ミート・ザ・ペアレンツ2
2013年11月05日 火曜日映画「ミート・ザ・ペアレンツ」続編、ベン・スティラー、ロバート・デ・ニーロ、ダスティン・ホフマン共演の2004年の映画「ミート・ザ・ペアレンツ2(Meet the Fockers)」。
前作の最後にロバート・デ・ニーロが「彼の両親に合わないとな。」と言って予告していた通り、今度は結婚相手の彼女の父親ロバート・デ・ニーロ一家が、ベン・スティラーの父親であるダスティン・ホフマン夫妻の家へと向かう。
ダスティン・ホフマン夫妻とロバート・デ・ニーロ夫妻とは価値観が違い過ぎて、そこから来るコメディ。
前作はベン・スティラーのドタバタを見せていたけれど、今回は保守的な石頭親父のロバート・デ・ニーロと開放的で陽気なダスティン・ホフマンの違い過ぎる価値観の対立とぶつかり合いとその狭間でどちらにも行ったり来たりするベン・スティラーという関係性の妙で笑わせ、前作よりも更におもしろくなっている。
基本は前作と同じ。娘の好きな相手を認めたいけれど、やっぱり気に喰わないロバート・デ・ニーロと、何とか彼女の家族、特に父親のロバート・デ・ニーロに馴染みたいと思っているけれど、すぐに調子乗って結局は失敗や間抜けを繰り返すベン・スティラーは今回も。そこにベン・スティラー以上に調子乗りで陽気な父親ダスティン・ホフマンが皆をかき回すというのが今回の構成。思いっ切り続編なので、当然前作を見ていないと事情は分からないけれど、これだけでも多分十分楽しい。ただ、映画の初めから前作では飛行機での旅行が問題しか無かったのが一転、全て上手い事行き過ぎるとか、そこからも前作あっての笑いを作っている。
何より配役の上手さ。ロバート・デ・ニーロは前作で出来上がっているのでしっくり来過ぎているれど、奥さんの不満が出て来て奥さんを顧みる様な人に変わる変化もありつつも、堅物の亭主関白さはぴったり。でも、あの大きく笑わないニンマリとした笑いを見ると、前作同様元どーよのa href=”http://www.sunmusic.org/profile/teru.html” target=”_blank”>テルのロバート・デ・ニーロの顔まねを思い出して笑ってしまう。
そして、ダスティン・ホフマン。ダスティン・ホフマンの少年っぽさを出して来る演技も良い。ベン・スティラーみたいに、しっかり顔を作って顔芸で笑わそうとする感じではなく、普通の表情でもちゃんと笑いになるのだから、ダスティン・ホフマンにしろ、ロバート・デ・ニーロにしろ、抑えた感じで笑いへと持って行くのは役者としての上手さ。この二人を見ると、どうしてもベン・スティラーはまだまだ修行が必要だなぁと感じてしまい、ベテランの良い俳優の力を見せつけた感じ。
配役の凄い所は、ベン・スティラーは前作でユダヤ系の役と出て来たけれど、今回の父親役のダスティン・ホフマンは実際にユダヤ系の両親だし、母親役のバーブラ・ストライサンドもユダヤ系の家族に産まれており、そこからもはまる役者を配役している。
脚本にも細かく仕掛けがしてあるのも上手い。ダスティン・ホフマンの家に来たロバート・デ・ニーロが鹿のはく製を見て「鹿狩りをするのか?」とダスティン・ホフマンに尋ねるが、ダスティン・ホフマンは「いや私はしない。罪も無い動物を…」と言う場面。ロバート・デ・ニーロは鹿狩りや鴨狩をする保守の人に対し、ダスティン・ホフマンは動物狩りが嫌いなリベラル側の人ですでに溝があるという意味だし、更にロバート・デ・ニーロに「鹿狩り(You hunt deer?)」なんて言わせれば、ロバート・デ・ニーロ主演の映画「ディア・ハンター」を思ってしまうというくすぐりにまでなっている。子供が弄ったテレビに流れたのが「スカーフェイス」のアル・パチーノとかも。これが更なる続編の三作目でアル・パチーノの登場への振りかと思ったら、そんな事もなく、これで終幕なのか…。
皆でフットボールする場面は中々良い。フットボールで皆が仲が良くなる感じも良いし、おじいさん同士が本気で喧嘩する感じも楽しい。しかも、それがダスティン・ホフマンとロバート・デ・ニーロだからな…。
それに息子と親の関係性もおもしろい。ベン・スティラーの両親はイチャイチャし過ぎで、傍からだと微笑ましいけれど息子にしたら恥ずかしいだけだし、父親には飽きれるけれど母親とは深く話すとか、前作ではロバート・デ・ニーロと娘との関係がいまいち描かれていないかったから、今作の方が親子関係が描かれてる。これは前作も今作も脚本家がジム・ハーツフェルドとジョン・ハンバーグという男性だから、娘よりも息子の方が分かっているからだろうか?
それと、あの小っちゃい子の「ass hole」は笑ってしまった。
前作はベン・スティラーのドタバタで笑いを取ろうとしてやり過ぎたり、すべっていた所も多々あったけれど、今回は人々の価値観の違いと関係性で笑いを見せるので非常におもしろく、結構声出して喜んで笑っていた。最後の方に行くにつれ話が散漫になる傾向や、最後のロバート・デ・ニーロの心変わりが性急過ぎる気もしたけれど、一作目よりも全然こっちの方がおもしろかった。何よりロバート・デ・ニーロとダスティン・ホフマンの力に加え、ブライス・ダナーとバーブラ・ストライサンドの二人の母親の存在も大きく、その間で揺れるベン・スティラーという形で、変にベン・スティラーが前面に出て来なかった分家族の問題、夫婦の問題が描けておもしろくなったと思う。
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