インファナル・アフェア 無間序曲

2012年10月24日 水曜日

前作「インファナル・アフェア」までの話を描いた続編「インファナル・アフェア 無間序曲(無間道II)」。前日譚の続編ではあるけれど、前作の主役だったトニー・レオンアンディ・ラウは出ておらず、若い時の二人の役は一作目の序盤で二人を演じていたショーン・ユーエディソン・チャンになっている。

前作での主人公二人がどの様に潜入に至ったかを、警部とボスの関係を交えながら見せて行く。

一作目はトニー・レオンとアンディ・ラウの個性と全体の雰囲気で持ってはいたけれど、映画自体は大した事はなく、その続編のこの前日譚はそれに比べてももっと微妙。
何よりトニー・レオンとアンディ・ラウだったから作品が成り立っていたのに、彼等二人はおらず、その二人は若手二人になり、この二人が見た目が似た感じでいまいち見分けが付き難く、どっちがトニー・レオンでどっちがアンディ・ラウになるのかが掴み難いままだし、二人の個性も弱く画面が非常に薄味。しかも、この二人が前作から続く主人公であるはずなのに、序盤は警部と一作目のボスの関係性の話から、このボスが若手時代に付いていたのボス話に移り、そこばかりになり、主役であるはずの二人が全然出番が少なく、彼等の話がそれ程描かれていない。前作ではトニー・レオンとアンディ・ラウの二人を描いていたはずなのに、今作ではその二人の事は脇道位で前作の物語全体を引き継いでいる感じで、前日譚としての意味が弱く、前作からの急な路線変更を感じてしまう。
そしてこの映画がよくないのは、この前日譚を描いた事によって前作が主役の二人が何故そこまで潜入を続けるのかを描けてなかった、中途半端な脚本だという事を暗に認めてしまった事になるし、逆に続編ありきで描いていなかったのならその手抜きはどうしようもないし。それにしても、一作目で10年近くも潜入し続け、新たな生活を手に入れたのに、二人がそこまで協力する理由はこれを見てもいまいち分からないまま。
それに前回に続き、やたらと長期間潜入捜査されているのに気付かないマフィアや警察や、潜入しているのにマフィアを全然捕まえれもせず、行き成りあっさり撃ち殺されてしまったりと警察が間抜けにしか見えて来ない。ハードボイルドな雰囲気なのに、この間抜け感を感じさせてしまっては雰囲気は大きく削がれる。

前作に続き、監督アンドリュー・ラウの演出は変。渋い役のはずのウォン警部は張り込みで、ビシッとスーツを決め込んでいるのに仲間とアイスキャンディーをモグモグ食べていたり、常にトランプ一揃え持っていたり、親友が爆死させられる時にアンソニー・ウォンが号泣するけれど、その泣き方が何か変でちょっと笑ってしまうし。
マフィアの支部長位の幹部が暗殺された時に「蛍の光」が流れて来たのって、音楽ギャグ?
あと、どうしても気になったのが、この時のボス、ハウがスーツケースを開けると特に何も保護や固定されてもいないのにビデオテープがちゃんとスーツケースの真ん中にあった事。固定されてないのだから、スーツケースの取っ手を持って行動すれば、底の方にビデオテープがあるんじゃないの?

前作がどちらにも潜入者がいるという設定が受けたはずなのに、この続編ではそれがあんまり関係無い普通のマフィアと警察の抗争になってしまい、しかも色んな人物の色んな事を詰め込もうとした為に、誰の何を描きたいのかの焦点が絞り切れず散漫。前作の描かれなかった部分を描こうとはしているけれど、そんな部分必要か?と思える蛇足ばかりの様な気がして、何だか一作目以上に完成度が低い。

☆★★★★
 
 
関連:インファナル・アフェア
    インファナル・アフェアIII 終極無間

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