海女の戦慄

2012年10月11日 木曜日

前田通子主演の1957年の海女映画「海女の戦慄」。

ミス海女に選ばれ東京に行った妹の溺死体がうち上がり、謎の怪しい三人組、流れ者の男、海に眠る財宝と次々と色んな事が出て来るサスペンス。

これが噂に聞いていた「海女モノ」かぁ。海女だけれど水玉模様の水着だったり、裸体を全部見せる訳ではなく、無駄に上半身裸が多いのは、この時代のそこ狙いのセクシー映画か。しかし、全編しょっぱいので、常にニタニタ。
初っ端から、ミス海女って何?とか、結構時間を割いて見せる町の人達は特に話の重要な部分に絡んで来ず、「魁!!男塾」の富樫や王大人の様な状況の説明役の為に存在しているとか、喧嘩場面なのにじゃれ合っている様にしか見えないとか、もたもたして一向に話は進まない悪党達の策略や盛り上げる訳でもない事件に常にグダグダ感を感じて、薄ら笑い。まったりした展開かと思いきや、小悪党っぷりしか見せていなかったのに悪党達は最終的にマシンガンぶっ放し続け、延々と続く銃撃戦とか、その変な展開、場当たり的としか思えない脚本にもニタニタ。
登場人物がただ歩けば昭和歌謡がかかり、何のプロモーションビデオだという場面が何回もあったり、海女さんが海の中でじゃれ合ったり、海女が海に潜る場面では、奥は水中を泳ぐ海女、その手前に魚が泳ぐ水槽と、別に前の水槽いらんだろと思える謎の配置とか、そんなしょっぱい、失笑を買う場面を急に挟み、結構長く見せる何のこっちゃな場面も多数出て来て、唖然となりながらもニタニタ。
この映画に出て来る旅館は、一階がやたら広い吹き抜けで、その広場周辺の二階に各部屋があるという、まるで西部劇のホテルだったのも、セットまでニタニタさせる。

主演の前田通子は、結構現代的な美人顔で綺麗。そして何より、今のグラビアアイドルでもそっち系じゃないとしない様な、やたらと上乳を強調した水着でグラマラス女優を前面に押し出していて、その「ここ見て下さい」と大きな声で主張するかの様な見せ方にもニンマリ。
自ら「風来坊」と名乗る船乗りの若杉英二は、ふっくらしているけれど目張りばっちりのとっちゃん坊やで、現代劇なのに一人時代劇顔。その外見の気色悪さで、出て来た瞬間にニタッとしてしまう人物。この当時で31歳らしいけれど、若いのか、おっさんなのか、最早判別つかない。
それに出て来る人皆、演技が非常にしょっぱい。まるで大人の学芸会。そこでもニタニタ。

当時の意図のまま、お色気要素があるサスペンスとして見れば非常にしょうもない。ただ、話も、演出や製作の意図も、全てが間抜けな「海女モノ」として現在に見てしまえば、ヘラヘラ、ニタニタしながら見れ、こんなにおもしろい映画はない。終始ニタニタが止まらない、非常に楽しい映画。

☆☆☆☆★

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