ウォール街
2012年03月05日 月曜日マイケル・ダグラス、チャーリー・シーンのこの二人だとどうしてもどちらも二世俳優としての共演に目が行く映画「ウォール街(Wall Street)」。
でもやっぱりマイケル・ダグラスが非常に魅力的。冷酷に見つめる顔は迫力あり過ぎで、このチャーリー・シーンの様に縮み上がる。その一方で、陽気に笑う表情は晴れやかで人懐っこい。投資や買収にはまり、それこそが人生の人物の役にはまり過ぎている。1988年の第60回アカデミー主演男優賞を取るのも納得な人物を演じている。
一方のチャーリー・シーンも徐々に欲に目覚め、はまり込んで行く青年を良く演じてはいるけれどやっぱり若い。近年のガンガン行き過ぎて壊れた様な人物像が見えて来ない、まだおぼこさが残る20代前半のまさに若者だけれど、演技も若く、がんばってはいるけれど、マイケル・ダグラスや実の父親マーティン・シーンと比べるとどうしても見劣りはする。
そのマーティンとチャーリーの親子共演だけれど、見ていると不思議な気分になる。こういう親子共演って嫌なモンじゃあないかと思うのだけれど、にこやかに喋っていたり、激しく言い合ったりしているのを見るとこの親子関係は実際一体どうで、何を思って演技しているんだとニタニタしながら見てしまう。
話は、生き馬の目を抜く金融業界の中で、やり手に育てられ成長して行く物語として良く出来ている。「まあ、そうなるんだろうなぁ。」という展開ではあるけれども、株式売買や企業買収という社会派の題材をエンターテイメントとしておもしろがれる様に見せている。ここら辺は堅い題材を描くけれど、映画的におもしろがらさせる監督オリバー・ストーンの手腕の発揮されている所。ただ、結構撮影班の映り込みが多かったのは気になった。金持ち感を出す為のキラキラした壁や、高層ビルの大きな窓が多かったのはあるが。それに途中で「買いだ!」と電話する人物が多数出て来る中にオリバー・ストーンがいたのは笑ってしまった。
この1980年代後半のイケイケな時代を象徴するヤッピーの話は、この中でも皮肉的に堕ちて行くけれど、この経済はまだまだ膨れ上がり、最近の現実を知ると結局は誰も止められなかった訳で、しかもここに出て来た個人の善意なんて無力で、結局は無慈悲な流れの中で如何に上手く立ち回るかしかないのかなとしか思えなかったりする。
映画として成長、挫折、反抗、虚しさというきっちりとした見せるモノで良く出来ているし、マイケル・ダグラスの活き活きとした演技、シーン親子の共演、徐々に昇り、やがて墜落する主人公はこの後のチャーリー・シーンを象徴しているかの様な人物だし、この後のアメリカ証券業界や経済を考えると見所が多いし、色んな事に思いを巡らす映画。更に、サブプライムローン問題発の世界金融危機後の2010年に同じマイケル・ダグラスと監督オリバー・ストーンでこの続編「ウォール・ストリート」が作られているのだから、見てみたくなる。
この映画で株式業界の内幕を見れそこに興味が行くのだけれど、中でも興味が行ったのは営業時間。アメリカの市場って9:30から16:00までという、何でこんな中途半端な時間?
☆☆☆★★