恋愛適齢期
2012年08月31日 金曜日ジャック・ニコルソン、ダイアン・キートン、キアヌ・リーブス共演の恋愛映画「恋愛適齢期(Something’s Gotta Give)」。
60過ぎのおじいさんなのに若い娘にモテまくるジャック・ニコルソンと、彼の新しい彼女の母親ダイアン・キートンと、ジャック・ニコルソンを助けたキアヌ・リーブスも絡んで来ての三角関係の恋愛話。
女性は体の魅力が先行し、若い娘ばかりのジャック・ニコルソンと、劇作家で大学で女性論も教えると言う、彼に敵対する様な人物設定で、始めは相容れないけれど段々惹かれて行くという展開は見え見えで、ダイアン・キートンが出て来た瞬間に展開は分かり、まあそこの展開で楽しむ映画ではないのだろうと、行き成り出鼻は挫かれる。
呪われた殺人鬼かジョーカーにしか見えないおじいさんがモテまくるのは、まあ金持ちで子供の様なおちゃめさで、母性本能をくすぐるので何となく分かるけれど、劇作家への憧れが恋愛感情に変わるキアヌ・リーブスが良く分からない。男前の医者でまだ若いのに、まだ結婚もしていない理由が描かれず、見た目がゲイっぽい感じさえあるのに、熟女好きなキアヌ・リーブスが異質過ぎて結構引き気味。劇作家だから脚本を盗み出すとか、何かを別の目的あるかと思いきや普通に恋していて、中年女性の妄想の恋だからという便利な都合良さか…。
それに、話は根本的に成功したけれど何かが足りないと感じる中年以上の男女の余暇のお楽しみ位の恋愛劇で、歳を取ってお金持ちになって若い娘を抱きたいおっさんと、若い男前に何でか知れないけれどモテてしまうおばさんだけれども良い相手に巡り合えるという、ほとんど中年の男女の妄想話なので、その中年位の年齢に達していないとこのファンタジー感、妄想オナニー感を楽しめないではないかと思うし、わたしも恋愛部分がしょうもない妄想コメディにしか見えなかった。ジャック・ニコルソンとダイアン・キートンの魅力で映画は持っているけれど、話は大した事無い。中年の伴侶との死別後の葛藤を描く訳でもないし、自分に子供がいるので恋愛に遠慮してしまうという訳でもないし、自分の年齢から来る死に瀕しての悩みでもないし、そこの中年の問題を入れてはいるけれど、そこを詰めて描く訳でも無く、別に30代の結婚を諦めかけた男女の設定でも内容的には大して変わらない様な気がしていた。普通の40代位までの人物の恋愛話を、ただ老年に置き換えただけの様な…。
それに恋愛映画だけでなく、しょうもない映画の典型的な手法「会わないと思った所で偶然出会い話が展開する」というのをやってしまう。また、「ユー・ガット・メール」みたいな、お互いがパソコンのメールで会話するなんて演出もねじ込んで来たり、今更感もあるし。ジャック・ニコルソンはおケツを出すし、ダイアン・キートンは脱ぐ場面もあるし、二人は変に力は行っているのに、その力を更に引き出す脚本でもないし。
二人のベットシーンは、多分アメリカの劇場だとブーイングの中、ポップコーンをスクリーンに投げまくられていたんだろうなと思える位の何じゃこりゃ感。「出来て良かった!」と泣き出すダイアン・キートンには爆笑したけれど、歳行った人は同じく泣く所なんだろうか?
キアヌ・リーブスは物凄く存在感が薄いけれど、ジャック・ニコルソンとダイアン・キートンは濃く、弾けている。…いるけれど、どうも彼らが役不足に感じてしまう脚本。老年という所を活かし切れていない様な、どの年代でも代用可能なベタな恋愛映画になってしまっている。この年の設定なのに、合わない二人が惹かれあい、お互い近づくけれど喧嘩し、やっぱり上手く行くという、在り来たりな、見飽きた話でしかないのが痛い所。結局年は行っているけれど、元々若さ、活力があり、更にお金も持っている中年という、非現実的なファンタジー・コメディ恋愛映画。
☆☆★★★