スミス都へ行く

2012年03月16日 金曜日

「誰々が何処何処へ行く」と言う題名を見ると、「星の王子 ニューヨークへ行く」とか、「ベイブ/都会へ行く」とか、「13日の金曜日 PART8 ジェイソンN.Y.へ」等コメディ映画ばっかり思い付くけれど、これは政治を扱った真面目な話、ジェームズ・ステュアート主演の映画「スミス都へ行く(Mr. Smith Goes to Washington)」。

上院議員の急逝によって後任を選出しないといけなくなり、政治家達の都合で選ばれたのがボーイスカウトのリーダーで、その彼のボーイスカウトらしい純真さで議会がグッチャグチャに。
主人公のジェフ・スミスが理想家の世間知らずで、真面目で真っ直ぐな設定が政治のドロドロした中で浮いている事で非常に心地良い人物になっているし、ジェームズ・ステュアートがその、好奇心が強く、建国の理想に燃え、でも初心な人物を好演。ジェームズ・ステュアート自体が真面目な人で、米国ボーイスカウト連盟の功労賞をもらっているので、本当にこういう人なんだろうなと思わせる。ただ余りに青過ぎて、情熱だけで突っ走る無謀さは、ボーイスカウトと揶揄したくなるイライラ感で、共感に欠ける部分が多々ある。
展開としては、熱意のみの主人公と周りの思惑で進む中盤位までは良く、終盤の民主主義の通し型と世論操作対決も盛り上がるのに、最終的に正義を訴え続け改心していきなり終わりとか、非常に呆気無く、かつ梯子外された感、白け感一杯。敵に対して熱意だけで勝ってしまうって、正直夢想過ぎな話。この後は、両方の議員に圧力係って、結局金持ち安泰な展開しか思わないのだけれど…。普通なら策士達は良く分かっていない主人公に速攻で圧力かける前に「ダムはこれこれで必要。別の候補地を見付けようじゃないか。」とやんわりと取り込んで行く流れになるだろうて。良くこんなやり方で長い間やってこれたものだと思ってしまう。それに、分かり易い正義の主人公の馬鹿さ加減と、賢いのは金持ちと政治家でそれ以外は何でもすぐ信じてしまうアホ、馬鹿さ加減は、これは皮肉や風刺なのだろうか?全体が皮肉を込めたモノなら最後は勝っちゃあ不味いのでは?
演出は女性にドギマギしている演出が、モジモジしながら帽子をいじったり落としたりするのをずっと映していたり、ニヤッと出来る演出もある一方で、編集が酷い。カットが変わったと思ったら、全く同じ場面なのに少し寄ったり引いたりしているだけだったりする、何らかの失敗があって中抜きした様な編集が度々出て来る。
興味が行くのはやはり上院の仕組み。議会の構成や法案の作り方や出し方等々、多分当時の観客もこれを見て学んだろうなと分かる内容でもある。ただこの時代の議員は見事に老年の白人男性ばかり。それより気になったのは子供の案内・雑用係。議会の場で子供にそんな事させている意味が良く分からないし、夜遅くまで議会がある事もあるのに構わず働かせている。自由の国と言う割に宗教が土台になっていたり、現在から見ると近代的な国と言うよりも、古い形の国に見えて来た。
この映画での面白場面は、少しふざけた新聞記事書かれてジェームズ・ステュアートが切れ、ご丁寧に一人一人歩き廻って探し出し、殴って廻る所と、ボーイスカウト新聞が行き渡らない様に反スミス陣営の大人達が子供達を殴るは、自動車で体当たりするはの児童虐待。真剣な場面だけれど今時これはコメディ。笑いながら見ていた。

流石に1939年の映画だけあって、今見ると現実よりも理想に寄り過ぎなその出来過ぎ加減で白けてしまう部分が多い。話を楽しむと言うよりは、この時代の雰囲気や人々の考えを知る方が強くなってしまう。

☆☆★★★

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