ドライビング Miss デイジー

2012年02月23日 木曜日

1990年のアカデミー賞で作品賞を含む9部門でノミネート、作品賞、主演女優賞等4部門で受賞した映画「ドライビング Miss デイジー(Driving Miss Daisy)」。

評価は高いけれど、そんなに凄い映画でもなかった。
ジェシカ・タンディ演じる老未亡人と、モーガン・フリーマン演じる新たにやって来た老運転手の交流のお話なのだけれど、初めは拒否感と嫌味たっぷりなジェシカ・タンディが段々と理解を示し始め…といった、非常にベタな、王道な展開で、特に引きも無く「ふ~ん…。」位にしか思わない。モーガン・フリーマンを嫌う理由が、問題が起きても自分で出来る、年寄り扱いして欲しくないという頑固な歳を取った人間の反応なのか、見知らぬ新たな人がやって来たその慣れなさ加減なのか、彼が男性だからなのか、黒人だからなのかがはきっりせず、そのどれでもなのだろうけれど、人種・民族・宗教差別を盛り込んでいるのだけれどそれもそこまではっきりとせず、交流と相互理解を描くにしてもいまいち中途半端。時間経過があっという間に5年とか経っていたり、さらっと受け入れたのかそうではないのかを描き、盛り上がりの上下が少なく、ノペッと終わって行く感じ。最後のパイを食べさす場面は非常にほっこりする良い感じなのだけれど。
ジェシカ・タンディとモーガン・フリーマンの関係はそんな感じなのだけれど、それよりも母親の為にモーガン・フリーマンを雇った息子のダン・エイクロイドとの関係の方が不思議な感じで気になっていた。初めからお互いが認め合った様な関係、次第に親しい友人の様に一緒に笑い、運転手をしなくなっても給料を払い続け、雇用主と雇用者の関係以上な感じだけれど、彼が黒人だからと周囲を気にする場面もあるし、友人とも信頼している仕事の関係とも少し違うこちらの関係ももう少し見たかった。ダン・エイクロイドは何かあったらすぐ飛んで来、色々な所に母親を呼ぶ凄い母親思いな息子で、しかも徐々に歳を取って行く感じも良く、彼に目が行った。
ジェシカ・タンディは初めからおばあさんなので、老いに関してはあんまり変わらないのだけれど、嫌~な顔をして嫌味を言う表情は、流石に主演女優賞を取るだけあって最高に良い。
モーガン・フリーマンは、最近の顔に慣れているから、若い。陽気で良く笑い、徐々に老けて行く姿は、確かにこの映画から、遅咲きではあるけれど主役級になって行くのも分かる。

ジェシカ・タンディとモーガン・フリーマンの、男女や人種、宗教の関係とはまた違う、人と人の向き合う関係を描いたほのぼのとした映画ではあるのだけれど、おもしろい訳でも無く、つまらない訳でも無い映画。

☆☆☆★★

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