悪の花園

2012年06月11日 月曜日

ゲイリー・クーパー主演の西部劇と言うか、南部劇な映画「悪の花園(Garden of Evil)」。

金鉱の落盤で閉じ込められた夫の助けを求めた妻を助ける男達。
舞台がメキシコなので南部劇。西部劇である銃撃戦は最後に、一方的に少しあるだけ。
スーザン・ヘイワードは「夫を助けたい。」と分かり易い動機があるのだけれど、他の男性陣は何がしたのか、何が目的なのか、いまいち分かり難い。やたら喋る割に、「だから何?」な話ばかりで、何をしたのか、何を見せたいのかさっぱり。
展開も、ずっとのっぺりと特に何も起こらない退屈な旅行記だったのに、終盤になるといきなりバタバタと登場人物が意味も無く死んで行き、やっぱり何がしたいのか分からない。
それに、全ての行動が見ていても説得力が無い。「男を誘っている。意識的に。」と言うけれど、言われないと全く気付ず、それを言った事によってそこからその話が展開して行くし、若い男は「お前が気に喰わない!」と言うけれど、何が気に喰わないのかさっぱり分からず、殺そうとまでするけれどそれなのに暫くすると仲良くなるし、今まで何人も人を殺した事のある賞金稼ぎなのに、自分は銃を持ち、相手は丸腰なのにビビりまくってこけるし、落盤事故で木の下敷きになった夫には食事も置かず、何日もかけて人を探しに行くし。前半で散々振っていた「帰り道の目印」も何処へやら…。全体的に話している内容と画面に表れている事が、何だかズレている様に感じる。
あと、ゲイリー・クーパーの銃の腕が、本当に百発百中なのは白ける。まだ敵が銃で、主人公には一切当たらないとかではなく、敵が弓矢だからそこは目立たないかもしれないが。

録音があんまり良くない。同じ画面にいるのに、一人の声は普通に聞こえ、もう一人は急に奥まった、ラジオでカフを上げ忘れたかの様な遠い声になったり、端っこにいる人の声は完全に片方の音が無かったり、同じ場面でも人によって音の質が明らかに悪かったり。酷いのは、話している人物は右に見えているのに、話している声は左から出ていたりも。この録音技術の悪さは気になり過ぎ。
外では普通に外での撮影なので良いけれど、室内は1954年の映画なので、シットコムみたいなカメラで撮る一面の壁が無い、やたら天井が高い、照明の当て方等、実にその時代を感じるセットの作り物感。

邦題も良くない。原題は「Garden of Evil」で「悪の庭」なのに、「悪の花園」というと女性を巡っての乱痴気騒ぎみたいに思えてしまう。見終わっても「Garden of Evil」でもさっぱりピンと来ない題名なのに、「悪の花園」だと更に訳が分からないだけ。

どうも何が見せたいのか分からないまとまりの無い脚本で、雰囲気はあるのに何も響かない。減り張りが無く、都合良い展開に集中力は一切持たなかった。

☆★★★★

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