七年目の浮気
2015年07月22日 水曜日ビリー・ワイルダー製作・監督・脚本、トム・イーウェル主演の1955年の映画「七年目の浮気(The Seven Year Itch)」。
ジョージ・アクセルロッドの舞台劇が原作で、ジョージ・アクセルロッドも脚本に参加している。
避暑地に妻と息子を送り出したリチャード・シャーマンは、アパートメントの二階の部屋に夏の間だけ部屋を借りた若い女性と出会い、落ち着きが無くなる。
主人公の結婚七年目の中年男性が暫く一人で過ごす事になり、そこに若い美女が現れたモノだから一人でヤキモキするというコメディなんだけれど、これが全くつまらなかった。
主人公は全ての自分の置かれた状況説明から、今の心情説明までハキハキと声に出した独り言を言い続け、しかも勝手に妄想が暴走して気分の上下が激しく動きまくり、見ていても危ない人なだけ。元が舞台劇だからなのか、この独り言で全て説明してしまうという安っぽさと現実味の無さとお手軽さに早い段階から飽きてしまい、全然集中力は続かず。延々とおっさんの病的な妄想につき合わされてもなぁ…。まだ、相手との会話や想像上の奥さんとの会話の場面は見れるけれど、主人公が一人で普通に喋る独り言の場面は会話劇としてもおもしろくないし、コメディとしても全くクスリともしなかった。
それに配役も変で、そもそも主役のトム・イーウェルってこの時46歳なんだけれど、見た目は50代中盤の老けっぷりなのに、役柄は38歳と全然役に合っていない。
で、この冴えないおっさんの部屋に、時代の象徴でもあったマリリン・モンローの様な美女が「既婚者で良い人だから…」という理由で部屋に警戒心も無くすんなりやって来て、冴えないおっさんにキスしまくるという、中年おっさんの妄想を具現化した様なしょうもない話が展開され、ずっと「何で?」と疑問ばかり。まだ、おっさんに渋さがあったりと若い女性が惚れる理由があれば分かるけれど、ずっとマリリン・モンローの行動が何でか分からず、ただ頭の弱い警戒心が無いだけの尻の軽い女がホイホイ付いて行ってだけにしか見えず、これは「マリリン・モンローという象徴的なスターも、観客から見ればこんな女としてしか見られていないよ」という皮肉なんだろうか?とずっと首を捻るばかりだった。
そのマリリン・モンローは、頭の弱い可愛らしさが彼女の良い部分ではあるけれど、今回はそれが逆の駄目な部分になっていたし、時々おばさん的で可愛らしさが無い感じもあって、これのマリリン・モンローは全然良くない。
それに、マリリン・モンローの名場面とされている白いドレスのスカートが地下鉄からの風で煽られる場面が出て来るのだけれど、その場面何度かあるにも関わらず全身を映してはおらず、足元でスカートがフワッとするだけという何ともしょぼくれた場面で、この映画を見る限りは名場面でも何でもない場面でしかないのに、これでだけ象徴化されている事に驚いてしまった。この場面って、映画内のカットではなく、ポスターとかの写真での印象なのか?
この映画、冒頭からナレーションによる説明が続いた時点で「あれ?これ、駄目なんじゃ…?」と思っていたら、その後は主人公による独り言が延々と続き、それがまた全然おもしろくも無くて早い段階で見る気が失せてしまった。所々おもしろい場面はあるものの、終始面白味の無い会話、もしくは独り言が続き、会話を中心としているはずの会話劇では致命的。話もおっさんのオナニー的な設定からドンドンと転がって行くならまだしも、主人公がウダウダしているにも関わらず美女が好意を持つとか、美女がおっさんの為の単なる玩具的扱いの展開も辟易。
☆★★★★