陰謀の報酬

2011年12月23日 金曜日

ジョン・バカンの小説「三十九階段」を2008年にBBCが映像化、多分二時間枠のドラマと言うか、TV映画の「陰謀の報酬(The 39 Steps)」。

話的には、原作がスパイ小説の元祖、始祖とも言われるだけあって、巻き込まれ型だけれども陰謀を巡りドイツと張り合うイギリス情報部員、暗号解読という内容で、地味だけれどもなかなかおもしろい。恋愛部分はもっちゃりしていて取って付けた感はあるが、彼女とのやり取りは結構おもしろい。当時はまだ女性参政権が無いという社会情勢を見せながらの、当時の男女の考え方の違いの言い合いとかで口論になったりもする。ただ、最後の方の展開は出来過ぎ、劇的なモノを狙い過ぎていて、ひっくり返したり戻したりはやり過ぎの感はあるが。最後の登場に一回退場の何の意味があったのか良く分からないし。
また如何にもBBCらしく、1914年と言う時代の再現をしっかりとしている。当時の実際の風俗や文化、町並みを含めその物自体がが残っているだろうから、雰囲気は抜群に良い。田舎に行けば100年前と大して変わっていない風景というのも、日本じゃ有り得なく凄いが。ただ、この中で出て来る自動車だったり、飛行機だったり、機関車は1914年には存在していない、後年の物が使われていたりと正確性よりも雰囲気重視の所はある様だけれど。
原作は読んだ事無いし、ヒッチコックが「三十九夜(The 39 Steps)」として映画化してるそうで、そちらも見た事はないが、これはどれ位原作に近いのだろう?恋愛部分や話の起伏の付け方が今っぽい感じはするが。

どうもわたしは「モンティ・パイソン」や「宇宙船レッド・ドワーフ号」や「ドクター・フー」といった所からかBBCに対する偏見があるのだからなのか、これに感じたのは「きっちりとまとめて、雰囲気も良く、なかなか良いテレビ映画を作るじゃあないか。」という事。SFにしろ、コメディにしろ、こういった時代物のスパイモノにしろ、きっちり作り上げて来るBBCって流石。同じ様な強制徴収なのにこうも…なんて言わない、言わない…。

本当にアルバトロスがどうしようもないと思うのは、これをBBC制作のTV映画「39階段」として売れば良いのに、まるで「007 慰めの報酬」の様なジャケットにして、題名も似せて「陰謀の報酬」なんて事するクソさ。BBCの特別ドラマだから見ると言う人はいても、パッケージが「007 慰めの報酬」にそっくりだから見るだろうなんて、失礼な話だし、あざとさにゲロ吐きそう。

☆☆☆★★

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