スターリングラード

2012年12月01日 土曜日

ジュード・ロウ主演の2001年の戦争映画「スターリングラード(Enemy at the Gates)」。アメリカ、ドイツ、イギリス、アイルランドの合作。

田舎の羊飼いだったけれど、第二次世界大戦にソ連の狙撃兵として活躍した実在の人物ヴァシリ・ザイツェフと、ドイツの狙撃手との対決を描く。

始めは駄目過ぎるソ連軍が兵士の戦意高揚の為、英雄と祭り上げられたジュード・ロウが描かれ、中盤辺りからは、その彼を狙うドイツの凄腕狙撃手エド・ハリスとの駆け引きが中心に。更にジュード・ロウ、ジョセフ・ファインズレイチェル・ワイズの三角関係の恋愛劇まで入って来、戦争映画だけれど娯楽色は結構強い。彼等だけでなく、ボブ・ホスキンスロン・パールマンとか有名俳優が結構出ているのも娯楽性を強くしている。
それに特に終盤、人間関係の劇的な展開を狙い過ぎて、如何にもな作り物っぽさが強調され過ぎで、折角大人し目に進んで来た物語が恋愛映画でまとまり、台無し。

この映画のどうしても気になる所は、登場人物達はソ連人なのに皆英語という事。ただでさえソ連軍が、特に作戦も無く無暗に兵士を敵に突っ込ませ、将校達は逃亡だと言って見方を撃ち殺したり、戦意高揚さえして来なった無能な政治将校しかいないとかアホさしかないのに、ソ連人誰もが英語で喋るのは最早コント。出て来る文章はキリル文字のロシア語なのに。アメリカ映画だから英語なんだろうけれど、何で第二次世界大戦時の田舎のロシア人が英語を喋れるのかは一切理由も無く、ただ単にアメリカ映画でしかない傲慢さとお手軽さがこの映画の興を削いでしまう。ソ連人が「son of a bitch!」と叫んだのには爆笑。
この映画がアメリカ、ドイツ、イギリス、アイルランド合作で、ロシアが入っていないのが一番の原因か。それに主役・脇役共に、ロシア人俳優が全然いないし。

この映画、狙撃手同士の緊迫する対決で内容的には良いけれど、しょっぱくさせているのはやっぱり皆英語でしか話さない事。例えば日中戦争を描いた映画で、登場人物が皆英語だったら失笑しか買わない。それと同じ事で、この映画見ていても、当該国ではない第三者視点で描いている事を強調する部分ではあるけれど、もう作り物感しか感じられず、物語に集中する事も、何だったら入って行く事さえ難しい。全編、ロシア語・ドイツ語吹き替えにすればもっと評価は上がったはず。

☆☆★★★

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