スティング

2011年12月25日 日曜日

「スティング」と見ると、聞くと一番に思い浮かべるのは、元WCWのトップスター、そしてTNAで現役なアメリカのプロレスラー(呼び名はWWEではスーパースターだけど、TNAではロスター)の、金髪・短髪・原色のフェイスペイントではなく、黒髪・長髪・白黒フェイスペイントの方スティング
しかし見たのは、ポール・ニューマンロバート・レッドフォード共演の方の映画「スティング(The Sting)」。

こちらも有名映画で二人の有名俳優共演となれば、それだけでも期待する所だけれど、その二人も良かったが、話も、舞台も、音楽も大変素晴らしかった。
基本的には、詐欺師やギャング、悪徳警官や殺し屋といった悪人しか出て来ないが、非常に軽快で快活で愉快。如何に相手に知られずに上手く騙すかを手の込んだやり方で見せ、それがきっちりとはまり、見事に転がされて行く快感はたまらない。上手いのは主人公であるロバート・レッドフォードを取り巻く人間関係、命を狙われる相手の懐に飛び込み信用させるけれど騙す、と言う何重にもなった構図が騙しに組み込まれ、緊張感を盛り上げ、爽快感を引き出す。それ以外にも仲間との関係性や、別に追って来る警官、更に見る側までを絡めての結末への持って行き方は、非常に良く出来た脚本。
その話を盛り上げるのは、1936年のシカゴを再現した背景と、スコット・ジョプリンの「ジ・エンターテイナー」。当時のシカゴの大不況、恐慌の殺伐とし落ち込んだ雰囲気の中で、追われる犯罪者の物語となれば暗くなる所を、楽しく見せる脚本にマーヴィン・ハムリッシュの軽快で小気味良いピアノの音楽で、非常に明るいし、楽しい雰囲気になっている。何で「ジ・エンターテイナー」を未だに耳にする事があるのか、題名や作曲者を知らなくとも聴いた事があるのかは、この映画のおかげだからなのか。
また、編集もこの小洒落た雰囲気を盛り上げる。ワイプによる場面の繋ぎは、1930年代風の映画という意味もあるだろうが、途中に章の題名を絵と文字で入れる事もあって、まるで絵本やお伽話を見ている様な効果になっていて雰囲気を和らげている。惜しむらくは、劇内での登場場面を使った人物紹介の出演者紹介を一番初めに出してしまっている事。これは見終わってから振り返るから盛り上がり、皆の印象がより残るのに、初めにやられてもいまいちピンと来ず、終わって初めのあれが一番最後にあればニコニコして見れたのにと思ってしまう。
役者陣もポール・ニューマンは飄々としていて良い感じ。ロバート・レッドフォードは突っ走る若者を演じ、かっこ良い。確かにブラッド・ピットが若い時の、まさにこの「スティング」の時のロバート・レッドフォードと似てると言うのも分かる。ただこの若者とベテランと言う組み合わせは、見ていてもそんな感じはしたけれど、ロバート・レッドフォードが若者的な感じにしては渋くないかと思ったら、この映画1973年製作でレッドフォードは37歳と結構行っているし、ニューマンとは11歳しか違わないので見た目よりも意外と歳の差がない事に驚き。それだけの二人の演技。

この映画は仕込みとばらしの脚本でニコニコしながら見、洒落た、粋な雰囲気を楽しみ、終わった後に爽快に伸び上る感じがたまらない、とても愉快で爽快な良く出来た映画でした。

☆☆☆☆☆

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