センター・オブ・ジ・アース

2014年09月22日 月曜日

エリック・ブレヴィグ監督、ブレンダン・フレイザー主演の2008年の映画「センター・オブ・ジ・アース(Journey to the Center of the Earth)」。
原作はジュール・ヴェルヌのSF小説「地底旅行」。

大学の教授トレバー・アンダーソンが行方不明になった兄を探しに、兄の息子とアイスランドに行くが、地底に落っこちて大冒険が始まる。

映画の系統としては、1970年代頃まであった秘境探検モノで、レイ・ハリーハウゼンのミニュチュアのストップモーション・アニメーションの怪物が出て来る様な映画を現在のCGでやってしまう映画。21世紀にそんな懐かしい冒険映画をする心意気は良いけれど、ただかつてのそれらの映画にあった様なワクワク感が無く、冒険感が非常に薄い。要素として「インディアナ・ジョーンズ」シリーズで見た様な、トロッコや試練的な見せ場も入ってはいるけれど、それと比べると探検感や冒険感なんて、まあ無い。安っぽく、全てがのぺっと流れて行ってしまう。
何と言っても小ネタや演出のしょっぱさばかり目立つ。子供向けとは分かっていても、遥か地底で携帯電話に電話がかかって来たり、地底なのに何でかやたらと明るかったり、周りが高い山なのにセンサーめがけて、丁度上手い事主人公の少し後ろに落ちる雷だったり、何でローラーコースターみたいな貨物トロッコ路線を作っているんだとか、本来はSFなはずなのに、都合の良過ぎるファンタジーになってしまっており、ファンタジーにしても子供騙し。

この映画、2008年の映画にしては合成が背景から浮きまくりだったり、普通の映画ではあんまり無い前後を強調する様な演出場面が多いと思ったら、これ元々は3D映画なのか。多分3D用に作っているから、普通の2Dだと合成の出来が酷く見えてしまうんだろうか?それでも写真で写っている人物の背景すら合成丸分かりだったり、合成以外のCGも安っぽいし、実際の外の撮影は良いけれど、セットになった途端作り物感一杯の安さなのは、大作の予算ではないからなのか、美術の駄目さなのか?飛行機の機内でさえ安っぽいし。
訳が分からないのは、歯磨きをしてグチュグチュとゆすぐ所までは分かるけれど、その後のペッと吐き出す所をわざわざ透明板の下にカメラを置いて、ベチャとの落下まで見せる演出の悪趣味さ。3D用の演出とは言え、見ていても気持ち悪いだけじゃない。それ以外の部分でも3D用に前に飛んで来るという演出は、3Dじゃあないと相当覚める演出ではある。
それに、カットが変わると前のカットと人物の位置がずれていたり、編集も雑な感じも。

この映画はジュール・ヴェルヌの「地底旅行(Voyage au centre de la terre)」が原作の映画化作品なのに、劇中でその「地底旅行」の本を出して、その「地底旅行」を基に話が進み、メタフィクションなのか何だか分からない構造になっているのはちょっとおもしろい。

主演のブレンダン・フレイザーは「ハムナプトラ」シリーズで主人公演じていたのに、わざわざ似た様な映画に出なくてもとは思ってしまう。ただ役柄として、普段からコンピューターは使って研究しているはずなのに、キーボードは両手の人差し指だけで打っているし、落下の時間で高さを求める時「32の二乗で…200フィートだ。」と計算出来ないのに正解出てしまい、大学教授なのに頭の悪い感じは良く出ている。

この映画は10代前半位までを対象としたであろう子供向けな映画。悪い意味での子供騙しな内容。これを3D映画で見る位だったら、わたしは行った事無いけれど、東京ディズニーシーのアトラクション「センター・オブ・ジ・アース」を見に行った方がどれだけ良いだろうかと思わせる映画。…ああ、そうか。逆にアトラクションの宣伝映画になっているのか…。

☆☆★★★

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