ドランクモンキー 酔拳

2012年11月03日 土曜日

ジャッキー・チェン主演の1978年の映画「ドランクモンキー 酔拳(Drunken Master)」。

力が有り余るボンボンが手を付けれなくなり酔拳の師匠に預けられ、修行をして強くなるという、少年漫画の単行本一巻目みたいな話。

この映画が当たり、これ以降のジャッキー・チェンのコメディ色が強いけれど、体を張った痛いアクションの流れの基礎的映画だし、代表作でもある。
しかし話的には、ジャッキー・チェンがいらんちょっかいを出して喧嘩になり、功夫での格闘が始まるという繰り返しが何度もとなると少々しつこい。それに一場面毎のアクションが結構長く、功夫アクションを見せる映画だから仕方ないにしても、同じ場面でそんなに色んな展開がある訳でも無いので、結構飽きが来る。後年のジャッキー・チェンの映画と比べると、まだまだアクションの減り張りやまとまりに欠ける気はする。段々と一本の映画の中のアクション場面の見せ方として洗練されて行ったと言えるのだろうけれど。
不真面目だったジャッキー・チェンが真面目に修行し直す理由が、知らないおっさんにいじめられたからと言うのがしょっぱいし、修行する以前からジャッキー・チェンはキレッキレの肉体だし、修行の部分は結構あるけれど飲んで強くなるという部分の修業は描かれないので、最後の強さのどうして感は強いし、まあそこら辺はこの時代の香港映画の粗さか。
それと古い香港映画の一つの特徴かもしれないけれど、脇役が皆不細工で、悪役もそんなに悪そうに見えなかったり、強いという役でも普通のおっさんにしか見えないとか、役者が安っぽい。師匠の赤く塗った鼻とか、明らかな付け歯のコメディ要因とか、普段は何も音がしないのに、功夫場面になると少し腕を動かしただけで「ボウボウ」風を切る音が出たりとか、安っぽさは否めない。
それにジャッキー・チェンが落ち込む場面では、今見せた事をすぐさまもう一回回想として見せる、見ているこちらの誰もが「今見て分かってる!」と突っ込む様な変な演出があるし。

一番驚いたのは、主人公ジャッキー・チェンの役ってウォン・フェイホン(黄飛鴻)だった事。ウォン・フェイホンと言えば、リー・リンチェイ主演の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズの印象が強過ぎて、酔拳を使うウォン・フェイホンや、ジャッキー・チェンのウォン・フェイホンって物凄い違和感。実際この映画ではウォン・フェイホンの人物設定位だけで、話的にはウォン・フェイホンと全然関係無いし。しかも、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」でも使われていたはずの音楽が流れていたし。この音楽の元々は何なのだろう?

続編と言っても16年後で内容的には関係無いけれど、この続編「酔拳2」方が後年の映画なので確か話もしっかりしていたはずで、こっちを見ると70年代の香港映画的適当さとでも言うか、安さとでも言うかがあり、話を見るんじゃなくてジャッキー・チェンのアクションを見る映画。「酔えば酔うほど強くなる」という無茶苦茶な酔拳を楽しむ映画。

☆☆★★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply