濡れ髪牡丹

2012年10月21日 日曜日

市川雷蔵と京マチ子共演の1961年の映画「濡れ髪牡丹」。前作「濡れ髪喧嘩旅」に続く「濡れ髪」シリーズらしいけれど、役者は市川雷蔵のみ同じで、しかも役名が前回はおさらば伝次、今回は八八の瓢太郎と別人らしく、内容も全然繋がりは無い。

大きな組のヤクザの女親分が婿探しをしている中、流れ者のヤクザの市川雷蔵が現れる。彼も女親分を狙っていて、市川雷蔵は強くて何でも出来、試験は合格するけれど、女親分との対決で負け出て行ってしまう。女親分は「男何て…。」という姿勢で市川雷蔵を追い出したはいいけれど、彼の事が気になって仕方ないという非常に分かり易い軽い恋愛物語。
基本的には、市川雷蔵が京マチ子の反応を見たくて弄んでいる感じ。これで京マチ子ではなく、若い女優だったら完全に少女漫画の乗り。
市川雷蔵は何でも出来る男で、剣術にお経に医術に料理教室まで開き、一々「~は免許皆伝だ。うん。」と頷くのがちょっとおもしろい。非常にお茶目な市川雷蔵で、彼がコメディリリーフとして笑いを起こす。それとおもしろいのは、映画役者に転身した市川雷蔵がこの映画の中で歌舞伎を演じている事。劇中で歌舞伎は何たるかを語るし。元歌舞伎役者としてはどういう心境だったのだろうか?

一応チャンバラ場面もあるけれど、これが恐ろしい程迫力は無い。竹光でペチペチ叩き、特に京マチ子の殺陣が上手くないので、笑けてしまう。ただやっぱり市川雷蔵は上手いけれど。

京マチ子が良い女、美人の設定なんだけれど、この時点で37歳で、見た目もおばはん。市川雷蔵が30歳で全然不釣り合い。

この「濡れ髪」シリーズ、非常に軽快で、話も「フフッ。」と笑える軽い映画で、この映画も市川雷蔵はもちろん、周りの役も立ち、楽しいシリーズ。この映画は登場人物はほぼヤクザ者ばかりだけれど、純然たる恋愛コメディ。そして市川雷蔵のお茶目な魅力を楽しむ映画。

☆☆☆★★

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