地球の緑の丘 - ロバート・A・ハインライン

2008年06月11日 水曜日

クラーク、ブラッドベリと読んだので次はハインラインという事で、ロバート・アンソン・ハインラインの短編集「地球の緑の丘(THE GREEN HILLS OF EARTH)」(ハヤカワ・SF・シリーズ)銀背版を読む。

 
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クラークやアジモフの初期の短編を読んだ時はそんなに思わなかったのだが、この短編集は何だか妙に古さを感じた。
それは、話中に普通に地球人とは別種の火星人や金星人が出てき、そこが話の核心として進めばこちらで脳内変換しておもしろく読むのだが、そこが核心では無く、あくまで一場景であり、それよりも人間の葛藤が主題なので、その環境設定の必要性の感じられなさだったのかもしれない。
それにまた、「宇宙パイロット」や「宇宙での試練」、「帝国の論理」等は、別に宇宙設定で無くともよさそうな、特に「宇宙での試練」は高所恐怖症の男が高い建物の張り出し部分にいる猫を助けようとする話で、SFの土壌でやらなくてもと思えるのだ。
SFなのにSF設定が弱かったり、必要性の少なさは、全編を通して見るとSF的面白発想からの話を書きたいのではなく、人間、それも人間の信念を描きたいからだからなのだなとは思った。
だからそこの為に科学技術の進展の少なさ等々を、気にせずにいられるかどうかという所ではある。
でも、この短編集の中では「宇宙での試練」が今でも納得出来る、過去からの脱却、冒険譚として一番おもしろく読んでいた。

にしてもこの短編集の「故郷」の様な、また「スラン」にもあるような、「後半でいきなり選民意識、エリート意識爆発」するこの時代辺りの話は、当時はどういう受け止められ方だったのだろうかと読み終わりいつも戸惑う。

それと、あとがきの解説の表題が「現代SFの代表選手―ハインライン」となっており、過去にフッと連れて行かれたので発行年を見てみると1962年だった。
わたしの感覚だと「歴史上境界線の大御所」だからなあ。

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