対決

2012年10月12日 金曜日

藤巻潤、小林勝彦、藤村志保共演の1968年の時代劇映画「対決」。

二人の剣士の真剣試合から、どうしてこの二人が戦うのかを描いて行く。同門の剣士が跡目に選ばれる試合で女性関係でわざと勝利を譲り、それを師匠に見抜かれ目を切られ盲目になってしまった剣士。彼はその復讐の為に剣の腕を上げる。

藤巻潤が盲目になるまでは、惚れた腫れたや、阻害されていて不幸だと言う話で結構退屈するけれど、盲目後は雰囲気は一気にハードボイルドな復讐譚になり、俄然おもしろくなって来る。師匠に対する復讐の為に徹底的に鍛え上げた剣は、落ちる木の葉も真っ二つ、暴れ馬さえ正面から切り殺し、魔剣と呼ばれる程に。そしてその眼が見えない剣士を支える藤村志保。一方小林勝彦は、師匠の敵討ちで片腕を切り落とされ、それに加え師匠の復讐の為、師匠の娘と共に彼らを探し始める。この娘は藤巻潤が好きで思い続けていたのに、小間使いの女性と一緒になっていた恨みも入り、更に小林勝彦は娘に振り向いてもらえない事は知りながら戦おうとし、結構恋愛部分でドロドロしても来る。ただ、その女性陣のやっている事や、女性の反応や演技はメロドラマで、結構しょっぱい。まあ、切ない恋愛を絡めた、無常を背負った剣士の物語。

この映画で対決する主役二人は、当時の大映の現代劇が中心だった東京の撮影所の藤巻潤と、時代劇の京都の撮影所の小林勝彦と、配役自体が「対決」という構図になっているそうだ。

演技や演出が大袈裟な所があるけれど、剣士の復讐という虚しさと、その剣士に惚れた女性と、その女性に惚れてしまったという哀しさが全編に溢れ、なかなか上出来な時代劇。

☆☆☆★★

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