パッセンジャーズ

2013年04月07日 日曜日

アン・ハサウェイ主演の2008年の映画「パッセンジャーズ(Passengers)」。

旅客機が墜落し、その中で生還した乗客達のセラピーを受け持つ事になった新米セラピストのアン・ハサウェイ。彼女は患者男性の一人と懇意になり始める一方、航空会社は人的事故と判断し、徐々に彼女に圧力をかけ始めると、セラピーを受けている乗客達が一人、また一人と姿を消して行く。

何とも微妙な映画。裏で何かが動いている様で、事故の原因隠しに関わって来る様なサスペンスを少し入れてはいるけれど、基本は医者のアン・ハサウェイと患者のパトリック・ウィルソンの、セラピストと患者という立場上本当はいけないけれど惹かれてしまう恋愛劇で進む。なのに終盤になると急にサスペンスを前面に押し出し、恋愛劇も何処かに行ったまま結末に辿り着くので、映画の構成としては非常に不均衡。事件の解明も、話している姉が出て来ない時点で何となく感付き、「そりゃそうだな…。」という所に落ち着いてしまう。「Xファイル」のシガレット・スモーキング・マンでお馴染みウィリアム・B・デイヴィスが如何にも胡散臭そうな感じで初めからチョロチョロと出ていたり、双子のお婆さんとか怪しい雰囲気は挟んで来るけれど、それも効果的な仕掛けになってはおらず、それらも単なる噛ませの捨てネタだし。
これを見終わって、「結局は誰の何だったのか?」と思い返すと、結局は誰もおらず、誰のでもない出来事を見せられて、実際には姉登場まで何も存在してないと気付き、「あれっ…?」とスカされてしまった感じばかりで、残るモノも残らない。

結局良い話にしたいのは分かるけれど、だったらサスペンスや謎の部分は単なるかましになってしまうし、逆にサスペンス映画としての引きや見せ方が足りなさ過ぎるし、やりたい事は分かるけれど、サスペンスとしては仕掛けや緊張が足りず、一方の感動話としてもバタバタとした展開で入り難いし、物語の分離感、バラバラ感が目立ってしまい中途半端な出来にしかなっていない。

☆☆★★★

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