インファナル・アフェアIII 終極無間

2012年10月25日 木曜日

シリーズ三作目で一作目の主演二人トニー・レオンアンディ・ラウに主役が戻った、二作目と同年2003年の映画「インファナル・アフェアIII 終極無間(無間道III:終極無間)」。

一作目で決着がついた、警察の潜入捜査官と警察に潜入しているマフィアの手下の二人を、トニー・レオンは一作目の半年前から、アンディ・ラウは十ヶ月後の話を描く。

二作目の「インファナル・アフェア 無間序曲」がトニー・レオンとアンディ・ラウが全く出て来ず、主役の二人がいない上に、あんまり関係無い事でグダグダしていた為か、トニー・レオンとアンディ・ラウがきっちり戻って来ている。話的にも、映画の引きとしてもそりゃそうだろうけれど、どう話を続けるのかと思ったら、過去と未来の交錯を見せる構成で成程と納得。ただ、構成を変に凝り過ぎて、わざと分かり難さを狙い、構成と演出のこれまでからの変更に、シリーズモノとして物凄く浮いてしまっている。

話は、自分がマフィアからの潜入者だと気付かれない様にアンディ・ラウが必死に取り繕う話で、トニー・レオンの方の話は一作目の様に再び二人の話にする為、一作目に繋げる為に入れた感じで、正直捻って出て来た膨らまし感は否めない。トニー・レオンの方の過去話だったら、二作目いらんのじゃあないの?と思ってしまうし。今は顔を合わす事の無い二人を精神科医の存在が間を取り持つのだけれど、これが上手く機能している様には思えない。別に顔を合わす様な、狙い過ぎな演出にしなくてもいいのにとも思ってしまう。
トニー・レオンの話も、アンディ・ラウの方も非常にもっちゃり進み、一作目にあった潜入モノの緊迫は最早無い。非常にダラッと流れてしまう。二作目に比べるとはっきりと見せたいモノを見せてはいるけれど、説明臭さを感じる蛇足的な付け足し。その説明にしても、さらっと行けばいいけれど、途中からのアンディ・ラウの妄想的心象を映像で見せるのが最後までしつこいし、段々うっとおしくなって来る。話の円環を作りたいのは分かるけれど、三作目だけで急に捏ね繰り回してそれをしている感じは強く、その意味でも取って付けた感じは拭えない。

一つ気になったのは、香港の郵便ポストが出て来るのだけれど、色は緑というのは「へ~。」位の関心でそこではなく、ポストの口が二つあり、そのどちらも「LETTER 信件」と同じ用途だった事。何で同じ入れ口がわざわざ二つもあるのだろうか?

役者で気になったのはウォン警視役のアンソニー・ウォンが妙に痩せて、頬がこけていて繋がりが変になってしまっている。

これシリーズで見ると、一作目はお互いに潜入しているという二人の男のサスペンス。二作目はトニー・レオンとアンディ・ラウのどちらも主役でも無く、人物が絞り切れず、話も絞り切れない蛇足的前日譚。三作目はアンディ・ラウの業を背負った顛末で、主役や描いている事や映画の方向性、どれもバラバラ。主役は毎回ずれ、特定の人物を通じて描くという訳では無く、一連の出来事を方針転換しながらまとめた感じ。この三作目でやっと潜入しているアンディ・ラウの心情が見えて来たけれど、それも後半で、シリーズ通じてトニー・レオンとアンディ・ラウに乗るには遅過ぎた。一作目のサラッとした男同士の関係が、今作では狙い過ぎの泣かせの演出・脚本になってしまったのにも乗り切れず仕舞い。結局一作目で乗り切れなかったのが三作目まで続き、トニー・レオンとアンディ・ラウのカッコ良さや、役者としての良さは分かったかけれど、話としてや、映画としての演出では大して響かないまま、終わってしまった。

☆☆★★★
 
 
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