冬の華

2012年10月17日 水曜日

高倉健主演の1978年の映画「冬の華」。

やくざの高倉健が命令で人を殺して刑務所へ行き、15年後に出て来る。その間、殺した相手の娘を引取り育てており、彼女は高倉健をおじと慕っていた。

何かこの時期の高倉健の映画って、こんな感じの役の映画ばっか。何か犯罪起こして出所して来るけれど、高倉健は根本的には良い人で罪滅ぼしの為と、新しい生活の為に今までを捨てようとするけれど、因縁は付いて周る、そんな人物が多い事。多分、この前年1977年の「幸福の黄色いハンカチ」辺りから、この脱ヤクザ路線になって行ったのだろうな。
ただこの映画は、高倉健のそれまでの任侠ヤクザモノと、この後の寡黙な良いおじさん路線との丁度過渡期で、内容もその両方が混ざったモノになっている。ただ、その両方を取ろうとして話は中途半端。ヤクザモノとしては至って普通で、まったりと特に盛り上がりを見せないまま最後まで流れる感じで、特に見所も無い。おじさま話も、引っ張る割にサラッと終わり、主題かと思っていたら、あくまで高倉健の役の人物像を見せる為のオマケ要素。両方を絞り切れず、人物も絞り切れずで、どっちもお座なり感ばかり感じてしまう。

脚本は倉本聰なんだけれど、何か脚本がしょっぱいと言うか、台詞がしょうもなく聞こえるのは、これまでの経緯を早い段階でご丁寧に台詞で説明しているからか。高倉健が寡黙な分、周りの人物達の台詞が説明台詞に聞こえてしまうのもある。それに、高倉健、倉本聰と言えば、やっぱり関係して来るのは北海道。まあ刑務所が北海道にあるからか。

役者は、今大御所と言われる人達が沢山。高倉健の弟分は田中邦衛。引き取った娘は池上季実子。まあ、18歳の池上季実子が可愛い事。それ以外にも北大路欣也、夏八木勲、峰岸徹寺田農大滝秀治、小沢昭一、岡田真澄、小林亜星、倍賞美津子等。役者が出過ぎな分、各人の出番や描写は少しで、まばら。
あと、音楽が何度も同じ音楽が流れ、「またか…。」感が物凄い。

正直、話としては盛り上げず、のっぺりとし、中途半端でおもしろい訳でもない。哀しい男としてもどうにも物足りず、映画としてはいまいち。高倉健の変化の過渡期として見ると成程感があって、それなりには興味深くは見れる。

☆☆★★★

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