
 
 
X-ファイル 5

シーズン3に続けてシーズン4が始まったけれど、更にシーズン4が終わってからすぐにシーズン5がDlifeで始まったので続けて見た。

毎度の前シーズンからのクリフハンガーで、シーズン頭一、二話は続けての話だけれど、やっぱり陰謀が明るみに出そうな感じで有耶無耶で終わってしまうのはお馴染み。
ただ、これまで何でも信じてしまうモルダーだったのが、このシーズン頭の話で、「宇宙人等は政府が軍備拡大から目を逸らさせる為の陰謀」という、これまた陰謀説ではあるけれど現実では宇宙人陰謀説よりはまだマシな話を信じる事になり、シーズン中盤ではビリーバー達の話をバッサリ切り捨ててしまい政府や軍の陰謀論を展開するという余りの変わり様。
それに対し、腫瘍で死にかけていたスカリーがチップを再び埋め直して一気に全快した事によって、逆にビリーバー達の話に耳を傾け、結構冷静に理論的に持論を展開するモルダーを否定し始めるという今までとは全く逆の立場になってしまう。
今まで見て来た分、急な逆転がおもしろい所ではあるけれど、それに加え、これが現実の話だと、「モルダーが目を覚ますと政府を崩壊させるだけの力を持った人物になるんじゃないの?」と思う一方で「スカリー、どうした!?」となる所だけれど、この「X-ファイル」の世界では本当に異星人がいるのでスカリー覚醒、モルダー迷走と、現実世界とドラマ世界では何が正しいのかの逆転もおもしろい。
それに加え、スカリーがキリスト教に対する信仰心が増幅して行き、キリスト教信者でないとスカリーの迷走感が増しているとしか思えなくなって来る。宗教に関してはこれまでもモルダーは非常に懐疑的で科学的、論理的に考えるのに、スカリーはキリスト教になると無批判に近い感じで信じてしまう。その点においてはモルダーはやっぱり変人で、科学者が信仰を顧みるスカリーの方が理想的なアメリカ白人なんだろうなぁ…とは思う。しかしまあ、この「X-ファイル」の世界では神も、宇宙人も、幽霊も、UMAも、超能力も、軟体人間でも何でも存在しているので問題は無いんだろうけれど。
それでも17話「万霊節」では、結局「障害を持った少女は可哀そうなので、神の使いである天使によって突然殺されましたが、神の元に旅立って幸せなんです!少女の意志や残された家族の思いなんかは関係無く、スカリーに救いがあったので良いんです!」という話は全く感動も無く、独善的過ぎて「X-ファイル」でキリスト教を扱った良い話風の回って、キリスト教信者じゃないと全くもっておもしろくない。

三話目の「アンユージュアル・サスペクツ」では、ローン・ガンメンの三人組とモルダーの出会いをローン・ガンメンの初対面と結成、そして普通に暮らしていた三人が政府の陰謀を知ってしまう所から始まる話で、三人の出会いと各人の得意分野、何でそこまで陰謀論を信じて追い駆けているのかの説明としても「成程なぁ~」と前日譚としてもしてもおもしろく、モルダーへの情報を提供していたXまで登場してニヤニヤしながら見れた。
この回を見ていたらこの三人組でスピンオフのミニドラマとか作ったら良かったのに…と思えた。

五話目の「プロメテウス」は全編白黒。狙いとしては、白黒映画時代の怪奇モノ、特に「フランケンシュタインの怪物」を狙っていて、やたらと壁に人物の陰を落としたり、謎の科学者の研究所に行くとやたらと雷を付けて光と影を強調して結構わざとらしいのだけれど、この回に登場するのが「ザ・ジェリー・スプリンガー・ショー」だったり、シェールの「Walking In Memphis」という歌だったりと物凄い1990年代臭さしかないので、チグハグしている。この回は結構コメディ色も強いので、そこも笑い所なのかな?
この回は「X-ファイル」では珍しく、ハッピーエンドで終わる。その終わりもシェールのそっくりさんが顔を見せない様な構図の中で、モルダーとスカリーが楽しく踊って終わりって、物凄く異質な感じ。

12話目の「吸血」は題名その物の吸血鬼の事件なんだけれど、この回の構成がシーズン3の20話「執筆」の様な回顧録が中心になる話で、スカリーとモルダーが供述して行くと微妙に出来事や人物が異なっていたりするけれど、そこらか現在に戻って展開される後半ではどちらが事実を言っていたかが分かり、更にそこからどんでん返しもあるという上手さ。
特にモルダーとスカリーの供述に見る、お互いをどう見ているかという描写がおもしろい。モルダー自身の話では自分は何時も通り無表情でトンデモ話をまくし立てているけれど、スカリーの供述内のモルダーはやたらと陽気ではしゃいでおり、余りトンデモ話をせずにスカリーに科学的・論理的な説明を求めている。一方のモルダーの供述に出て来るスカリーは何だか怒りっぽく、不細工な男に気を取られていたりと、それぞれの現実と頭の中の見方では結構違っている。スカリーは何時も冷静で表情を変えないモルダーをまるではしゃいでいる子供の様に見ている様だし、モルダーは「何でそんなにイライラしているの?」と思っていてスカリーを理解出来ていない様子。スカリーに取ってモルダーは弟の様だし、モルダーに取ってスカリーは母親や姉の様な存在として感じている様に思えてしまう。

13・14話で登場したFBI捜査官のジェフリー・スペンダー。宇宙人に誘拐されたと言う母親がいて、そこが中心に話が周るので彼は脇役なのだけれど、「この人何処かで見た事あるなぁ…。何のドラマに出てたんだっけ?」とずっと気になっていた。で、この14話「赤と黒」の最後で彼の父親がスモーキング・マンである事を示唆して終わり、そこで「そう言えば、以前若い時のスモーキング・マンを演じていた人が息子役で出来るというのを見たけれど、それかぁ!」と納得。
シーズン4の7話「紫煙」でスモーキング・マンの過去が描かれた時、若いスモーキング・マンを演じていたのがジェフリー・スペンダーを演じていたクリス・オーウェンズ。で、スモーキング・マンの息子がクリス・オーウェンズ演じるジェフリー・スペンダーという事で、この円環構造的配役は素晴らしい。クリス・オーウェンズの登場から、実は死んだと思われていたスモーキング・マンの伏線であり、親子だという仕込みという事だったのか…。配役でこういうおもしろい事も出来るんだなぁ…。

15話の「旅人」は、X-ファイル専門になる前のモルダーが1950年代の政府の陰謀に立ち向かったFBI捜査官に話を聞きに行く話で、モルダーの父親が昔から政府の陰謀に関わっていたり、X-ファイルは1950年代から存在していて、その時は単に未解決事件の区分けとして余り使われていない「X」の頭文字から始まる場所に保存していた等の過去が分かるのもおもしろいけれど、1950年代の共産圏の勢力拡大を恐れたアメリカ政府が、「敵に対抗する為には秘密を隠し、どんな手段を使ってでもやらなくてはならない。」という考えから陰謀を追行しているというのが現実的な話で、毎回曖昧のままでよく分からない宇宙人の陰謀説を見続けた来た分、こちらの現実的な題材でドラマした方がおもしろいんじゃないか?と強く思ってしまった。

17話「万霊節」には、「24」のアーロン・ピアース役でお馴染みのグレン・モーシャワーが登場したけれど、役名がアーロン・スターキーで、これでもアーロンだったので笑ってしまった。

このシーズン5ではマンネリを避ける為にか、上記の様な今までとは違った種類の話や展開をしているけれど、三話目の「アンユージュアル・サスペクツ」ではスカリーは出て来ないし、六話目の「クリスマス・キャロル」ではほとんどモルダーは出て来ないし、10話目の「ドール」ではスカリーが休暇中に偶然出会った事件の捜査でモルダーは電話で答えるだけだしと、これまで二人で一緒に事件を捜査して来たという展開すらも変えて来て、今までの中では一番おもしろかったシーズンだった。
 
 
ホームランド 3

シーズン1から微妙で、それでもシーズン3まで見続けたけれど、やっぱり「ホームランド」っておもしろい部分もあるものの、つまらない部分や「何じゃそれ?」という部分も目立って、非常に微妙。
特にシーズン3は、これまでシーズン1・2でニコラス・ブロディがテロリストなのかどうかが中心で、ニコラス・ブロディが真実を言っているのか欺いているのかを追うキャリー・マティソンとCIAだったはずが大きく方向転換をしてしまい、強引なシリーズの継続で全然違う話になってしまい、もう何のドラマなのかが分からなくなってしまっている。

そもそもシーズン2の終盤でニコラス・ブロディのテロリストの話は終わっていたし、ニコラス・ブロディを洗脳したテロリストの主犯であるアブ・ナジールの事件も終わったのに、無理矢理続けた為にシーズン2からシーズン3への移行が酷い事になってしまっている。
CIAの責任者であったデイヴィッド・エスティースがキャリーやニコラス・ブロディを怪しみ、画策していたりと色々振りが入っていたのに、多分役者の契約更新が無かったからだと思うけれど、最終的に爆死して在庫処分してしまったのには呆れた。新たな展開が必要だったとは言え、この投げやりなやり方は本当に酷い。
なので、今までテロリストを追い詰めていたはずの優秀なCIAが突然何の振りも無く攻撃されてしまえば、ただのアホの集団に成り下がってしまうし、これまでは帰還兵の洗脳と言う「ありそうかも…?」と思わせるだけのフィクションの境界線上でやっていたのが、この派手過ぎる攻撃によって完全フィクションになってしまい、地味だったけれど硬派なサスペンスだったのが、「もうジャック・バウワー呼んだらいいじゃん!」と、完全にそっちの少々粗くても派手で楽しいアクション・サスペンスに変更してしまっている。
で、このシーズンまたいで新たな展開にしたはずが、シーズン序盤でCIA爆破犯の話は早々と切り上げてしまい、シーズン最終話まで見ても、「実行犯は他にいる」と言っていたのにその実行犯を探す事も無いままで、結局ニコラス・ブロディに着せられた罪はどうなったのかさえ分からず曖昧で、本当にシーズンの引っ張りだけに使われた一ネタの様なお座なりな扱い。
シーズン2の最終話を見れば、「シーズン3は窮地に追い込まれたニコラス・ブロディをどうやってキャリーが無罪を証明して行くのか?という話になるんだろうなぁ…」と思うのに、シーズン3の主軸となる話は全然別物。「CIAがイランの内政に干渉出来る様に工作する」のが中心。この話自体はスパイモノや、国外工作を企むCIAモノとしては非常におもしろくはあるものの、やっぱり今まではとは全然別物になってしまっている話に違和感は感じるし、こういう工作や諜報活動をすればする程CIA側が悪者にしか思えて来ない違和感ばかりで、どうにも乗って行けず。
シーズン3の開始から三話位が展開もせず、だらだら続くので物凄くつまらなく、そこから急におもしろくはなるけれど、ニコラス・ブロディが全く出て来ないという、やっぱり何のドラマなのか分からなくなっている展開だし。
それにその開始から三話位のブロディ一家の話になると急に失速し、非常につまらない。この「ホームランド」は「24」の製作陣が作っているらいしけれど、「24」でもシーズン1はジャック・バウワー一家の話は必要だったし、おもしろかったのに、シーズンが進むにつれ、ジャックの娘のキムが出て来ると急に話が失速してつまらなくなっていたのと同じで、「ホームランド」でもデイナの話になるとグダグダ本筋とは関係無い特殊だけれど基本的に思春期の悩みを見せられても全然おもしろくない。
シーズン1では父親であるニコラスと息子のクリスとの関係性が中心だったはずが、何時の間にか今まで特に見せ場が少なかった娘の方ににすり替わって行った辺りからつまらなさは感じていたけれど、今回ニコラス・ブロディの出番が終盤まで無いので展開関係無くブロディ一家の話を出しているとしか思えなかった。前半であれだけやっていたブロディ一家の話は後半になると脚本家がブロディ一家の事をさっぱり忘れてしまったのか、それとも「これだけ出しておいたから、もういいでしょ」と投げたのか、一切誰も出て来なくなってしまったし、最後にブロディの家族の反応さえも一切描かないのだから、この扱いの酷さったら無い。
そして、キャリーと並ぶこのドラマの軸だったはずのニコラス・ブロディでさえ、このシーズンで退場させてしまっているのに、シーズン5まで続いているのだからもう訳が分かんない。
アメリカでも「ホームランド」の打ち切り論や、「シーズン1で終わらせておけば良かった…」論はあるみたい(「『グレイズ・アナトミー』『ホームランド』……アメリカで“打ち切り”を望まれるドラマ」)。確かにシーズン2で終わらせておいても良かったかもとは思う。

それにこのドラマの乗って行けない部分の一つとして、登場人物誰もが自分勝手という事がある。
キャリーはCIAに尽くしている様で、結局ニコラス・ブロディに対する欲が先行した事で現状を招いているにも関わらず、最終的に「子供はいらない!」とか言って、見ていてもがんばれ感は湧いてこないし、ニコラス・ブロディは置かれた酷い状況はあるにしろ、人の事をホイホイ聞き過ぎて自分の意志があるのかないのかで、終始「何じゃ、こいつ?」になってしまうし、CIAの作戦も身勝手さばかりで応援の感情も出て来ないまま、結局「皆が不幸になりました…」って、何処の話に乗って行けばいいのか、誰に乗っかって見ればいいのかもよく分からないままで、ニコラス・ブロディは物語上も、脚本上も弄ばれた感ばかり。

まだシーズンは続いて行くらしいけれど、もうニコラス・ブロディはこれ以降出て来ない様で、それだと最早何のドラマだか分からなくなってしまうし、これ以降もこのシーズンみたいな強引さがあるならもういいかな…?「このドラマ、クソつまんない!!」というドラマが更に続くのなら「次シーズンはどれだけ更につまらなくなっているんだ!?」という興味はあるモノの、「もういいかな…?」と思ってしまったドラマって、これから更に続くなら別に興味も湧かないし…。
 
 
ニキータ 3

このドラマって、実際は狭い場所だけなのに人物の配置換えを上手い事行って、各人の対立や協力関係で見せて行くのがおもしろい。
シーズン1でディヴィジョン対ニキータアレックスの対立。シーズン2ではパーシーがディヴィジョンを追い出され、アマンダがディヴィジョンで力を握り、シーズン3ではアマンダも追い出され、ニキータ陣営がディヴィジョンを運営して行くというこれまでとは全く逆の展開に。
シーズン1ではバラバラに活動してディヴィジョンを潰そうとしていたニキータとアレックスがディヴィジョンの首脳になり、ディヴィジョンでニキータを追っていたマイケルバーコフもニキータ側でディヴィジョンの首脳になり、シーズン1から登場はしていて、その回だけのゲストかと思っていたら、遂にはディヴィジョンの指導者にまでなってしまったライアン・フレッチャー。アレックスと良い仲になり、遂にディヴィジョンの一員となったショーン・ピアース。これまたシーズン1で登場し、ゲストかと思っていたらニキータの相棒となったオーウェン等、シーズン3では仲間が増え、この手のスパイモノ、暗殺者モノって、「仲間になるのか?」と思ったら速攻で死んでしまったり、「実は敵の一味でした…。」という展開が多い中、仲間が増えて行くのは非常に気持ち良い展開。しかも、ニキータ達がディヴィジョンの圧倒的な組織と施設を使えるという格段の強化で、更に気持ち良い展開に。

話の展開も、逃亡エージェントの捕獲を進めるニキータ達だけれど、それが中々上手く行かず、結局以前のディヴィジョンと同じ事をしているというジレンマや、以前のディヴィジョンの様にその存在自体が危険な為に政府から狙われているのでディヴィジョンも対応して脅しやスカしを入れないといけなかったり、そんな中にやっぱりアマンダが現れて危機に瀕したり、アマンダ側にいたアリ・タザロフが接触して来たりと、こちらも今までの展開の配置換えで起こって来る問題を次々と出して来て、毎回目まぐるしい程の盛り沢山。

それに各人物の関係性も、序盤は何とかディヴィジョンを切り盛りして慣れ始めた頃、男達が悩み始めてニキータとマイケル、アレックスとショーンの恋愛関係が揉め始めたり、その関係が上手く行き始めたと思ったらニキータとアレックスが揉め始めたりと、人間関係のいざこざも上手く展開させて行っている。

ただやっぱり、後半になると問題が現実化して、今までの事が崩壊して行くは展開上仕方ないにして、何か嫌~な感じ。

それにしてもマイケル役のシェーン・ウェストって、このシーズンで右手を失ってしまうけれど、「ER」でも足を失っていたし、四肢を欠損する役が多いよな。

とにかく、前期の中ではその展開や一話一話の見せ方等、「ニキータ」のシーズン3が一番おもしろかったし、次が楽しみだった。

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