熱いトタン屋根の猫
2012年01月12日 木曜日ポール・ニューマンとエリザベス・テイラー二大スター共演と言う映画「熱いトタン屋根の猫(Cat on a Hot Tin Roof)」。
二大スター共演…なのだけれど、これがあんまりおもしろくなかった。
テネシー・ウィリアムズの戯曲を映画化したからだと思うが、一軒の家の中で起こる家族の愛憎劇を台詞回しだけで進め、それが回りくどい割に特に話が進まない、画の構造や演出的に平板なので盛り上がりもしないので、結構退屈。エリザベス・テイラーは自分に興味を示さない所か、寧ろ嫌っている夫ポール・ニューマンに愛されたいという分かり易い理由があるが、そのポール・ニューマンの鬱屈した感じが何から来ているのか、何に不満があるのか終盤まで分からないまま話が進むので、見ている方としてはすっきりせずイライラして来る。で、それも「愛が欲しかった!」と言う、物は沢山揃い、好きなフットボールをする為に父親にチームまで作ってもらっている恵まれ過ぎな金持ちのぼんぼんのクソの様な理由が原因なので萎えまくり。ぼんぼんの小賢しい悩みを見せられて、自分は気持ち良く解決しましたという結末に、そこには何の楽しさも特に無し。
この映画に出て来る人々は、美男美女はわがままな自己中心野郎、普通の人は自分なりに精一杯生きている人で、主役二人に共感し難い話になっている。ポール・ニューマンとエリザベス・テイラーは自分勝手で見ていても鬱陶しく、貧乏が嫌だからとにかく嘘も何もかも我慢して働いて来た父親や、特に悪い事も嫌な事もしていないのにやたら弟のポール・ニューマンばかり可愛がる両親なので報われない長男や、頑張って夫の性格に付き合って来たのに結婚してから40年間実は愛していなかったと言われる母親等、他の人達が報われなさ過ぎる。ポール・ニューマンとエリザベス・テイラーは最終的にめでたしめでたしで終わったから良いけれど、他の人達の関係はこれからが修羅場。
この原作の戯曲は、ポール・ニューマンが演じていた弟が同性愛者だから、妻はあの様な感じで、あの様な行動に走ったと非常に納得の行きそうな話だそう。この映画はその一番重要な中心部分を端折ってしまったが為に、何ともすっきりしない展開と人物になってしまったのだと理解。主軸を抜いて外見で話を仕立ててしまった為のおもしろくなさか。
ポール・ニューマンって歳を取ってからしか知らなかったが、若い時は非常にカッコ良い。昔の男前と言うよりも、結構今時でも男前な顔。それにこの苦悩する若者の演技もなかなか良い。奥に引っ込んだ目に涙を溜め、白目が赤くなり、でも瞳は水色な顔は怖過ぎたけれど。
エリザベス・テイラーはこの映画が1958年製作なので26歳なのに、物凄くおばさん臭く、やたらと足を見せたり、下着姿になったり、サービスシーンのつもりなのか、そこでも萎える。当時の劇場では「wooo!!」ってなったんだろうか?わたしは「suck!!」だけど。
☆☆★★★