人間狩り – フィリップ・K・ディック

2008年02月10日 日曜日

正月に数編だけ読んで放置してあった、フィリップ・K・ディックの「人間狩り(ちくま文庫)」を読み終えた。

ハヤカワSFから出ていた「ディック傑作集」で読んだ物が多く、初見は半分程。
しかも、表題の「人間狩り」は読んだ事が無いと思い楽しみにしていたら、「変種第二号(Second Variety)」の何故かの別邦題で少々がっくり。
しかし、各短編は毎度の現実のずれからの微妙な恐怖、そしてSF短編らしいオチまでのじっとりとした嫌さ加減が楽しい。
この感覚どこかで感じたなと思うと、これは連続TVドラマの頃の「世にも奇妙な物語」で感じたモノと似ている。
短編、短時間で心地の悪い不可思議な世界を味わえる快感。
「世にも奇妙な物語」でディック的現実崩壊感の楽しみを導入されていたんだなぁと、一人で感心。

「ディック傑作集」とかぶっている話が結構あったので、ハヤカワSF版とちくま文庫版を比べて見てみると、翻訳が微妙に違い、雰囲気も少し違う風になっている事に気付いた。
「おれ」と「わたし」で人物の印象が全く違う事になっていたし。
原書の短編集に入っていた「Service Call」を見てみたら、ちくま文庫版は原書に近く、ハヤカワSF版は日本語的に分かりやすく翻訳されていた。
だからか、この「人間狩り」を読んでいて所々日本語的にはてなな部分があった。
翻訳者で小説の印象も少々変わるのは海外小説の難でもあり、興味の部分でもあり。
著者の意図を読みたかったら原書を読むのが一番なのだろうが。

« | »

Trackback URL

Leave a Reply