アサシン・ゲーム

2014年08月21日 木曜日

アーニー・バーバラッシュ監督、ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の2011年の映画「アサシン・ゲーム(ASSASSINATION GAMES)」。

ルーマニアで殺し屋をしているヴィンセント・ブラジル。同じくルーマニアのインターポールの幹部は殺し屋を使い犯罪者を殺害していた事が明るみに出そうになり、その生き残っている殺し屋の一人ローランド・フリントを誘き出して殺そうと企んでいた。ローランド・フリントは犯罪集団への潜入がばれて奥さんを昏睡状態にされてしまい、そのボスであるポロを恨んでいた。インターポールの幹部は刑務所にいるポロを出所させ、ローランド・フリントに命を狙わせて現れた所を捕まえようとしていたが、ローランド・フリントはその殺しの依頼を受けず、ヴィンセント・ブラジルの所へ暗殺依頼が回って来た。二人の殺し屋が一人の暗殺を狙って顔を合わす事になる。

ジャン=クロード・ヴァン・ダムって1990年代に持てはやされ、それ以降落ち目な感じで扱われてはいるけれど、彼の21世紀の映画ってそんなに悪くはなく、結構真面目に作っている物が多い印象で、この映画もその中の一つだと思う。
全体的に話は重く、暗く、画的にも褪せたセピア的な色合いで非常に雰囲気があり、構成もちょっと変わっている。普通なら意識の無い奥さんの復讐をしようとする方が主人公で、それをジャン=クロード・ヴァン・ダムが演じるはずなのに、その復讐をする役を演じるスコット・アドキンスの方はあくまでも脇役で、この映画での主人公は殺し屋をしているだけの男が娼婦に出会う事によって少し感情を持ち始めるという、まるで「レオン」みたいな話の方のジャン=クロード・ヴァン・ダム。しかし、見ている限りでは、やっぱり話を引っ張るスコット・アドキンスの方の話が主軸になっていて、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが主人公なのに意外としゃしゃり出てこない。この全く別の二つの話が重なり合い、微妙に主人公の感情に変化をもたらすというのが中々良い。結構ジャン=クロード・ヴァン・ダムのアクション場面が少ないにも関わらず、それ程退屈しない展開と流れになっている。アクションで誤魔化さず、ちゃんと話を見せようと作っているのが好感。

最近の映画や、特に低予算のビデオ映画等では制作費が安く抑えられる東欧での撮影が多い様に思われ、スティーヴン・セガールのビデオ映画でも東欧での撮影が多いけれど、東欧だと物寂しい町の雰囲気や犯罪が蔓延る感じの現実感が出て、撮影場所としては中々良い所。
スティーヴン・セガールの名前を出したけれど、1990年代にアクション映画のアクション俳優として非常に注目を浴びた事もあってスティーヴン・セガールとジャン=クロード・ヴァン・ダムを比べたくなるけれど、わたしは21世紀からだとジャン=クロード・ヴァン・ダムの映画の方が全然好み。スティーヴン・セガールの止まらない体重増から来る、手足だけをバタバタさせてほぼ動かない省エネアクション連発に比べると、ジャン=クロード・ヴァン・ダムはこの映画でもちゃんと肉体鍛えているし、アクションも結構動くし、映画の話を見せるなら自分が引いて脇役の様にもなるしで、ちゃんとしている。ただどちらの映画も、この映画でも結構エグい暴力場面が多いのはあんまり好きじゃない。

この映画、暗く重い話だけれど、全く違う二人の対照を見せていて中々おもしろい。それに下手にジャン=クロード・ヴァン・ダムが大きな顔をせず、ちゃんと話を見せる事を考えて真面目に作っているのが感じられて、そこでのジャン=クロード・ヴァン・ダムのカッコ良さも感じられて、中々良い感じに仕上がっている。

☆☆☆★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply