最後のブルース・リー ドラゴンへの道

2012年11月02日 金曜日

ブルース・リー主演の1972年の映画「最後のブルース・リー ドラゴンへの道(THE WAY OF THE DRAGON)」。

イタリアのレストランがギャングの嫌がらせで困り香港の弁護士に相談するけれど、その弁護士が来れないので替わりにブルース・リーがやって来て戦う事になる。

これ全然おもしろくないのが、始まってからはブルース・リーが腹減ったけれど何頼んだら良いか分からないとか、銀行で両替するしないだの、本当にどうでも良い話ばかり続き、一向にブルース・リーのアクションが出て来ない。やたらとイタリア観光して、何じゃこりゃな展開。そして全くフリの無い、突然の、今まで良い人だった人が店を売る為に人殺しまでして裏切るし、ただ敵を倒してほのぼのとしたコメディ展開だったのに、行き成りの皆殺し展開は何のこっちゃな展開。イタリアなのにわざわざ香港の弁護士呼び寄せるのも分からないけれど、全体的なこの変な展開何だろうと思ったら、監督・脚本もブルース・リーだからか。
それにこれ、フィルムの状態と言うよりも、撮影が下手くそでピントが合っておらず、やたらと画面がボケボケの所がある。
何じゃこりゃなのは、イタリア人が英語で喋っている事も。香港人だから英語喋れるから、それに合わせて英語喋れるイタリアのチンピラを雇っている親切な悪役。更に何じゃこりゃなのは、この悪役達、誰もが全く強そうに見えない。普通のおっさんや、ひょろい学生風までいる上、皆演技は下手だし、アクションも輪をかけて下手。襲いかかるのではなく、倒されに行っている、ブルース・リーに合わしに行っている不味さ。なのでブルース・リーが一人気を吐いて、吐き過ぎてアクションしているモノだから、主人公のはずのブルース・リーが逆に浮きまくっている。ブルース・リーとチャック・ノリス以外のアクションの下手さ、しょっぱさがコメディ。それに、何でブルース・リーって戦闘態勢に入ると、顎しゃくれて顔芸するんだろうか。
この映画を見て意外だったのが、ブルース・リーって寡黙な戦う男の印象が強く、この映画みたいにコメディする軽い男もするんだなぁと、結構な驚き。映画自体も結構コメディ色が強いので、ブルース・リーが戦う時に「ホァ~、アチャー!」と叫びまくりながら飛び跳ねると、どうしても笑ってしまう。ただ、その肉体は半端無い鍛え上げ様。漫画みたいなバッキバキな体。凄過ぎるけれどもっと凄いのは、戦わない普段の時になると体はバッキバキではない普通な肉体になっている。ブルース・リーは体の筋肉自由自在なのか。
チャック・ノリスとの一対一の戦いはおもしろいのだけれど、違う所ばかり目が行ってしまう。出会っても戦わず、二人でウォームアップしてしまう余裕さとか、二人のすぐ後ろのコロッセオはおもっきり書き割りとか、ブルース・リーがチャック・ノリスの攻撃を避けるだけの場面で何故か長くスローモーションとか、何よりもチャック・ノリスが若くてお馴染みの髭面じゃあないけれど、胸毛が獣の毛皮並みにモッサモサで、そこばかりに目が行ってしまう。
一番の失笑場面は日本人らしい空手家の「おまいは、タオ・ロンが~?」と言う、もはや日本語でも無い台詞が二回。

この映画、ブルース・リーじゃあないと成り立たず、ブルース・リーの個性とアクションで成り立っていて、ブルース・リーじゃないと目も当てられない。だけれど、ブルース・リーが監督・脚本をしている事によって、ブルース・リーがぶち壊しにしてしまっている映画でもある。

☆★★★★

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