タバコ・ロード

2012年07月29日 日曜日

アースキン・コールドウェルの小説を戯曲化し、それをジョン・フォードが映画化した「タバコ・ロード(Tobacco Road)」。

かつてはタバコの栽培で栄華を誇ったタバコ・ロードも不作続きで貧しくなり、そこで何とか日々暮らす人々の話。

そもそも、原作の小説が1932年で、この映画が1941年で、舞台はアメリカの片田舎という事もあり、これが時代劇なのか、それともその当時の現代劇なのかさえ分からないので、戸惑いばかり。しかも話は、「だからどうした…」な事ばかりが続き、会話劇が中心なのに全く興味を引かない。「カブを盗んで、どうのこうの」だったり、「自動車売る売らないで、どうのこうの」だったり、何がおもしろいんだ?な話ばかり。それまでグチャッリしたコメディだったのに、終盤はお涙頂戴になり、同じくつまらない話になるし。
それに、全体的にわざとらしい。登場人物達の演技は皆大袈裟、家は崩壊寸前な程ボロボロだったり傾いていたりと、コメディと貧しさを出す為の演出が嘘臭い。舞台劇でもあるまいに、役者はやたらとギャンギャン叫ぶ様な話し方でうるさいし、誰もが妙に高揚していて、人々は下品と言うよりは頭のおかしい人々に見えてしまう。農夫の息子は常に喚き散らし、完全に行ってしまっていて引きっぱなし。それに急に讃美歌歌うと周りの人もそれに釣られて共に歌い、問題が解決してしまう、意味の分からなさもあるし。それがコメディという事なのだろうけれど、その奇妙な人々は薄ら怖さしかない。そして、何よりもコメディなはずなのに、全く笑える所も無く、クソつまんない。
人々の描き方も、農民は汚らしい格好をし、皆やる気が無いか、頭が悪く、何をしても上手く行かず、貧乏からは抜け出せない。そんな駄目で惨めな彼らを救うのは、小奇麗なスーツを着、帽子を被り、綺麗な自動車に乗る町の人。その人も彼らを憐れんで助ける慈悲位で、どうしてそこまでするのか分からない、ただ良い人と、相当偏った、描き方。

役者の喋りもうるさいけれど、この時代だからしょうがないのかもしれないけれど、常に後ろで音楽が鳴り続け、台詞と被ってうるさいし、演出としても安っぽい。こちらが音を絞ってもうるさい。

日本では製作後47年経ってから初めて上映されたらしいけれど、それって単に余りにつまらない映画だからじゃあないのかと思ってしまう。

どうでもいい、興味を引かない、頭のおかしい貧乏な農家の家族の頭のおかしい行動をしまくる話が、特に笑い所も無く延々と続き、流石にキツイ。貧しい農民の悲哀なんて、取って付けたオマケ。コメディとしてはクソつまんないし、農家の人々の貧しい生活を描いた話としても非常に駄が付く出来で、こりゃあ酷い。

☆★★★★

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