007は二度死ぬ

2013年04月26日 金曜日

ショーン・コネリーの「007」シリーズ第六弾。1967年の「007は二度死ぬ(You Only Live Twice)」。

アメリカが打ち上げた宇宙船が宇宙で正体不明の宇宙船に連れ去られる事件が起こり、その宇宙船が着陸したという日本へ、何故かイギリスの諜報員のジェームズ・ボンドが一回死んだ事にして行動し易くして日本に潜入する。

舞台が日本なので、無理が一杯。序盤からジェームズ・ボンドを襲った日本人の敵を調べる為、ジェームズ・ボンドはその敵の仲間の車の後部座席に変装して乗り込み、運転している敵は帽子とマスク取るまで彼がジェームズ・ボンドだと気付かないという、ジェームズ・ボンドも脚本も大胆不敵。この自動車を運転していて、その後ジェームズ・ボンドと戦うのは、実はプロレスラーのピーター・メイビアザ・ロックことドゥエイン・ジョンソンのおじいさん。
その後も、ジェームズ・ボンドはただでさえ日本人の中ではデカい上に、外国人なので結構あっさり見つかってしまい最早バレバレなのに、日本人への変装をもう一回してしまう。こちらは日本人になり切っているよいう設定だけれど、もちろんこの変装も明らかに見た目はどう見ても欧米人。また、ジェームズ・ボンドの寝床の天井裏に敵が簡単に忍び込み毒を垂らして殺そうとするけれど、ジェームズ・ボンドはあっさり銃で撃ち殺してしまうけれど、だったら敵もひっそりと毒殺なんかせずに銃ぶっ放せばいいのに、突っ込み所は沢山。
ジェームズ・ボンドも、毎度お馴染みのモテっぷりはあるけれど、何か知らないけれど向こうから寄って来て、でも結局はジェームズ・ボンドをはめる為の策略なんて分かり切った事で、劇中でも何回もあるのだか、らいい加減ジェームズ・ボンドも気付けよという話だし。

舞台の日本は1967年なので、今見ると現実感は無い。当時の大都会である東京の街並みは、近年の寂れた地方都市っぽいし、当時の本物のネオン広告は胡散臭いアジア色たっぷり。大きな会社の秘書が自分の机で一昔前の大きなプリンターみたいな大きな機械で何しているかと思ったら、それが計算機だったり、日本なのに今とは全然違い、当時の日本が平行世界的なSF感たっぷり。なので、ジェームズ・ボンドが乗る自動車が日本の住宅地の中を走りまくり、後ろから敵がマシンガンで撃って来るのは、舞台が日本の普通な住宅街なだけに今見ても目新しい。
この映画でも「007」シリーズ初期でよく見る、室内はやたらと広いセットだったり、敵は秘密結社スペクターとか、日本の特撮ヒーロー的安さは一杯。だけれど、こういった欧米の映画で日本が舞台の時は、やっぱり抜け切ったヘンテコニッポンじゃあないとおもしろくない。この映画では意外と真面な描写多く、ヘンテコなのは和風内装の地下鉄車両とか、風呂場じゃなくて一部屋丸々風呂になっている場所での欧米人と日本人が交じった下着姿の美女達の背中流しとか、忍者達が姫路城で空手とか剣道の練習をしている位なモノで、意外とヘンテコさは抑えられているので、ニタニタして見たい方からすると結構物足りなさを感じてしまう。ちょっと失敗したら切腹しようとするとか、隈取りの捜査官がいるとか、女体盛とか出て来ないと、ゲタゲタ笑えない。そこで笑う為の日本が舞台の欧米映画じゃん。

日本が舞台の「007」シリーズという事で日本人的には喰い付くし、突っ込みを入れる所があるけれど、日本が舞台という部分関係無く「007」シリーズの一作としてはあんまり出来は良くない。敵もジェームズ・ボンドも何がしたいのか分かり難い回りくどさがあり、アメリカとソ連の対立なんて必要ない話だし、全体的に展開は緩慢でおもしろい展開でもないし、各所にアクション場面を無理矢理ねじ込んだ感はあるし、大作感はなく、安っぽさばかりが目に付く。ジェームズ・ボンドの八面六臂の活躍を見せる訳でなく、スペクターとの対決を盛り上げる訳でなく、ジェームズ・ボンドが日本にやって来たという部分に比重を置いてしまった事がいまいち感を増幅させた原因じゃあないかなと思える映画。

☆☆★★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply