ローグ アサシン

2013年10月11日 金曜日

フィリップ・G・アトウェル監督、ジェット・リージェイソン・ステイサム共演の2007年のアメリカ映画「ローグ アサシンRogue Assassin)」。

FBI捜査官のジョン・クロフォードは相棒とマフィアの抗争現場に乗り込み、殺し屋ローグと出会い撃ち合う。
ローグは逃げ延び、相棒の家族を皆殺しにしてしまう。
三年後。中国系マフィアと日本のヤクザの抗争を捜査するジョン・クロフォードは、その抗争にローグが関係している事を知り、相棒の敵を取る為にローグを追う。

ジェット・リーと言えば、功夫皇帝。
ジェイソン・ステイサムと言えば、アクションの出来るぬらりひょんなので、この二人の共演となれば二人が違う種類の格闘でバチバチやり合うのを期待するのに、二人の直接の格闘は最後の最後に少しだけで物凄く物足りない。
と言うか、この監督ジェット・リーとジェイソン・ステイサムで映画作っておきながら二人のアクションを全然見せないって、何を考えているの?
話の展開は雑でもいいから、とにかく二人のアクションを見せるべきでしょ。
なのに、序盤からずっと話は中国系マフィアと日本のヤクザの抗争の間に殺し屋ローグが入って両派に害が出る様に立ち回り、それをジェイソン・ステイサムが追うばかりで、見たいのはこんな事じゃない。
序盤から中盤にかけてジェイソン・ステイサムが脅しと力ずくで捜査して、とにかく殺しているばかりで、内容はこれまでの粗製乱造されたアクション映画と大して変わり映えしない。
最終盤に来て、ジェット・リーとジェイソン・ステイサムの真実が分かり、突然ローグがローグでなくなって二人の立場が全く逆になるという展開はおもしろいもののどんでん返しの為の取って付けた感はあるし、この内容じゃあ別にジェット・リーとジェイソン・ステイサムである必要が無くて、本当にジェット・リーとジェイソン・ステイサムの無駄遣い。

わたしはジェット・リーは大好きな役者なんだけれど、ジェイソン・ステイサムは以前から大して演技は良いとは思わないし、顔がぬらりひょんみたいに思ってしまい、どうにも好きではなく、配役的にもマフィアとヤクザの間にいるジェット・リーが悪役なのがいまいちしっくり来ず、ジェイソン・ステイサムが良い者なのは分かるけれど、顔的にはどう見てもジェイソン・ステイサムが悪役に思えてしまった。
これは最後まで見るとそうだとは分かるのだけれど、そこまで集中力が持たなくなってしまっていた。

この映画で一番謎なのは、日本人ヤクザが出て来るのだけれど、字幕版なのにそのヤクザ役の人達が何人か日本語吹き替えになっている事。
ヤクザの親分の娘役のデヴォン青木も吹き替えで、字幕版の原語なのにデヴォン青木の声は園崎未恵で物凄い違和感。
しかし、石橋凌やヒロ・カナガワは自分で日本語も英語も喋っている。
日本語吹き替えになっているのは音声の感じで、その場の台詞ではなく別人のアテレコなのが分かるけれど、これって、現場では日本人が聞き取れない程酷い日本語の台詞だったからなんだろうか?
日本語に関しては、ジェイソン・ステイサムが「ヤクザ相手にしているなら日本語くらい覚えろ!」と言った直ぐ後に「バカナラショウガナイケドナ」と日本人なら「んんっ?」となる片言の日本語を話して苦笑。
その後も日本語で喋っているらしいけれど、全く何を言っているかは聞き取れず。
「ゴメン」と可愛らしく謝るのは聞き取れた。
ちょっと調べてみると、どうやら本来のオリジナルではデヴォン青木も自分で日本語を喋っている様で(それが下手)、この一部だけの日本語吹き替えは多分日本向けの字幕版用の編集みたい。
しかし、これって劇場公開時はどうだったんだろう?だし、今の配信版だけの処置なのか、DVDでも同じ字幕版でも一部日本語吹き替えになっているのだろうか?

ヤクザが出て来るので映画内のタイトルや場所の表示も一瞬日本語で書かれてから英語表記になったり、室内の装飾も平仮名や漢字で書かれていたりするけれど、その書体は非常にそっけなく、使われ方も如何にもアメリカ人がよく分かっていないまま使っているダサさ爆発で、日本人が見ると相当しょっぱい。
台詞では「TeaHouse」「茶房」と言っているけれど全然普通の食事処の店の入り口には、「柳雪折れなし(柳に雪折れなし)」という日本語で書かれた看板があり、その隣には「馬鹿ほど恐いものはない」という更なる謎の看板が。
店内には「下手の横好き」「掃き溜めに鶴」「疑心暗鬼」とか、どうしてこのことわざになったの?という掛け軸が飾ってあって、誰が選んで書いたのだろう?
日本語を知っているスタッフの悪乗りの様な気がしないでもない。

役者はマフィア側のボス役でジョン・ローン、ヤクザの親分役で石橋凌や名無しの敵役でケイン・コスギとか出ていて、妙に脇役が豪華な感じもする。
石橋凌とジェット・リーの刀での戦いは、石橋凌は剣道や殺陣的な構えだけれど、ジェット・リーは中国拳法の刀の使い方で、この別派の戦いは結構おもしろく、この違いをちゃんと見せれる監督だったらなぁ…と非常に勿体ない。

この映画、終始抗争とその捜査で進んでしまって話がつまらなく、ジェット・リーは抗争の方を向いているだけで、ジェイソン・ステイサムはジェット・リーを向きつつ抗争の方を向いているので二人が中々交わらずに進んでしまって、ジェット・リーとジェイソン・ステイサムの対決を見せないと言う大失敗を犯している。
本来なら最後のオチをもっと早く出せば、ジェット・リーとジェイソン・ステイサムが何度でも対決出来て、結構アクションで見せる映画にはなったはずなのに、ジェット・リーとジェイソン・ステイサムの共演の意味が無い映画になってしまったのは残念過ぎた。

☆★★★★

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