スティーヴン・キング/痩せゆく男

2012年05月02日 水曜日

何故かスティーヴン・キングの小説の映像化モノだと、先ず初めに「スティーヴン・キングの」が付く事が多く、これもそれな「スティーヴン・キング/痩せゆく男(Thinner)」。

全体的に安っぽい。一時間以内のTVドラマを更に引っ張り、伸ばして作られた様な安さの映画。
一番の見せ場なはずの肉の付き方も、如何にも特殊メイクな付き方で、手はすっきりとした指だったりと、不自然は否めない。それに加え「痩せゆく男」と言う題名からしても、「まあ、痩せるんだなぁ…。」と分かり切っているので意外性は何ら無い。痩せて行くのも、やっぱり如何にも特殊メイクな見た目だし。
この痩せて行く呪いって、食べても消化はするけれど一切吸収しない呪いなのかしら?食べる場面はやたらあるけれど、排便がどうなっているのかは一切無いので、食べ物がどうなるのかが不思議。
展開的にもノッペリした感じで、盛り上がらないままシラッと終わって行く。中盤で呪いに迫られた主人公が逆呪いの宣言をし、何をやらかすのかと期待していると、世話を焼いたギャングが大物のボス風なのにたった一人で脅迫するだけという、余りにしょぼい展開で腰砕け。ジプシー達も、初めは彼ら側の言い分も分かるモノだったのに、見せしめだけの為に関係無い人を殺してしまってからはただの悪役になってしまっている。それに、痩せる呪いでどうなるのかが主題だったはずなのに、主人公の脅迫観念と不信に話が移り、誤魔化された感で終わるのも何だかなぁ…。
気になったのは、字幕の「ロマ」という呼称。台詞でも、表記でも、彼ら自身が「ジプシー」と言っているのに、わざわざ字幕で「ロマ」にする必要があったのだろうか?差別的と言う理由なら、「町の白人」達が差別的意図も含めての呼び方なんだから、変えてしまうと駄目だと思うのだが。
「へ~」と思ったのは、特に話的に重要でもない薬局の主人の場面が長かったので何でだと思っていたら、それがスティーヴン・キングが演じていたからだった事。何でこれには自ら出演したんだろう?

正直、全編盛り上がりに欠け、本来なら徐々にゾクゾクする怖さが出て来る痩せて行くという設定も十分に活かし切れていないし、見せ切っていないし、良く無い意味で地味過ぎる出来。主人公をクリスチャン・ベールにして作り直したら、そりゃあ本当に太って、痩せてで、恐ろしい映画になるんだろうなぁと思ってしまった。

☆☆★★★

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