女王陛下の007

2013年10月10日 木曜日

ピーター・ハント監督、ジョージ・レーゼンビー主演の007シリーズ六作目、映画「女王陛下の007(007 On Her Majesty’s Secret Service)」。

ジェームズ・ボンドがたまたま出会った女性が犯罪組織のボスの娘で、そのボスに娘を更生させて欲しいと頼まれる。ボンドは了承したが、諜報員としての活動は今行っている計画から外されてしまう。それでも敵を探り出すボンドはボスの娘と共に敵と戦う事になる。

二代目ジェームズ・ボンドになったジョージ・レーゼンビーだったけれど、この映画がヒットしなかった事に加え、素行の悪さが問題となり、結局この映画のみの出演になってしまったいわく付の007。
007シリーズでヒットを約束されたはずなのに、見ればヒットしなかった理由は分かる。全く冴えないジョージ・レーゼンビーのジェームズ・ボンド。何をしているのか分からない話。グダグダした構成。盛り上がらないアクション場面。まあ、良い所が無い。

ジョージ・レーゼンビーが何より地味。華が無い。見た目的にはショーン・コネリーの次という事で、ショーン・コネリーの臭いもあるし、三代目のロジャー・ムーアの雰囲気もあり、流れとしては正統派のジェームス・ボンドなんだけれど、ジョージ・レーゼンビーはカッコ良い訳でも無いし、渋みがある訳でも無いし、普通のおっさん。いかした台詞を言うけれど、007だから言っている感じしかなく、全くはまっていない。そして、不思議なのはジョージ・レーゼンビーの顔のアップが少ない事。普通だったら新人ジェームズ・ボンドなんだから顔見せ的に印象的なアップが欲しいのに、始まってからも暫くは顔をはっきり見せないし、後ろ向きの姿や下を向いた顔とかが多く、アップが少ない。なので、見終わっても「ジョージ・レーゼンビーって、どんな顔だったっけ?」と全然印象に残らない。凄いのは、007のテーマ曲が流れているのに画面上にはジェームズ・ボンドがおらず、トレーシーが必死に戦っている場面で流れている事。もう製作陣も、よっぽどジョージ・レーゼンビーが気に入らなかったなんだろうなぁ。

話も、始まってずっとトレーシーとボンドが偶然出会う事の繰り返しで目立つ様なアクション場面も無く、物凄い退屈。ボンドも誰かを追っ駆けているみたいなんだけど、その相手はどんな相手で、どんな悪い事を企んでいるのかも全然分からず。そんな感じで一時間以上も話が進み、「何がしたいの?」と疑問ばかり。一時間半位経ってから、やっと派手なアクション場面が出て来るけれど、ずっとスキーでの追っ駆け合い。これも全然盛り上がらず、同じスキーでもこんなの見るのだったら「私を愛したスパイ」の冒頭場面数分を見た方が全然良い。あれはしびれる。
最後も、今までそれ程描かれていないボンドとトレーシーの恋愛劇が行き成り中心になり、死んだはずの敵が生きていました!で、そのまま敵がどうなったのかとかも描かれず終わってしまい、投げっ放しもいいとこ。もうグダグダ。
それと、この映画は「女王陛下」とは特に関係も無い。

この映画、007なはずなのに良い意味と悪い意味での世界中を周っての馬鹿馬鹿しいアクションがほとんど無く、かと言ってダニエル・クレイグのボンド的な迫力あるアクション場面でも無く、秘密兵器も無く、ボンドカーも無く、何かパチモンの007映画を見ている感じがして来る。グダグダして何を見せたいのか分からない脚本で、見せ場の少ない中途半端な娯楽映画になってしまい、007シリーズでも最低の映画かも。
わたしは途中で二度も寝落ちしてしまい、結局見始めてから二日目で何とか見終わった。

☆★★★★

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