ライムライト

2011年12月10日 土曜日

チャールズ・チャップリンが製作・監督・脚本・音楽・主演と務めた晩年の映画「ライムライト(Limelight)」。

栄光がかつてのモノとなった年老いた喜劇俳優を描いた、まさにチャップリン自身を描いた様な映画なので、それまでの映画を見ていたり同時代に生きて体感していないと楽しみ難い映画だと思った。
チャップリンのコメディ映画は見た記憶があるが、チャップリンと言えば、あの山高帽に燕尾服と杖のキャラクターとしての印象の方が強いので、このチャップリンという喜劇俳優の人生の終わり方を描いた様な「ライムライト」を見ても正直おもしろくなかった。何から何まで自分がしているので、チャップリン自身が気持ち良い様な人物と話でやり過ぎ感ありあり。かつての大スターが歳を取って落ちたけれど気持ちは前向きで、若く美しい女性を偶然助け、人生を大いに語り、そして彼女に物凄く惚れられ、自分の励ましで彼女が成功し、自分もかつての様に舞台で拍手喝采で受け入れられ、そしてそのまま自分の愛した人が踊っているの見ながら死んで行く…なんて話として出来過ぎだし、やり過ぎ。自分の理想を描いているのだろうけれど、チャップリンが自分に酔って気持ち良さそうで良かったね…以上の何も出て来ない。やはり、ある程度チャップリンの映画を見て、彼の人生を知ってからでないと楽しめないだろう映画。逆に言えば、チャップリンを知らないとただの自分の理想をやりまくった映画にしか見えないって、一つの映画としてどうよ?

気になったのは撮影。外での撮影が一切無く、外との合成は浮きまくりだし、何処も彼処も広々としたセット。編集では所々に入るチャップリンの舞台場面は、おもしろくないのに長過ぎて、それまでの切ない話の流れを切ってわやな流れになるし。元々笑かしにかかっている映画じゃないのだろうけれど、この映画で初めてチャップリンを見てしまうと、「チャップリンっておもしろくないじゃない…」と思ってしまうと思う。フッと口元が緩んだのは、珍奇でしょっぱいバレエ位。

☆★★★★

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