ドクター・フー シリーズ2
2021年08月20日 金曜日最近のわたしの海外ドラマを見る流れが、「24」のシーズン24話見終わったら「ドクター・フー」という流れになっていての「ドクター・フー」シリーズ2。
シリーズ1の最終話の最後で行き成りドクターが再生して十代目ドクターになってのシリーズ2。
シリーズ2は「トーチウッド」という言葉が軸になって伏線が張られていたけれど、既にスピンオフドラマの「秘密情報部トーチウッド」を知っていると、こういう事でトーチウッドが出来たのかと分かり、ある意味「秘密情報部トーチウッド」の宣伝にもなっているシリーズ。
しかし、シリーズ2はこの「トーチウッド」の引っ張り方も上手かったし、一話一話が非常におもしろかった。
三話目の「同窓会」では3・4・5代目ドクターのコンパニオンだったサラ・ジェーン・スミスが登場。
わたしは以前のシリーズは見た事が無いので、このサラ・ジェーン・スミスも知らないけれど、調べたら長い間コンパニオンだったみたいで、その人物が数十年振りに登場って、旧シリーズ知っている人からすると相当な興奮だろうし、「ドクター・フー」の分厚さを感じた。
現コンパニオンのローズ・タイラーとサラ・ジェーン・スミスのやり取りって、ドクターに捨てられたかつての恋人と今の若い恋人の感じもあるし、かつてサラ・ジェーン・スミスを演じて人気が出ただろう演じているエリザベス・スレイデンの言葉にも思えて、二重構造に感じてしまうここでも厚みがあった。
更にこのサラ・ジェーン・スミスを主人公にしたスピンオフドラマ「The Sarah Jane Adventures」も製作されたらしいけれど、これって日本では日本語字幕版も無いみたい。
日本で見る方法ってあるのかしらん?
四話目の「暖炉の少女」は非常に良いし、考えさせられる回だった。
51世紀から時間の窓で18世紀のフランスのポンパドゥール夫人を監視している話だけれど、ドクターからすると一瞬でもポンパドゥールから数年という時間の差があり、ポンパドゥールの人生で時々急に現れるドクターに恋して待っているというSF恋愛話。
不思議な人物が急に現れるというのを受け手側ではなく、意図が掴めない神出鬼没の存在側から描くのはおもしろい。
それにこれがタイムロードのドクターの人生の感覚を上手く表しているんだと思うと良く出来た回。
一方で視聴者誰もがポンパドゥール夫人側なので、結局人生ってこんな感じなんだろうと寂しくなってしまう。
歳を取ると余計に思うけれど、このポンパドゥール夫人の様に人生は一瞬で、まだポンパドゥール夫人はドクターが来てくれただけでも幸せなんだろうけれど、誰もがドクターは来てくれないからなぁ…。
五話目「サイバーマン襲来」と六話目の「鋼鉄の時代」の前後編でサイバーマンが登場したけれど、サイバーマンを見て「おっ、サイバーマン!」と思ったけれど、何でわたしはサイバーマン知っていたのかな?
以前地上波で放送していた時に見たのか、それとも今回新シリーズから見始めた時に調べて知ったのか。
とにかく、シリーズ1でダーレクが登場し、次のシリーズ2でサイバーマン登場と、順番に「ドクター・フー」の仇敵が登場して来るのはおもしろい。
この「サイバーマン襲来」「鋼鉄の時代」は勿論サイバーマンが見所だけれど、それ以外の見所が多く、もう既に死んでいるローズの父親がシリーズ1に続いて登場したり、ミッキー・スミスがコンパニオンになってレギュラーになったと思ったら離脱したり、この回のSFが現在ではそれ程SFになっていないとか。
サイバーマンは造形が古さもあって抜群に良いし、最終的に感情を取り戻して自殺させるという酷い仕打ちで残酷に終わらせたりと印象に残る。
サイバーマンは旧シリーズからのキャラクターの様なので人間を機械化とか、個人の意識や感情は無く全体で共有しているとかはスタートレックシリーズのボーグはこれに影響されているのだろうか?
ミッキー・スミスはこれまでドクターとローズを補佐しながらも恋人のローズはドクターに夢中で置いてけ堀だし、作中の台詞でもあったけれど結構関わっているのに背景は描かれずで非常に不憫な人物になっていたのをそのままこの回で描いていて、非常に良い人物に仕上がったのにここでお別れは勿体無い。
このギークであり、ナードであり、そんなに見た目がかっこいい訳でもないのに彼女がいるけれどドクターに取られてしまったというミッキーに視聴者の男の子が感情移入し易いはずで、そこでも良い人物だと思ったのに。
九代目ドクターに散々「リッキー」と名前を間違えられていたのが伏線となってパラレルワールドのミッキーがリッキーだったのは上手い。
それと、この回に出て来た人々が耳の穴にイヤポッドを付けて通信をしたりしていたけれど、この当時はまだこれはSFだったのが今ではイヤホンマイクで電話している人は日本でも普通に見かけるし、テレビ電話も普通の事になっているし、大企業から送られて来る情報に振り回されているなんて正に現在の携帯電話を直ぐ確認するのと変わらずで、15年で「ドクター・フー」が描いたディストピアに住んでいると思うとサイバーマンよりも恐怖を感じてしまった。
ただ、一番の驚きはローズの母親が40歳だった事。
確かにローズが二十歳前後で、母親が若い時に産んでいるので母親が40歳という設定は分かるものの、見た目から勝手に50代位だと思っていたのに、シリーズ1・2でまだ30代後半だったとは思わなかった。
演じているカミーユ・コデュリも1965年生まれなので、2006年のシリーズ2だと41歳だから母親とほぼ同い年か…。見えないなぁ…。
七話目「テレビの中に住む女」はイギリスの歴史や文化史を見れておもしろかった。
1953年ではまだ配給制だっとか、エリザベス二世の戴冠式でテレビが普及したとかは「へえ~」だったし、50年以上前の時代劇をそのままの街並みで出来てしまうイギリスにも「へえ~」だった。
八話「闇の覚醒」と九話「地獄への扉」では、まるで一本のホラーSF映画の様な前編後編。
ブラックホールに吸い込まれない星と、それを可能にしている謎の重力波。
その重力波の発信源は何か?の結構ハードSF的な導入から、精神を乗っ取る悪魔の様な存在が登場してのホラーとなり、ダクトで襲って来るウードから逃げる所なんか映画「エイリアン2」になり、狭い採掘基地での攻防も映画「エイリアン」的で、色んな美味しい部分を詰め込んでの回。
余りにおもしろかったので二話続けて見てしまったけれど、一時間半のホラーSF映画としても抜群に良く出来ていた。
しかもそこにドクターがいるので笑いの要素もあるし。
十話目「エルトン君の大冒険」は何時ものドクターやローズからの視点ではなく、ドクターを探す一人の青年の体験談の思い起こしの形で話が進む珍しい回。
わたしは変な落ち込みや鬱的な気分の時に見てしまったので、この回が刺さる刺さる。
楽しい前半から急に物悲しくなる終盤に泣きそうになり、しかし、最終的に物凄い際どい下ネタでめでたしめでたしはなかろうとも思ってしまったけれど。
ドクターの周辺の普通の人々を見せる一話で良く出来た話。
十二話「嵐の到来」十三話「永遠の別れ」の連続話では、幽霊が町にあふれかえっていると思ったら、その原因はこれまでシリーズ2で度々名前が登場したトーチウッドでトーチウッドが登場。
そこから同じく前に登場した並行世界のサイバーマンの侵攻が始まり、そこにダーレクまで登場し、サイバーマン対ダーレクの戦争になってワクワクが止まらない。
更に並行世界のミッキー・スミスやローズの父親が登場し、それまでのミッキーではない格好良いミッキーが見れたり、何度も描かれたローズの父親と母親の別れがここで結ばれたりと熱い展開の連続。
そして、ローズとの別れとなり、これも非常に良い締め方。
ローズ編の終了という形でシリーズ2が終わったけれど、ここまでの様々な出来事の繋ぎ方が非常に上手いし、それを使ってワクワクドキドキの熱々展開に、泣ける締めからの次に何が起こるの!?の笑いもありつつのクリフハンガーで、本当に見事なシリーズ2の最後。
決して豊富ではない予算でSFをする中で、シリーズを通しての構想や発想でこれだけおもしろいモノが出来るのだから本当に素晴らしい。
このシリーズ2の放送後に「秘密情報部トーチウッド」が開始したという事なので、「秘密情報部トーチウッド」も見てみよう。
関連:ドクター・フー シリーズ1