ガメラ2 レギオン襲来

2014年09月14日 日曜日

金子修介監督、永島敏行水野美紀共演の1996年の映画「ガメラ2 レギオン襲来」。
ガメラシリーズとしては十作目。平成ガメラシリーズの二作目で、前作「ガメラ 大怪獣空中決戦」からの続編。

北海道に隕石が落下。しかし、その隕石は移動している様だった。その後、札幌市営地下鉄で謎の生物が複数発見され、町には巨大な花が出現。生物と花は共生関係にあり、花は種子を出す時に大きく爆破し、札幌を壊滅させる恐れがある事が青少年科学館の学芸員穂波碧の調査で分かった。自衛隊の渡良瀬佑介は穂波碧の協力で、謎の生物と花を殲滅させようとするが、そこにガメラが現れ生物と戦い始めた。最終的には巨大化した生物対ガメラの決闘。

序盤から謎の宇宙生物が現れ、それを調査し対処する人間側の話で進み、モンスター・パニック映画としてはそれなりには出来ていたのに、ガメラが登場すればそれもお終い。結局、子供向け着ぐるみ怪獣対決映画になってしまう。人間側の話は、水野美紀が偶然永島敏行と出会い、水野美紀が急にレギオン専門家になって意見したり、水野美紀が偶然藤谷文子と出会ってガメラの意志を存続させようとしたり、まあ手抜きな御都合感しかない脚本ではあるけれど、変に政治家や自衛隊の上層部を出して来ずに現場の人達を使ってじっくりとどう対策を取って行くかを描いている分結構見せるのに、中盤以降結局はガメラにやっつけてもらうので人間側のドラマは虚しく響いているだけだと気付いてしまう。ガメラを見せるなら人間側の説明やらはいらないと感じてしまうし、逆に人間側の話を見せるならガメラはいらないと思ってしまうのが痛い所。結局ガメラで大人向けな真面目な映画にしようと思っても、ガメラや巨大怪獣の対決という相当無理のある存在がある限りはどうにもならない感じ。
それに、特撮側の話の手抜きと言うか、説明無しにしたい事をねじ込んでる感が凄い事…。草体はビルを破壊する位急激に大きくなっているのに、それまで誰も気付く描写は無いし、レギオンも特に食事場面や脱皮場面も無いのに100m位に急激に大きくなるし。多分、人間がウルトラマンに変身する速度以上の早さで巨大化してるんじゃないかしら?レギオンもまだ虫の様な形態は良かったのに、巨大化するとその造形は最悪。見た目は如何にも1990年代のウルトラマンに出てきそうな「怪獣」で、頭が割れて謎のビーム出したり、バリアを張ったり、頭からビームなのか何なのか分からないアンカーを発射したりと、子供が「僕が考えた、つおい怪獣!」という発想ばかりで、まあ安っぽいモノ。あれだけ巨体で足も小さ目なのに、地中を高速移動するって何かの笑かしなんだろうか?
ガメラも、飛行中は手が翼状になっているのに、着地するとムニュっと人の手の様になってしまうし、最後には突然空中を謎の光る波が現れて元気玉の様にガメラに光り降り注いだと思ったら、胸がパカッと開きブレストファイヤーを発射。もう、見ていていても「ポカーン…」。「これ、凄くない?つおいから入れよう!」と馬鹿みたいな理由なんだろうなぁ…。レギオンを倒したガメラが空を見上げて、そのまま飛んで行く所なんてウルトラマン。これを見て「別にガメラじゃなくて、ウルトラマンですればいいじゃん…」と思い、この場面でガメラを全否定したと思ってしまった。それに、前作でガメラがギャオスと戦う理由は説明されていたけれど、今作でガメラがレギオンと戦う理由がよく分からない。超古代文明の生物兵器だったはずが、地球の守護者?地球の生態系を守る?超古代文明の技術はぶっ飛び過ぎていて付いて行けない…。レギオンを殺そうとするなら、世界各地の外来種をプチプチ潰して行けよ!…と思ってしまうのだけれど。バブル後の1990年代の人間の生活環境保護意識という題材を入れ込んではいるけれど、今見てしまうと非常に説教臭いし、逆に安っぽくなってしまっている。
それに、前作ではガメラが傷付くと藤谷文子も傷付いていたのに今作ではそれが一切無く、その設定どうしたんだろうか?ガメラがレギオンにぶっ刺されてしまった場面では、藤谷文子が体中から血が噴き出すのが見たかったのに。と言うか、この映画では役割的に藤谷文子はいらなくないか?それに映画全編に渡って、日本映画でよく見る「有名俳優や芸能人をちょこっと出す為に、特に本編には必要も無い場面を入れ込んで来る」部分が多数あり、非常に覚める。あと、子供達が集まったからガメラが復活する場面は、お子を使ったあざと過ぎる「感動場面ですよ!」と大声で叫んでいる感しかなく、この映画の中でも最低最悪の場面。

途中にガメラを3DCGにしている場面が出て来るのだけれど、これが非常に酷く、動きや造形が物凄く安っぽい。この当時のゲームでの3DCGよりも酷いんじゃない?何で着ぐるみを使い続け、全編3DCGで怪獣を描かなかったのかがよく分かった。

この映画での一番の見所は、今回の舞台が北海道だったからか、CREATIVE OFFICE CUEの人達が登場しており、頭からonちゃんこと安田顕が自衛隊員で、大泉洋が地下鉄の乗客で、ミスターこと鈴井貴之が呼びかけの人でほんの少しだけ出演していて笑ってしまった。だから、「水曜どうでしょう」では「何年何月何日 何処何処」のテロップでは「ガメラ出現」を、予告では前作の「ギャオス逃げ去る」の音楽を使っていたのか。納得。

この映画、人間側の話はそれなりに見せるけれど、特撮側の話は酷いし、どんだけドラマ部分を頑張った所でやっぱりガメラという馬鹿げた造形の巨大怪獣ではどうにもならない。ほぼ同年に公開された「ゴジラvsデストロイア」の配給収入の三分の一強の七億円しか行かなかったという事は、そういう事か。

☆☆★★★
 
 
関連:ガメラ 大怪獣空中決戦
   ガメラ3 邪神覚醒

« | »

Trackback URL

Leave a Reply