沈黙のステルス

2014年08月19日 火曜日

スティーヴン・セガール製作・脚本・主演、ミヒャエル・ケウシュ監督の2007年のビデオ映画「沈黙のステルス(Flight of Fury)」。

よく分からないが刑務所で記憶を消されそうになっているジョン・サンズが脱走。町で強盗を正当防衛で殺したジョン・サンズは警察に捕まり、身柄を引き受けたのは空軍の将軍だった。空軍では最新のステルス戦闘機が訓練飛行中にそのまま持ち逃げされた為、元ステルス戦闘機の飛行士だったジョン・サンズに奪還を依頼しに来た。

刑務所でのスティーヴン・セガールが何かしらあった様で、それが後の何かしらに繋がって来るかと思いきや何も無し。警察がスティーヴン・セガールを怪しいと思い、その刑事が重要人物になるかと思いきや、それ以降の出番は無し。ステルス戦闘機の奪還が目的なので空中戦になると思いきや、中盤以降はアフガニスタンでの地上戦の話に。全ての振りや設定が意味をなさない酷い流れの脚本。
そして話の展開や設定も無茶苦茶。店に強盗が入って来て、そこにたまたまいたスティーヴン・セガールが皆殺し。これはよく見る展開だけれど、スティーヴン・セガールは正当防衛を主張。警察に捕まり防犯ビデオを見たら警察も正当防衛で釈放してしまう。ステルス戦闘機を奪って来た報酬が1億ドルって、子供の百億万円と変わりもしない馬鹿っぷり。ちなみに作中のステルス戦闘機の値段は7500万ドル。銃撃戦をしているのは兵士のはずなのに、周囲から敵が襲って来ても物陰に隠れもせず、部屋の広い中央にしゃがんで撃ち続けるだけなので、当然撃ち殺されて全滅。敵はテロリストと言うけれど悪さを見せていないので、スティーヴン・セガール達が傷付かず相手を容赦無く皆殺しにしてしまうのを見ていると、誰が悪党なのかが分からなくなって来る。ステルス戦闘機に生物兵器を乗せてばらまこうとしているけれど、拡散すると地球上に広がるって、だったらステルス戦闘機いらんじゃん。拡散し始めるのはどこでもいいし、広がったら地球上全体ってテロリストは何をしようとしていたのかも不明。全てを適当に書き上げたのが見える、流石の脚本家スティーヴン・セガール。

普通ステルス戦闘機と言うと、レーダーに引っ掛からない機体を思い浮かべるけれど、これに出て来るステルス戦闘機はボタンを押すと完全に透明化して見えなくなる光学迷彩という超技術を搭載して、結構ぶったまげ。しかも、頻繁に戦闘機が飛ぶ映像が出て来るけれど、ビデオ映画という低予算からして、これらの映像は多分どっか他の何かの映像から持って来ている感じ。その場面だけ映像が荒いし。

近年の大量生産されるスティーヴン・セガール映画だけあって、彼のアクションは手だけを動かし体は動かさない。近景以外は替わりのスタントマンが全てを演じるという、毎度のセガールアクション。更に酷いのは、ほとんど直接当たるアクションがなく、手元は別人の別カットでスティーヴン・セガールの顔だけが抜かれる場面が多数。しかも、見せ場が飛行機での空中戦なのでアクション場面自体も少ない。だから初めのスティーヴン・セガールの意味も無い虐殺場面があったという事か…と理解。つまり、話的には序盤の将軍と会う以前の場面は全く必要も無い。

この映画、スティーヴン・セガールが出ていてステルス戦闘機と言えば、あの「エグゼクティブ・デシジョン」を思い浮かべるけれど、これもステルス戦闘機を扱っているのに、やっぱりセガール映画で、登場はあれだけだけだった「エグゼクティブ・デシジョン」でのスティーヴン・セガール方が全然良い。スティーヴン・セガールに脚本を書かせた所でこんなんにしかならないのだから書かせるな…と思っても、スティーヴン・セガールが出ていればどんな題材でも同じになるのだから大して変わらないか…。

☆★★★★

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