ザ・ストーム

2021年08月07日 土曜日

ニック・ライオン監督、ジョン・ヘニガン主演の2015年のアメリカのテレビ映画「ザ・ストームStormageddon)」

アメリカ軍が無人航空機による爆撃の実験をしていた最中、何者かにハッキングされて無人航空機は町中でミサイルを発射し惨事となった。
新聞記者のモリー宛にビデオテープが送られて来たが、そこに映っていたのは16年前に死んだモリーの父親で、世界を救う為にアダムという男性を探し出せと伝えていた。
モリーがアダムを探し出そうとすると謎の組織から命を狙われたが、モリーを助け出したのはアダムだった。
アダムはかつてモリーの父親と働いており、モリーの父親が作り出したプログラム「エシュロン」が自我を持ち人類を抹殺しようとしていると話した。
「エシュロン」を止める為にモリーとアダムは追手と戦いながらモリーの父親が残した情報を集め始めたが、傷付いたアダムの腕が機械だと知ったモリーはアダムに尋ねると、アダムはモリーの父親によって作られたロボットだと分かる。

Amazon プライムビデオで配信が終わりそうだった映画の中にあり、サムネイル?に出ていた役者を見た時に「あ、これ、WWEのスーパースター(プロレスラー)ジョン・モリソンじゃない?」と思ったら出演者にジョン・ヘニガンという名前があり、調べたらジョン・モリソンの本名がジョン・ヘニガンだったので、ジョン・モリソンの役者を見てみるだけの目的で見たテレビ映画。
しかし、低予算なのは分かるけれど、余りに脚本が駄目駄目過ぎて酷い。

題材が自我を持った人工知能の人間への攻撃って2015年でも今更感しかないけれど、人工知能が自我を持ち全てのネットワーク接続機器が脅威となる恐怖が題材なのに、そこはそれ程で、ほぼロボット感の無い人間にしか見えないロボット同士の戦いがほとんどになっていて、しかもロボットは銃を撃っても大して効かないので肉弾戦での戦いが主になっていて、元々の題材の大きさとはかけ離れた男同士の殴り合いという非常に小さい場面ばかり。
このロボットが、エシュロンを作ったモリーの父親はプログラマーかコンピューター技師とかかと思ったらモリーの父親がロボットを作り出しており、モリーの父親は一体何者だし?
天才過ぎるし、違う幾つもの分野の超専門家というゴチャゴチャした設定になっている割に、エシュロンが危険な事が初めから分かっていたのに対策のプログラムを作っておらず、非常に回りくどい宝探しゲームを仕込んで、結局はアダムだったなら初めからアダムに教えておけな手抜きで、天才という表面の設定だけで本当は馬鹿なんじゃないの?と思えてしまう人物。

エシュロンは全人類を抹殺しようとしているけれど、プログラムを弄って生活を壊滅させたりとか、国同士を戦わせて大惨事を起こすとかはせず、人工衛星を使って巨大な嵐を起こしたり、人工衛星からの謎光線で空に謎の黒い霧みたいな物を発生させ、その霧がピンポイントでビルを原子分解の様に破壊したりと人工衛星頼りの攻撃ばかりだし、話の展開としても超技術の人工衛星を超便利に使いまくってしまっていて、エシュロンも結構頭が悪い感じ。

一方のアメリカ政府はエシュロンを止めようとはしているけれど、エシュロンのサーバーを爆破するとか、エシュロンが入っている建物を攻撃したりもせず、何故かモリーを追っている馬鹿さ。
現場の捜査官はとにかく邪魔だと思ったら相手を殺しまくってしまい、目的が何で、その為に何をするのかを全く理解していない様な馬鹿さ。
エシュロンが脅威ではなく、それを運営している政府や捜査機関が馬鹿なだけにしか見えなかった。

話は穴だらけでグズグズなのでジョン・モリソンのアクションで見せるのかと思ったが、そうでもなく。
安くて悪い映画の特徴でもある、アクション場面ではカメラをぶらして短く編集する事で臨場感や速さを出そうとする意図があるけれど、ただただ見難いだけというのがこれでも出ていた。
そもそもジョン・モリソンがアクションがあんまり上手くない様に見えたのだけれど、ジョン・モリソンってWWEでは結構見せる方だとは思っていたのにこのアクションって、やっぱりスポーツ・エンターテイメント(WWEのプロレス)と映画・映像の演技では何か違うんだろうなぁ。

この映画で一番酷いと思ったのが一番最後の演出で、停止したと思ったジョン・モリソンが目を開けるのだけれど、目を開けた時に「ドンッ!」という音で驚かし、これだと死んだと思った敵が実は生きていたという様な見せ方で、自分の命を懸けて人類を救った良いロボットだったジョン・モリソンの生存がまるで今後の恐怖みたいになってしまっている。
この生き返りって泣ける方に持って行かないといけないんじゃないの?

そう言えば、この話の始まりになるモリーの父親のビデオテープって、結局誰が何の目的でモリーに送ったの?
これ、一切触れられずじゃない?

あと、原題の「ストーマゲドン」はこの内容で「ストーマゲドン」って抜群の命名じゃん。
邦題も原題の「ストーマゲドン」そのままの方が全然良いのに「ザ・ストーム」って、これの日本の配給はアルバトロスフィルムなのに原題の「ストーマゲドン」が抜群なのに何故何時ものヘンテコな邦題路線をせずに無味無臭な邦題に変えてしまったのだろう?

この映画、脚本が酷く、人工知能の反乱とか、ターミネーターの様なロボット同士の戦いとか、宝探しとか、ディザスター要素とか色んな要素を詰め込んで散漫になり、どれも穴だらけで都合がよく、それらの事には制作側の誰も突っ込まなかったのかと非常に疑問。

☆★★★★

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