沈黙の激突

2013年12月05日 木曜日

スティーヴン・セガールが主演だとこれまでの映画とは関係無くても邦題は勝手に「沈黙の~」と付けてしまう、2006年の映画「沈黙の激突(Attack Force)」。この映画Direct-to-video、日本だとVシネマと言われる作品。

スティーヴン・セガールは軍人で作戦の休憩中に部下が惨殺される。その事件を追う内に、その国の政府の薬物実験が見えて来る。

まず軍関係の話かと思わせておいて、実はその設定は全然関係無く、大筋の事件は偶然巻き込まれただけの粗い話。何時の間にか薬物中毒者は目が異星人が地球人に成りすましている様な時の、目玉の中が更に瞬きする様なミュータントに変容してしまう設定が何時の間にか付け足され、しかもそうなる前、攻撃して来る前に普通の人を撃ち殺してしまう粗さ。スティーヴン・セガール達の行動は、部下が殺されたからの単に復讐なのか何なのか良く分からないし、敵も何がしたいのか分からないしで、全体的に皆何がしたいのかさっぱり。
単にアクションを見せたいのかとも思えるどうでもいい話なのに、アクションは少な目、特にスティーヴン・セガールが直接動くアクションは数ヶ所しかなく、しかも全然動かない。おじいちゃんがフラフラしているかの様な酷いアクション。スティーヴン・セガールは近年の体が分厚いと言うよりは太り過ぎな体型で、足元までの長過ぎるコートで体型を隠しているけれど、しかし彼の部下達はひょろ過ぎで、スティーヴン・セガールの不摂生が強調されまくり。あご周りのタプンタプン感たんまり。
そのセガール・アクションは近年でも酷い物。何時ものやたらと動かしまくる手の動きは遅いし、太り過ぎで真面に足が上がらず、映像の編集での誤魔化しが半端無い。しかも他の人達のアクションも素人程度で、撫でる感ばかりな攻撃と、軽く当ててカット割って編集で見せようとしていても誤魔化しは効かず、スティーヴン・セガールも含めアクションのしょっぱさと言ったら酷いモノ。
更にスティーヴン・セガールの手抜きは自分の出演場面にもおよび、主人公であるはずのスティーヴン・セガールはほとんど出て来ず、彼の部下と悪役側の話ばかりで進んでしまう。最早主人公がスティーヴン・セガールなのかも怪しい程。映像にはスティーヴン・セガールが出て来ず、声だけで自動車移動の場面をやってしまうなんて凄い手抜き。スティーヴン・セガールが駄々こねて撮影しなかったのか、撮影し忘れたのか。

初っ端から笑ってしまったのは、スティーヴン・セガールの吹き替えはもちろん大塚明夫なんだけれど、彼の部下の吹き替えが小山力也で、無線でのサポートするモノだから、物凄くジャック・バウアーっぽい。

近年では東ヨーロッパが映画・映像撮影の勧誘に熱心で、これもVシネで安く仕上げる為にルーマニアでの撮影が多い。その分雰囲気は良いけれど、景色や建物は関係無く、スティーヴン・セガールのVシネマだから全体的には安っぽい。

この時期スティーヴン・セガールは、年に三本位映画、劇場公開の無いビデオ作品を取っているので、出演は少なく、アクションも簡単にと、省エナジーで作品を作り上げてしまうセガール・ムービー。内容もセガール・ムービー。周りの人間は真剣に作っているのだろうけれど、スティーヴン・セガールが製作・脚本にも入った為か話は説明不足の独り善がり。自分の出演を減らし、スティーヴン・セガールの手抜き感、適当感ばかりが目立ち過ぎる。これ程見ても身の無い映画も珍しい。唯一感心するのは、こうやって如何に自分は余り動かず手軽に作って稼ぐかという方法を実践して、それが出来る凄さ。

☆★★★★

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