プリティ・ブライド

2013年11月03日 日曜日

映画「プリティ・ウーマン」と同じ、ゲイリー・マーシャル監督、リチャード・ギアジュリア・ロバーツ共演の1999年の映画「プリティ・ブライド(Runaway Bride)」。

ネタに困った新聞のコラムニストが、飲み屋で会った男性から聞いた「結婚式の途中で何度も逃げ出す花嫁」の話を記事にする。しかし、本人からの苦情が届き、コラムニストは首に。コラムニストは名誉挽回の為に逃げ出す花嫁を直接取材し、徐々に二人は近づき始める。

もうあちこちが意味不明な上、退屈なだけの展開で酷い出来。
リチャード・ギアは町中の人が知っている様な出来る有名なコラムニストらしいのだけれど、それをどんな新聞の記事を書いたか…とかで見せるとかは一切無く、説明台詞だけで「そうだ。」と言う既成事実を作り上げ、この出来るコラムニストと役柄に説得力など微塵も無い。長年しているらしいコラムニストなのに、町のバーの酔っ払いから聞いた話を実名で書いてしまうという、アホの新入社員かと思う位の頭の悪さ。良くこれで人気コラムニストと言える脚本が凄い。リチャード・ギアは首になり、ジュリア・ロバーツを取材に行くけれど、そこには首にされた復讐を彼女に…とかは見えず、かと言って彼女に懺悔しに来た訳でもないし、何しに来たのかがよく分からない上、彼女をネタに何かを書くにしてはやる気があるのか無いのか分からないしで、何がしたいのかさっぱり分からない。もう、ジュリア・ロバーツとくっ付く為だけの設定。それに、リチャード・ギアの別れた元妻が仕事の上司で、長年の同僚がその元妻と結婚しているのに普通に仕事しているリチャード・ギアの考えている事なんて、全く分からない。
ジュリア・ロバーツの方も訳の分からない事が多く、そもそも何で逃げ出すのかは「相手に合わせてしまい、相手は本当の自分を知っていないのに結婚してしまうし、人に見られているのが嫌だ」と言う自分勝手と言うか、だったら結婚する前に色々やる事あるだろうと言う理由で逃げ出すのに、何故か逃げ出された元花婿とは友達関係が続いているという余りにも現実味の無い周囲の人々。しかも、その時付き合っていたクリストファー・メローニとは、結婚式の予行演習中にリチャード・ギアとジュリア・ロバーツがキスしてしまい駄目になってしまい、ただ単にジュリア・ロバーツが気移りが激しいだけの尻軽女にしか見えず、これまでもそんな事だったんだろう…としか思えない酷い女。そんな事されたクリストファー・メローニは、リチャード・ギアとの結婚式には来て「お前で良かった。」と屈託無く言い放ち、こいつは余りにアホなのか、聖人並みに赦す人物なのか、もう訳が分からず。
このジュリア・ロバーツは自分勝手で好き放題、男性は誰もがジュリア・ロバーツに夢中になり、彼女に逃げられても恨みもしないって、男はお人形さんかと思える程感情が存在しないのは何かと思ったら、この映画の脚本家二人もいるのに、二人共サラ・パリオットジョーサン・マクギボンという女性のみだからか。女性向けの映画とは言え、男女の恋愛で脚本家二人もいるなら一人は男性入れないと。それとも女性だからという事関係無く、単にこの二人の脚本が酷いだけなのか。

あと気になったのは、これまでのジュリア・ロバーツの結婚式のビデオを友人が撮ったと言っているのにカメラが複数台あり、式の途中なのにバンバンカットを切り返す編集だったり、切り返すのにカメラマンが一切映っておらず、明らかにカット毎に別撮影した映像を繋いでいる映画用の映像で、全く個人による結婚式の撮影に見えないとかのゲイリー・マーシャルの演出の適当感。序盤でリチャード・ギアが田舎町に向かう時に、ダリル・ホール&ジョン・オーツの「マンイーター(Maneater)」を流していて、1982年の、20年近く前の「マンイーター」というそのままな曲を持って来ている時点で「こ、これは酷い…」と思ったけれど。
ただ、リチャード・ギアが泊まっているホテルの受付の若い子が、受付終わったら速攻でヘッドマウントディスプレイ状態でバーチャルボーイで遊んでいる演出は最高。バーチャルボーイをスタンド立てて机に置いてではなく、ただでさえ本体がデカいのに頭に装着して、頭を振りながらのバーチャルボーイ。日本では1995年の7月に発売され、12月には発売中止。アメリカでも1996年の3月には発売中止になったバーチャルボーイを1999年の映画で登場させる意味不明さに加え、このバーチャルボーイを出して来た事に何の意味も無い事も凄い。

この映画、中盤過ぎてもダラダラと「ジュリア・ロバーツが逃げ出すかも」「リチャード・ギアとジュリア・ロバーツがくっ付くかも」という、そうなるだろう、そうしかならないだろうと言う分かり切った展開しか見せない退屈な展開で引っ張り、その後の二人の関係とリチャード・ギアからも逃げ出すけれどハッピーエンドという、これまた分かり切った展開だけで、物凄くつまらない。
リチャード・ギアは何時ものリチャード・ギアで引っ掛かりも無い演技だし、ジュリア・ロバーツは田舎町の普通な女性を演じようとしてはいるけれど、都会的なモデル感は拭い切れず役を食いまくりだし、脚本は酷いし、演出も小寒いし、「プリティ・ウーマン」のヒットのおこぼれを狙い過ぎて「逃げる花嫁」とは関係無い「プリティ・ブライド」という邦題にもしてしまうし、せざるを得ない内容で、全く持って全てが酷い映画。

★★★★★

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