ブラッド・ダイヤモンド

2012年02月22日 水曜日

レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ブラッド・ダイヤモンド(Blood Diamond)」。

基本的には話はダイヤを巡る冒険と危険の旅なのだけれど、そう言えば爽快な映画だと思うけれど全く逆の鬱々とした陰惨で重い話。
アフリカのシエラレオネ共和国の実際の内乱を基に、虐殺や少年兵、強制労働による紛争ダイヤモンドとそれが武器購入資金になっていたり、それを取引する欧米の企業のやり方や、ダイヤモンドを買う個人の欲望が戦争を引き起こしている現実を描く。その当時のシエラレオネ共和国含め周辺は所謂戦国時代で、国も、人の価値観も全てが混沌としていて、殺人や残酷な行為の無茶苦茶な状況があるのだけれど、更にそこに資源争奪競争や、武器の売買、人道支援等、世界中の人々の欲望が流れ込み、よりがんじがらめで誰もが何とかしようとしているけれどどうしようも無い分、悲惨さが増す。最後に希望は見せるし、実際紛争ダイヤモンドの禁止がキンバリープロセス認証制度として国連でも認められているけれど、それでもそれをすり抜けるのだし、この後のシエラレオネ共和国では、RUF側の指導者が和平で副大統領になり、その罪や、人道的罪も問われる事無かったり、どうしても現実を突き付けらる映画の重さにうなされ、映画として、娯楽としては楽しめない。
その内容の重さがある分、映画として見せなくてはいけない所もあるし、その重さを見せなくてはいけないのだろうけれど、展開としては結構都合良く出来事にぶつかる。ディカプリオとジャイモン・フンスーが会ったらすぐさま市街戦、それも最前線の戦いが側であったり、最後もディカプリオがそうなるんだろうなという如何にもな幕引きで、現実にあった惨劇を現実として見せる分、劇的にする為に結構わざと感を感じてしまう。

レオナルド・ディカプリオは、諦めと気に止めない人間から、徐々に何とかしようと心変わる人物を演じているけれど、やっぱり顔がおぼこい。レオナルド・ディカプリオの他の青春映画以外を見ても何時もそう思うのだけれど、もう少し歳の行った役者、もしくはディカプリオがもう少し歳を取ってからの方が良いんじゃあないのと思ってしまう。でも、この映画のディカプリオはなかなか良い。
ジャイモン・フンスーは、素朴で、家族に対する想いの強い人物をぴったりと演じていて、ディカプリオよりも彼の方が目立つし、印象に残る。驚いたのは、この映画の役だと見た目も若い父親なのだけれど、実際の年齢はこの映画が2006年製作なので42歳。意外に歳行っていると言うより、若く見え過ぎ。

工業用品としてのダイヤモンドの使われ方には興味があるけれど、わたしに使い道はないので欲しい訳でもないし、装飾品のダイヤモンドも、と言うか、装飾品自体ほとんど興味無いので、この映画を見てよりダイヤモンドに対する欲望への恐怖が増すだけだけど、「ダイヤモンドが欲し~い!」と言われた時「まずこの映画を見ろ!」と言って見さす人はどうなんだろうかと考えたり。全てのダイヤモンドが違法な訳ではないし、それによって真っ当に稼いでいる人の方が大勢だし、でもこの様な現実がある訳だし。止まらない自分の欲望に、人の欲望にどうするかと突きつけられる映画。

☆☆☆★★

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