ポセイドン・アドベンチャー

2012年03月08日 木曜日

これ以降のパニック映画、ディザスター・ムービーに多大な影響を与え、今のその手の映画で使われる演出や設定の源流が多く見られる映画「ポセイドン・アドベンチャー(The Poseidon Adventure)」。

この映画の勝因は、何と言っても天地逆さまになり、水が下から迫って来る時間的期限がある巨大客船から逃げ出さなくてはならないという状況設定。こんな危機感と切迫感がある状況を作り出し、更にその人々の感情や人生を描くとなれば、おもしろくない訳がない。何とかして逃げ道を探し出そうとする人々が生き残り、その他の冷静に判断出来ない人間は水に沈み、生き残った人も次々と…と、嫌~な話だけれどサバイバルアクションとしてはおもしろい。
ただ、次々と死んで行く人達の理由がいまいちはっきりしないしょっぱさがある。足を怪我した乗務員はそれなりに元気だったのに、水に落ちただけで何故死んでしまったのか。太ったおばちゃんは何が起こって、何で急に死んでしまう必要があったのか。一番良く分からないのは、水面だけが燃えている水の中に落ちたのに死亡扱いになるジーン・ハックマン。悲しみと託した感を出す為だけに殺した訳で、あれじゃ死にゃしないだろとしか思わない安っぽさ。
また、ギャーギャー喚き、否定的な事ばっかり言うのはやたら女性なのは、この頃も。しっかりと気持ちを持った騒がない女性がやっと最近になって描かれ始め改善されたけれど、この女性の描写は見ているとイライラして来る。「ここから動かないわ…。」と言う奴ぁには、「そのまま蹴り落としたれ!」と思ってしまう。時代的なモノもあるのだろうけれど、映画的に強い女性の方が見ていて気持ち良い。
一番おもしろい場面は、それまで宗教的話が多かった牧師のジーン・ハックマンが「ほっといてくれ!」と神に悪態付きながらがんばる所。ただその後が、別に死ぬ状況でも無い所であっさり死んでしまうので「何だかなぁ…」に変わってしまうのだけれど。
それとこの脱出団の女性がやたらと短パンや、パンツ一枚だったりで水に濡れ、変にお色気入れ込んで来るのはハリウッド映画らしさか。逆に男性陣は皆髪の毛が薄かったり、後退して来ている人ばかりで、水に潜ってぺっちゃんこになるのだから何の嫌がらせかと。

1972年の映画なので今見ると、巨大客船のパニック映画の割に妙にこじんまりしていたり、緊張感がそれ程無かったりする部分はあるけれど、この特殊な極限状態の映像化はやっぱり映画史的にも大きい。

☆☆☆★★
 
 
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