クロムウェル~英国王への挑戦~

2013年04月14日 日曜日

ティム・ロス主演の2003年のイギリス・ドイツ合作歴史映画「クロムウェル~英国王への挑戦~(To Kill a King)」。

17世紀イギリスの清教徒革命でのオリバー・クロムウェルとトーマス・フェアファクスの友情関係と、国王や議会との争いを描いている。

中世から近代にかけてのヨーロッパの歴史なんて興味が無いけれど、ずっと見ていたTVドラマの「ライ・トゥ・ミー」の主役ドクター・カル・ライトマン役だったティム・ロスが主演しているという理由で見てみた。
オリバー・クロムウェルの清教徒革命は名前は聞いた事があり、どういったモノかも知ったはずだけれど、最早さっぱり忘れ切っていたので、見ていても「ふ~ん…」程度の関心。基本はどちらが権力を握るかの策略を巡らすのがほとんどなので、話は地味だし、主役二人の出番以上にそれ以外の人々の話が出て来るのでどうにも散漫さを感じてしまう。
民主主義に慣れてしまっていると、命をかけて戦い、多くの仲間が死んで行ったのに倒すべき国王の復権を認めるという意味の分からなさがどうにも意味が分からない。フランス革命もそうだけれど、折角の革命で権力が崩壊したのに、再び王を生み出すのがどうにも。どこの国でも王が王である理由は宗教であり、信仰だからなのか。国王側に付く人でも権力や金による買収は分かりやすく理解もするけれど、迷惑千万なのにも関わらず国王だからという理由だけで彼を守ろうとする人々にさっぱり思いが至らず、トーマス・フェアファクスの行動の原因が?なので、オリバー・クロムウェルとの対立も何だか置いてけ堀。この映画は、権力と宗教を合わせれば狂信により強くなるけれど、その組み合わせは人々を揉めさせるだけの最悪な組み合わせであるという事をも言っているのか。
それに結局この革命って、金持ちと軍事力を持った特権階級の権力争いでしかないのも乗り切れない理由。オリバー・クロムウェルとトーマス・フェアファクスも貴族階級で、二人の暮らしは豪華で、敵である国王はもっと豪華だけの違いだし、権力を手にした者は同じ様に暴走し始めるので、上流階級の内輪揉めを見させられているだけに感じて、これの貴族の内輪揉めに乗れないと全く持ってつまらない。

で、ティム・ロスだけれど、「ライ・トゥ・ミー」での濃過ぎる役を見てしまうと非常に普通な演技に感じてしまう上、一人の人物を描くよりも歴史の流れを描き、それぞれの人物を描いているので出番が少なく、非常に印象が薄い。なので、トーマス・フェアファクス役のダグレイ・スコットも印象が薄く、国王役のルパート・エヴェレットが本気で自分が神だと信じている、行っちゃってる役がはまっていて、出番が少ないけれど彼の方が印象に残ってしまう。

この映画、日本では劇場未公開だそうだけれど、清教徒革命時期周辺の歴史や当時の政治状況を知らないと結構置いてけ堀にされ、確かに劇場公開してもお客が入らなさそう。この映画、そこの歴史を知らないと、イングランドでは昔こんな事があったのねん位で終わってしまうだけかも。

☆☆★★★

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