ホステージ
2013年04月08日 月曜日ブルース・ウィリス主演の2005年の映画「ホステージ(Hostage)」。
一年前に交渉人として赴いた人質事件で失敗し、現在は小さな町の警察署長をしているブルース・ウィリス。そこに少年三人組の強盗に入った家に立て籠もる事件が起こる。ブルース・ウィリスはその事件に関わる事になるが、捜査権がFBIに移ってしまったので現場から離れるが、人質事件の家からDVDを取って来いと彼を脅す人物が現れ、再び交渉を始める。
非常にしょうもない。偶然に大して何の考えも無いガキ三人が強盗に入って立て籠もっただけの話で、そこに怪しい集団が関わって来るけれど、三人の強盗の掴みの弱さで出鼻は挫かれまくり。本来なら盛り上がるはずの立て籠もり以降の展開も平板で、在り来たりで、全然おもしろくなく、見事に盛り上がりに欠ける。本来なら閉塞感しかない人質事件をどうやって解決するのかや、緊迫した状況の中、自分自身も脅しにあっていると言う狭間でもがくというおもしろいはずの設定も活かす訳でもなく、サラッと薄味で捻る様な構成も無いまま流れてしまうだけ。
特に問題なのは、立て籠もったガキ三人に全く魅力無い事。どうにもしようとせず、ただ叫ぶだけの頭の悪い奴。カッコ付けのサイコ野郎。こんな事になってしまったけれど本当は良い子という、どの人物もベタ過ぎでカリカチュア的。しかも、人質となっているのは娘と幼い弟という、怪我も無く生き残るのが分かり切った人物達になってしまっているので、「ブルース・ウィリスが助けるんだろうなぁ…」と、やっぱり分かり切った展開に。家の中の人々は皆頭悪いので、見ていてもイラつくだけ。この登場人物達で、何をドキドキして見れと言うのだ…。更にこの主要なはずの人物達はあっさり退場してしまい、終盤は彼等と関係無い話で終わって行くと言うお座なり感。
ブルース・ウィリスは初めの過去の時は、髪を伸ばし、髭も伸ばしで何時もと雰囲気を変えていて、結構良い雰囲気。ちょっとミッキー・ロークみたい。なんだけれど、その後には髪の毛も髭も無しの何時ものつるっぱげのブルース・ウィリスになってしまい、折角の始まりの違いもあんまり意味無いし、見慣れた感じで特異も無し。
この映画の一番の見所は、ブルース・ウィリスの娘役がルーマー・ウィリスだという事。彼女は実際のブルース・ウィリスとデミ・ムーアの娘。彼女の顔がブルース・ウィリスの顔の形にデミ・ムーアの目鼻口を付けた様な顔で、一目で本当の娘と分かる様な顔立ちにちょっと笑ってしまう。更にその彼女がブルース・ウィリスの娘役なんだから、配役でブルース・ウィリスが何と口を出したのか、撮影現場での周囲の雰囲気とかも合わせて考えたら、更に笑けてしまう。
ちょっとおもしろかったのは、家に至る道の空撮は「シャイニング」ぽかったり、家の通風孔を追っかけて来る強盗が「エイリアン2」の通気口を移動するエイリアンぽかったり。
立て籠もった犯人からの人質救出が目的で、敵の計画を阻止しようと相手の情報を上手く引き出そうとする出し抜きの会話劇の妙もある「完璧なアクション映画」とも言われている「ダイ・ハード」という映画をブルース・ウィリスはすでにやってしまっているのに、その題材を劣化だけさせた様なこんな地味な役を今更しても…。ブルース・ウィリスという強烈な個性だから見てられるけれど、ブルース・ウィリスの役柄も含め登場人物の魅力は誰も無く、話も捻りも見せ場も無く、二時間はあるのにスカスカしまくりな映画。
☆★★★★