花嫁の父
2012年01月11日 水曜日エリザベス・テイラーが出ているからと見てみた「花嫁の父(Father of the Bride)」。
まあ、話的にはおもしろいモンでもない。娘が恋人を連れて来て喜ぶ母親と、物凄くひがみ文句言う父親という、古今東西掃いて捨てる程実際に繰り返され、物語としても使い古された題材で、どうでも良い話。お決まりの結婚前の新郎新婦の揉め事も非常にしょっぱいし。本当に恋人紹介から結婚までの娘の父親の話で、主人公は父親で若い夫婦二人の話は添え物。「ふ~ん…。」と言う感想だけ。
ただこの映画でおもしろいのは、製作当時の1950年頃のアメリカの中流家庭の結婚までの準備、結婚式、披露宴という風俗が詳しく描かれている点。結婚式は当人達の儀式と言うよりは、親の為の儀式で、準備は花嫁側の両親がしたり、家での披露宴とか、知人・友人からの贈り物等「へ~」という関心と、かつては結婚と言うのは親の見栄だったり、何処でも似た様な意味合いを持っていた事に関心が行く。誰もマティーニは飲まないとか、食事が質素なのか小食なのか分からないとか変な所にも興味が行ったりも。また、中流家庭かと思っていたら、招待客500人越えとか、どこかの貴族かよと言う位の贈答品とか、この家族は大分上流階級位の家庭なのか、当時では結構頑張っての中流家庭なのか良く分からない所も。
エリザベス・テイラーが出ているからと見てみたが、テイラーは大した事ないが、歳を経た大女優なエリザベス・テイラーしか知らないから、若く純粋な少女っぽさのあるエリザベス・テイラーってなんか違和感があっておもしろい。それに、この映画で描かれた純真な若い二人の結婚というのも、実際にはその後8回も結婚を繰り返した奔放なエリザベス・テイラーを知って見ると、コメディと言うのか、皮肉と言うのかでこれまたおもしろい。
この映画はエリザベス・テイラーは脇役で、主人公のスペンサー・トレイシーが頑固だけど調子乗りでお喋り大好きな普通なおっさんを非常に良く演じている。結婚の準備でお金もかかり過ぎるし、面倒臭くなって「お金あげるから、駆け落ちしないか?」と娘に持ちかけるのには笑った。そんな感じだけれど、娘を送り出す父親はやっぱり寂しかったり、結局見せ場も話もスペンサー・トレイシーで、スペンサー・トレイシーの映画。
話的には今や在り来たり過ぎて、特にひねりも何も無いが、当時の風俗や文化を知る映画としては非常に良い映画ではあった。
☆☆★★★