ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌

2012年10月22日 月曜日

監督ジョン・ウーチョウ・ユンファトニー・レオン共演の1992年の映画「ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌(辣手神探)」。

武器の密輸・密売を追う刑事チョウ・ユンファと、組織の殺し屋トニー・レオンの男の友情ともつかない関係を描く。

他の映画でも思うのだけれど、どうしてもチョウ・ユンファがカッコ良くは思えないのが、つまづく所。物凄い丸顔で、男前と言うより三枚目的。普通なおっさんに感じてしまう。時々カッコ良いけれど、時々劇団ひとり関根勤に見えてしまうのは痛い所。
トニー・レオン自体は中々カッコ良いけれど、肩パットで張り過ぎなブカッとしたダブルのスーツに、きっちり角刈りとか、余りにダサい。
トニー・レオンも何だけれど、この映画、話やアクションは非常に良いのにどうしてもいまいち感を感じるのは、1992年という時代性。日本の80年代後半から90年代始めにかけてと変わらない、服装や町などのバブル的ダサい雰囲気。音楽もその時の如何にも香港映画なダサさで、安っぽさがある。

話的にも役柄的にも、主役であるはずのチョウ・ユンファよりもトニー・レオンの方が中心に来てしまい、笑わす場面でもないのに笑えてしまうのとか、まとまりがない感じがするのは、香港映画らしさなのかしら?

銃撃場面、アクション場面は流石。前後左右に飛びながらの二丁拳銃撃ち、手すりを滑り降りながらの銃撃、振り向いてのお互いが銃と構え合う場面とか、これぞジョン・ウーアクション。カンフーアクションからの、ワイヤーアクションバリバリの武峡モノへと行き、それからの香港ノワールの銃撃アクションだから、機敏で軽快で生身のアクションで無茶苦茶しまくり、見せ方や楽しませ方のツボを押さえまくる。ただ、撃たれる方も香港アクションだからなのか、飛んだり跳ねまくったりするので非常にわざとらしい。アクションが暴力的過ぎるけれど、この受けて側の現実味の無いやり過ぎ感で、嘘臭さが出て暴力性が大分軽減される事になってしまっている。それに一つ一つの銃撃場面がしつこい程にこれでもかと撃ちまくり、結構長い。撃っても撃っても弾切れにならない銃や、そんなに敵おらんかっただろと思える程次々ワラワラ湧いて出て来る雑魚とか、もう一昔前のFPS。
この映画で度肝を抜かれるのは、20分以上続けてあれだけ無茶苦茶に撃ちまくっての銃撃戦の最後の最後で、燃える衣服の火を抱いた赤ん坊のおしっこで消したという全く必要の無い笑いなのか何なのかな一件を入れてしまう事。

あと、何でか知らないけれど國村隼も出ている。ただ、名前も無い役で、初めの10分位だけの登場。それに監督のジョン・ウーも元警官のバーのマスターで出ていたりも。

銃撃戦は凄いのだけれど、その分何か問題があったら無暗やたらに銃を撃ちとにかく撃ち殺す、話の盛り上げも殺し合いと、主人公達も敵も脚本も頭は悪く、話としては非常に粗い展開。題名通りハード・ボイルドな雰囲気と展開だけれど、音楽がしょぼいので雰囲気は台無し。最後の病院内の銃撃戦のやり過ぎで、ハード・ボイルドな雰囲気もどっかに行ってしまう。それを差し引いても、男臭いチョウ・ユンファとトニー・レオンの関係と、激しく、やり過ぎで楽し過ぎる銃撃戦で、内容はとにかくアクション映画として見るなら非常に楽しい。

☆☆☆★★

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