猛吹雪の死闘
2012年10月10日 水曜日宇津井健主演の1959年の映画「猛吹雪の死闘」。
雪崩で婚約者を亡くしたスキーガイドが、強盗団の逃亡に巻き込まれる。
この当時に雪山でスキーを見せながらサスペンスを見せる映画で、中々関心。白黒映画で白銀の世界だから、見栄えは良い。
話的には、吹雪で足止めになり、ほぼ登場人物六人で回す群像劇になるのだけれど、強盗団とのやり取りは一つ屋根の下で緊迫するはずが、そんなに緊迫感がなく、結構まったりと進む。なので、この映画75分しかないのだけれど、「まあ、そうなるだろうね…。」という普通な展開以上のモノはなく、この時間で十分な作品。
この映画の中では、強盗団の事をギャングと言っているけれど、そう言えば最近ではギャングという言葉自体聞かなくなったと、時代を感じる所。
あと、「え~…。」となったのは、最後はハッピーエンドなのに、皆で歌うのは「雪の降るまちを」で物凄く暗い歌。劇中で何回もこの歌うたうけれど、何でこんな気落ちする歌を選んだのだろうか?もっと陽気な歌にすればいいのに。
宇津井健が若い。しかし、まだ28歳なのに現在と大して変わらない様な老けっぷり。30前なのに50近くに見える貫禄。
三原葉子はセクシー路線の女優として有名だったそうだけれど、物凄くおばはん臭く、実年齢26歳には全く見えない。この主役二人の20代なのに20代には見えない老けっぷりは何だろう。
一方、山小屋の田舎娘の星輝美は物凄く可愛らしい。まだ18歳らしく、現在でもアイドル的な可愛らしさ。
菅原文太も出ているのだけれど、まだ俳優一年目で演技が…。後年の厳つい印象が強く、この若い青年の違和感がちょっとおもしろい。すかした男前で、今なら渡部篤郎的。
冬の雪山での犯罪者との対決という設定は、開けた広大な土地なのに物凄い閉塞感、孤独感、中々前に進めない鬱積感があっておもしろいはずなのに、シルヴェスター・スタローンの「クリフハンガー」とか、織田裕二の「ホワイトアウト」とか、古今東西微妙な出来になるのは何でだろう?
ただこの時代は、こういった一風変わった設定で真面目にエンターテイメントする小品のサスペンスも出来ていた、非常に映画が、映像娯楽が恵まれた時代だったんだなと感心。
☆☆★★★