プルーフ・オブ・マイ・ライフ
2012年05月05日 土曜日デヴィッド・オーバーンの舞台劇「プルーフ/証明」を映画化した「プルーフ・オブ・マイ・ライフ(Proof)」。
全体的にいまいち分かり難い。父親が頭がおかしくなったと言うけれど、それが出て来るのは最後の方で、主人公の精神が不安定なのは父親の介護なのか、元々こんな感じの人なのかもはっきりしないし、父親は凄い数学者らしいけれど「凄い!凄い!」と周りが言うだけで何が凄いのか良く分からないし、凄い証明だと言うけれど、これも「凄い!凄い!」と言うだけで具体的に何が凄いのか描写が無いのでさっぱり良く分からないし、編集も過去と現在をカットバックして挟んで来るけれど、グウィネス・パルトローに変化が無いのでどっちがどっちなのか分かり難い。グウィネス・パルトローの置かれた状況からの心境の変化を描いて行くのが主題だと思っていたら、彼女が単なる妄想狂なのか、ほんとの事を言っているのかを焦点に当てる為、そこに収束して行く為に構成が作られているので、前半の描き切らなさでどうにもモヤモヤする。
それと、数式を検証したら誰が書いたか分かるってのはどうも都合良過ぎる話に感じる。実際そんな事あるのだろうか?やっぱり全体的に数学の見せ方が、曖昧、抽象的な扱いで、はったりでも良いのでもう少し具体的に見せれば、そんなにモヤモヤしなかったと思うのだけれど。
主人公のグウィネス・パルトローは情緒が不安定な人物として見ていられるのだけれど、凄い証明が書かれたノートが出て来て、あの状況だったら誰でも彼女かもしれないし、父親が書いたかもしれない可能性があると思うのに、「私への信頼」にすり替えて、「私を信じて欲しいけれど、近寄らないで!」というこの相反する思考が苦手過ぎるので、そこら辺から話がどうでも良くなって来る。初めは影のある女性で良い感じなのに、拒絶したけれど、やっぱり戻り、結局「お前が寄って来い。」な態度に「面倒臭~…。」で終わってしまう。
グウィネス・パルトローは演技的には、その精神の不安定さを見事に演じている。その不安定さが急な変化を見せるので、付いて行けない所も大いにあるのだけれど。
それとアンソニー・ホプキンスも普通に見えるけれど、どこかおかしいという父親をこれまた見事に演じている。でっぷりと太り、アンソニー・ホプキンスとは一瞬分かり辛い。これは役作りなのだろうか?この映画数年の前辺りから、アクション映画でも物凄く太っているので、単に不摂生なのか?
皆の演技も良いし、話的には前半は結構何だろうと見入るのに、後半に行くと何だかどうでも良い感じで、シラッと終わってしまい、いまいち感が残るばかり。
☆☆★★★