コナン・ザ・グレート
2013年11月29日 金曜日ジョン・ミリアス監督・脚本、アーノルド・シュワルツェネッガー主演で、彼の出世作でもある1982年の映画「コナン・ザ・グレート(Conan the Barbarian)」。
ロバート・E・ハワードの小説「英雄コナン」シリーズが原作。
タルサ・ドゥーム率いる盗賊団に村を襲われ、彼らの奴隷となってしまった少年コナン。成長したコナンは剣闘士になり、奴隷の身分から解放され、タルサ・ドゥームを倒す為に仲間達との冒険へと出て行く。
現実の北欧ファンタジーに近いけれど、色んなモノがゴチャまぜなヒロイック・ファンタジー。ファンタジーだけれども、異形の怪物や魔法が普段の生活の中に存在している訳ではなく、現実に近い感じ。それに首を跳ねたり、ドックドク血が流れたりと、ダーク・ファンタジーの要素も入った現実志向の古代剣士モノなので、ファンタジーが苦手なわたしでも十分楽しめた。今だと怪物だの魔法だのをバリバリCG使いまくって、つまらなくしてしまうのだろうけれど、この時代のセットや小道具等も実際に作っているから出る雰囲気は良い。
アーノルド・シュワルツェネッガー演じるコナンは、盗賊だし、容赦無く人を殺すしで、邦題の「コナン・ザ・グレート」というのはあんまり当てはまってなく、原題の「コナン・ザ・バーバリアン」、野蛮人コナン、蛮勇コナンの方がぴったり。
展開的には飛び飛びだったり、動機付けがはっきりと描かれないまま行ったりして分かり難い所も。出会う人達がコナンの仲間になり、何故一緒に命を懸けてコナンと共に戦うのかもいまいちはっきりしない。
奴隷として働かされている時、何をしているか分からない人力でグルグル回す巨大な木の装置が登場し、漫画「北斗の拳」でも出て来たけれど、これが元ネタか?それを回しているだけで、筋肉パンパン、物凄くパンプ・アップされた体になるんだから凄い。序盤のコナンの見せ方は、完全にボディビルダーから俳優になったアーノルド・シュワルツェネッガーの体を見せるPV的な部分。
おもしろいのは、宗教が一神教に占拠されていないから人々が自分の信じる神について話し合い、「俺の神が強い!」「いや、俺の神の方が強い!」と笑いながら話すのが、相互理解が前提にあり意外と進歩的だし、理想的な宗教のあり方を見せている事。また、何にもしてくれないから祈らない、じゃあ手助けしてあげるから祈りなさい的な即物的な信仰と神の関係とかも。そして話の中心も宗教集団との戦い。信じている信者は自分の命さえ投げ出したり、語りかけて人を操る教祖とか、意外とカルトを描いていたりもして、古代ファンタジーで本来なら描かれるべき部分が描かれており、宗教という部分での面白味がある。
アーノルド・シュワルツェネッガーは、まだ俳優業初期なので若い。これだと台詞が少ない無口な人物だけど、結構それがはまっている。もちろんバッキバキな肉体美は流石。それとこの時から前歯はやっぱり隙っ歯なのね。
「コナン」と言えば、「名探偵コナン」や「未来少年コナン」ではなく、やっぱり「蛮勇コナン」。で、コナンはやっぱりアーノルド・シュワルツェネッガー。それを決定付ける映画。内容的には分かりやすいヒロイック・ファンタジーだけれど、宗教や復讐や妙に無常感もあったりと、ダーク・ファンタジー傾向もあり意外と大人向け。B級と言えばB級だけれど、結構良い感じな映画。
☆☆☆★★
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